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ユーザー投稿型サイト運営の著作権リスクとは?|サイト管理者の責任はどうなるの?

コンテンツを投稿してもらうとしても、変なコンテンツばっかり集まったらイヤですよね。

そうですね。著作権侵害違法コンテンツとか、投稿されたくはないですね。

実際、動画サイトにテレビ番組とかがアップロードされていることありますけど、あれってどうなんですか?

アップロードしたユーザーは、著作権侵害をしていることになるでしょうね。

サイトの管理者はどうなるんですか?ユーザーが勝手にやったことだから、責任を負わないってことでいいんですか?

いや、そういう事にはなりません場合によっては、サイトの管理者も責任を負うことがあります。

えー、でもユーザーが勝手にやったことですよ?

それはそうなんですけど、違法なコンテンツサイト管理者が利益を得ている場合もありますからね。

どういうことですか?

違法なコンテンツって、どうしてもアクセスを集めやすいじゃないですか。タダで映画やテレビ番組が観れたりするので。法的には絶対ダメなんですけど。それで、アクセスが集まると、そのサイト管理者も利益を得るでしょう。広告を貼れば広告収入も期待できますから。

確かにそうですね。

だから、サイト管理者が違法コンテンツを削除しないという事態も考えられるんです。そうなってくると、やっぱりサイト管理者は関係ないとはいえないですよね。そういう事案で、実際にサイト管理者の損害賠償責任が認められた裁判例もあります。

でも、アップロードされたコンテンツを全部チェックするのは難しいですよ。投稿が多くなればなるほど。

なので違法アップロードがされたときに管理者が必ず責任を負う訳ではないんです。そのことは、「プロバイダ責任制限法」という特別な法律で定められています。

そうなんですか。じゃあ、サイト管理者はどうすればいいですか?

それについては結構長くなるので、次の機会に説明しますね。

【解説】

(1) ユーザー投稿型サイト運営の著作権リスク

ユーザー投稿型サイトを運営する際、最も気を付けるべきリスクの一つが、ユーザーから違法コンテンツ(著作権侵害のコンテンツなど)をアップロードされることでしょう。これにより、サイト管理者に法的責任が発生する場合があります。基本的に、違法なコンテンツがアップロードされたとき、責任を負う者実際にアップロードしたユーザーです。しかしながら、場合によってはサイト管理者著作権侵害を行っていると判断されることがあります。

 

(2) 「間接侵害」という考え方

自分自身が著作権侵害の行為を直接行っていなくても間接的にその行為に関わることによって、自身も著作権侵害の行為を行っていると評価されることがあります。著作権の「間接侵害」といわれる問題です。どのような場合に、自分も著作権侵害の行為を行っているとされる(「間接侵害」とされる)かは、様々な事情によって判断されます。その方法については議論されているところですが、次の事情が重視されていることは間違いありません。

① 著作権侵害の行為を管理していること
② 著作権侵害の行為により利益を得ていること

これは、著作権の世界では有名な「カラオケ法理」と呼ばれるものです。過去にはこの2つが決定的なものと考えられていたようですが、現在ではこれ以外の事情も考えて判断するのが一般的です。

なお、この2つだけで判断することとしても、ユーザー投稿型サイトの管理者は、「間接侵害」とされる可能性があります。

違法コンテンツは自社サービスの中で投稿されたものですし、通常はそのコンテンツを削除することもできますから、サイト管理者が著作権侵害の行為を管理しているといえます(①)。また、違法コンテンツによってアクセスを集めていることから、これにより利益を得ているとも考えられるためです(②)。

 

(3) 責任は軽減されている

サイト管理者が責任を負う場合があるといっても、すべてのコンテンツをチェックすることは難しい場合もあります。そのため、あまりに厳しい責任を負わせると、かえってインターネット上の情報交換の妨げになります。

そのため、サイト管理者などはいわゆる「プロバイダ責任制限法(正式名称:特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)」によって、責任がある程度軽くなっています。この法律を意識してウェブサイトを管理運営することが、法的リスクを減らすカギになるでしょう。

実際にどのような方法をとるべきかは、次の回で説明します。

 

「WEBに関わる法律講座」の運営元である四谷コモンズ法律事務所では、投稿型サイト等の管理者向けのサービスを提供しております。問題が大きくなる前に、ぜひ本サービスをご利用ください。

 

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ABOUT US

弁護士 渡辺泰央
弁護士 渡辺泰央
弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。