少し前(平成24年)のことですが、違法ダウンロードに対して刑事罰が科される法改正がなされ、注目を集めました。
当時は“動画サイトを視聴するだけで逮捕されてしまう”などという懸念もされ、大きな話題を呼んだものです。
刑事罰化の法改正から4年が過ぎたいま、違法ダウンロードの話題は少し落ち着いた感じがあります。しかし、違法コンテンツに関する法的トラブルがなくなったわけではありません。
そこで今回は、違法ダウンロードで逮捕されないために、違法コンテンツにまつわる法律問題についておさらいしてみたいと思います。
そもそも違法ダウンロードとは?
違法ダウンロードとは、簡単にいえば、「違法にアップロードされたコンテンツを、それと知りながらダウンロードすること」をいいます。
つまり、違法ダウンロードは違法アップロードが前提となっているものです。
違法アップロードについては、法改正の前から厳しく取り締まられていました。最近でも、ファイル共有ソフトで人気映画「君の名は。」を配信した者が逮捕されたとの報道がありました。
違法ダウンロードは、このような違法アップロードがなされたコンテンツを“利用する側”の法的責任に関する問題なのです。
違法ダウンロードで逮捕されるケースとは?
違法ダウンロードで逮捕されうるケースは、次の2パターンがあります。
(1)そもそも私的使用目的ではない
私的使用目的でない違法ダウンロードは、法改正前から刑事罰の対象でした。
例えば、ダウンロードしたものを転売するとか、大勢の前で上演してみせるとか、そういった目的でダウンロードすることは、もとから逮捕などの対象となる行為だったのです。
(2)私的使用目的だが、有料の音楽や動画の違法ダウンロードである
有料の音楽や動画の違法ダウンロードは、たとえ私的使用目的であっても逮捕などの対象となります。(この内容を定めたのが平成24年の法改正です。)
典型的な例は、違法にアップロードされたDVDやCDのダウンロードです。
音楽や動画が対象ですから、画像の違法ダウンロードは刑事罰の対象にはなっていません。(ただ、画像の違法ダウンロードも損害賠償などの対象であり、法的責任を問われる行為です。許される行為ではありませんので、注意しましょう)
動画サイトの視聴で逮捕される?
YouTubeなどの動画サイトは今でも人気を集めていますが、違法アップロードされたと思われる動画もしばしば見受けられます。
有料のはずの音楽や動画もアップロードされており、これを知らずに視聴してしまったユーザーも逮捕されてしまうのか、法改正のときに多くの議論を呼びました。
結論的には、視聴しただけで逮捕などをされる可能性は低いといえます。
文化庁も公式見解として、このようなケースは刑事罰の対象にならないと明言しています。※参考
(しかし、法律の解釈は文化庁ではなく裁判所が行うものですから、刑事罰の対象になる可能性がゼロとまではいえません。)
違法ダウンロードで逮捕されないために
違法アップロードされたコンテンツには近寄らないということに尽きます。
怪しいコンテンツや怪しいサイトには近寄らないほか、ファイル共有ソフトも原則として利用するべきではありません。
ファイル共有ソフトの中には、ダウンロードと同時にアップロードも行われるというものもあります。知らずにダウンロードした結果、違法アップロード者としての責任を問われるというケースも珍しくありません。
違法ダウンロードという行為は、有料のコンテンツを無料で楽しむものです。しかし、違法な行為である以上、それなりのリスクは覚悟しなければなりません。
気軽に行った行為で後悔しないためにも、インターネット上のコンテンツとの関わりには普段から注意を払っておきましょう。
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