リンク(URL)を貼ることは著作権侵害になるのか?動画の埋め込みについても解説

ちょっと疑問に思ったんですけど、ブログとかで、そのブログのページのままYouTubeとかニコニコ動画を見れるのってあるじゃないですか。こう、ブログの途中にいきなり四角い動画の画面があって。ああいうのって、いいんですか?

動画の埋め込みのことですか。
基本的には、問題ないとされています。

え、なんでですか? 思いっきり他人のコンテンツじゃないですか。

それはそうなんですけど・・・。ああいうのって、動画のデータはYouTubeなりニコニコ動画なりのサーバーから取ってきているものじゃないですか。データそのものが移動している訳ではありません。つまり、動画データを自社サーバーに複製しているわけではないんです。

はあ・・・理屈は分かりますけど。

ブログの管理者は動画のURLを貼っただけですから、それは複製権侵害とはなりませんよね。

・・・そう言われてみると確かに。

同じ理屈で、動画のデータそのものが元のサーバーから動かない以上、ブログの管理者はその動画をアップロードしている訳ではありません。だから、公衆送信権侵害にもあたらないんです。

えー、じゃあそのブログの管理人は何でも許されるんですか? 違法アップロードされたものでも?

いや、さすがに何でもはダメですよ。

何をやったらダメですか?

例えば、さっき言っていた違法アップロードの動画ですが、明らかに違法アップロードされたもので、権利者からの指摘があってもその掲載を続けるような場合は、著作権違反の「幇助(ほうじょ)」になる可能性はあります。

「幇助」って?

簡単にいうと、違法な行為を手助けしたという意味です。
「幇助」した人は、損害賠償請求がされる可能性もありますし、場合によっては刑罰を受けることもあります。

刑罰まで!?

でも、あんまりこの「幇助」を認めてしまうと、動画のリンクができなくなってしまいます。実際、公式アップロードか違法アップロードか一見分からないような動画って、結構ありますからね。

確かにYouTubeとか、公式のものもたくさんありますね。

なので、あまり広くはこの「幇助」は認められていない印象です。明らかに違法な動画でなければ、著作権のことはあまり気にせずリンクを張っていいと思いますよ。
【解説】
(1) リンクって、許されるの?
リンクに関しては、著作権の問題として議論がなされることがあります。ただ、リンクには様々な種類があるので、それぞれ場合を分けて検討することが必要です。まず、「http://www.●●」というサイトURL(文字列)をそのまま記載する方法があります。このようなリンクは、単に文字列を記載しただけで、何ら他人の作品を複製したりしている訳ではありません。そのため、この行為は著作権侵害にあたらないと考えられています。また、画像などにリンク領域を設定し、そこをクリックすることで別サイトにアクセスできるようにすることも、他人の作品を複製したりしている訳ではありませんので、著作権侵害ではないと考えられています。
(2) ”埋め込み”は適法??
一方、動画の埋め込みについては、多少の議論があるところです。
この問題に関しては、「ニコニコ動画の引用タグ又はURLを、自己のウェブサイトの編集画面に入力することで、そのウェブサイトに動画を表示させた行為」について著作権侵害が問われた裁判例(大阪地裁平成25年6月20日)があり、参考になります。
この事件の判決では、次のように判断されています。
被告は、「ニコニコ動画」にアップロードされていた本件動画の引用タグ又はURLを本件ウェブサイトの編集画面に入力することで、本件動画へのリンクを貼ったにとどまる。
この場合、本件動画のデータは、本件ウェブサイト(※被告のウェブサイト)のサーバに保存されたわけではなく、本件ウェブサイトの閲覧者が、本件記事の上部にある動画再生ボタンをクリックした場合も、本件ウェブサイトのサーバを経ずに、「ニコニコ動画」のサーバから、直接閲覧者へ送信されたものといえる。
すなわち、閲覧者の端末上では、リンク元である本件ウェブサイト上で本件動画を視聴できる状態に置かれていたとはいえ、本件動画のデータを端末に送信する主体はあくまで「ニコニコ動画」の管理者であり、被告がこれを送信していたわけではない。したがって、本件ウェブサイトを運営管理する被告が、本件動画を「自動公衆送信」をした(法2条1項9号の4)、あるいはその準備段階の行為である「送信可能化」(法2条1項9号の5)をしたとは認められない。
つまり、動画データの移動がないため、著作権侵害にはならないと結論付けています。もっとも、これに続く判断にも注意する必要があります。この事件では、ニコニコ動画にアップロードされていた動画は無断アップロードであって、著作権を侵害するから、そのような違法アップロードされた動画にリンクを張った者は、そのような違法行為の「幇助」にあたると主張されています。
これに関する判断が次のとおりです。
「ニコニコ動画」にアップロードされていた本件動画は、著作権者の明示又は黙示の許諾なしにアップロードされていることが、その内容や体裁上明らかではない著作物であり、少なくとも、このような著作物にリンクを貼ることが直ちに違法になるとは言い難い。そして、被告は、前記判断の基礎となる事実記載のとおり、本件ウェブサイト上で本件動画を視聴可能としたことにつき、原告から抗議を受けた時点、すなわち、「ニコニコ動画」への本件動画のアップロードが著作権者である原告の許諾なしに行われたことを認識し得た時点で直ちに本件動画へのリンクを削除している。
このような事情に照らせば、被告が本件ウェブサイト上で本件動画へリンクを貼ったことは、原告の著作権を侵害するものとはいえないし、第三者による著作権侵害につき、これを違法に幇助したものでもなく、故意又は過失があったともいえないから、不法行為は成立しない。
結論として、「幇助」は成立しないことになりましたが、その理由付けが、
・違法アップロードされたものであることが、動画の内容や体裁上明らかではないこと
・違法アップロードであることを認識し得た時点で直ちにリンクを削除していること
この2点によってなされています。そのため、これらの事情がない場合には、「幇助」として損害賠償が認められる可能性もあるということです。著作権法は、リンクに関しては比較的緩やかに判断しています。しかし、違法アップロードを助長するような行為には、やはり一定の責任が発生してしまいますので、リンクを張るときにも、常識的な判断が何よりも重要といえるでしょう。
弁護士への法律相談(初回30分無料)はこちらから。
動画に関する著作権の考え方とは?適法に利用するためのハードルについて解説!

そういえば、ウェブサイトでいま動画が一番人気じゃないですか。
ウチのサイトにも動画を取り入れたいです

確かにYouTubeとかニコニコ動画とか、すごく人気のあるコンテンツですよね。
でも、動画は著作権的には少しややこしいかも知れません。

そうなんですか?

ええ。例えば、既存の動画を自分のサーバーに上げて、サイトのコンテンツにすることを考えたとき、誰に許諾を得なければならないと思いますか?

動画の著作権を持っている人ですよね?

いや、そうなんですけど。動画の構成要素って一つじゃないじゃないですか。
まず、映像。それから音楽があれば音楽もですし、歌であれば歌詞も含まれますよね。

言われてみれば確かに。

動画の作者が映像制作、作詞作曲、レコーディングまで全部やっていれば、その人に許諾を得れば十分です。でも、そんなことって少ないでしょう?そうすると、映像、音楽、歌詞とか、そういう動画の構成要素全部の権利を考えなければならないんですよ。

えー、それ大変ですね。

歌に関しては、JASRACなどの管理団体が管理していることが多いですから、その点で少し簡単になっているとはいえますが、基本的には全部の権利関係を確認しなきゃいけないです。それに、ホームページを彩るために動画を上げることに関しては、使えそうな著作権制限規定も考えづらいですし。

そうなると、既存の動画を使わせてもらうのはハードル高いですね。
ちなみに「ありふれた表現」の動画とかは?

そういうのは・・・あんまりないんじゃないですかね。
やっぱり動画の利用を考えるのであれば、自分で作るか、プロに新しく作ってもらうのが近道のように思います。
【解説】
(1) 一つではない動画の著作権
動画は、作品としては一つのものとして認識されますが、著作権から見た場合、その権利の関係は少し複雑です。動画は、映像のみならず、音楽、セリフ、歌詞などの要素から構成されています。そして、それらは一体として利用されていますが、それぞれ分離して利用することも可能です。このような場合は、それぞれ別個の作品として見られることになります。一つの動画作品として著作権を考えるわけではありません。このような考え方は、作品に対する一般的な認識と少し違うと思われますので、注意が必要です。
なお、複数の作品が一体的に利用されるものを「結合著作物」ということがあります。歌における音楽と歌詞がその典型例です。
(2) 適法に利用するためのハードル
動画作品の場合、それを構成する要素は映像のほか、音楽、セリフ、歌の歌詞などがあります。そのため、動画作品を適法に利用する場合は、それぞれの権利関係をクリアしなければなりません。映像に関しては、基本的にその映像を制作した人でしょうし、音楽であれば作曲家、歌詞であれば作詞家、セリフであれば脚本家に権利が帰属するのが原則でしょう。
また、使われている音楽の音源がレコード会社のものである場合には、その権利も考えなければなりません。なお、利用を検討する作品が「映画の著作物」に該当する場合は、権利関係が更に複雑になりますが、ここでは省略します。
いずれにせよ、動画作品を利用する場合は、その構成要素を切り分け、それぞれに関して許諾や権利制限規定の適用を考えることになります。
弁護士への法律相談(初回30分無料)はこちらから。
効果音(SE)は自由に使っていいの?著作権は認められるのかについてわかりやすく解説

ホームページで音楽が流れるようにするというのはとりあえずおくとして、効果音を付けるのはどうですか?

確かにそういうサイトもありますよね。
閲覧していきなり音楽が流れ始めるよりは嫌悪感は少ないと思います。

昔のゲームとかアニメの効果音が流れれば楽しいと思うんですよ。
コインを取る音とか。「あ!あの効果音だ。」って分かりますし。

しかしそのまま使うのは著作権的にどうかと・・。

ダメですか?
効果音は単純で短いですし、「ありふれた表現」になりませんか?

効果音を作るにも作者の創意工夫はあるでしょうし、いろんな表現の幅があるところですので、著作権は認められると思っておいた方が無難でしょう。ただ、既存の効果音と似たような効果音を新しく作る場面を考えると、OKになる範囲は広いと思いますよ。

どういうことですか?

さっきおっしゃってたように、効果音は単純で短いです。なので、著作権が認められるとしてもその幅は小さいと思うんですよね。だから、さっきのコインを取る音に関しても、既存のもののリズムを変えたり音の調子を変えるだけで、著作権侵害でないとされることが多いと思います。

へえー。

実際、効果音の無料素材を提供しているところも、既にある効果音をイメージさせるような音をオリジナルとして提供していますし。

なるほどー。というか、そういう無料素材を利用する手がありましたね。
そういうところもちょっと覗いてみることにします。

素人がいきなり効果音を作るのはハードル高いですからね。
でも、そういう無料素材を利用するときはちゃんとサービスの利用規約を読んでくださいね。
【解説】
(1) 効果音にも著作権は認められる
効果音についても、著作権が認められることがあります。確かに、効果音は単純で短いものが多いといえます。しかし、さまざまな音の表現方法があります。専用のソフトを駆使したり、実際に音を出してマイクで拾ったりすることもあるでしょう。その中で一つの表現を選ぶものですから、作者の個性が認められる場面は少なくありません。
「ごくありふれた表現」として著作権が否定されるのは、ごく単純な電子音のようなものに限られるように思います。
(2) 権利の幅が狭くなる傾向はある
ただ、効果音に著作権が認められるといっても、単純で短いという特徴を無視することはできません。著作権の世界では、著作権が認められるものであっても、その創作性が高いとはいえない場合は、権利主張できる場面が限られる(場合によってはデッドコピーに対してしか行えない)と考えられています。
これを効果音について考えると、いくら作者が苦労してその音を作ったとしても、単純で短い音に高い創作性は認められづらいでしょう。そうすると、同じ効果音をイメージさせるような音を新たに作ったとしても、音階の高低やリズムを変えるだけで権利主張できないという場面も少なくないと思います。
現実的に考えれば、単純で短い効果音に広く著作権侵害を認めてしまうと、後発の表現に大きく支障を来しかねませんから、このような結論になることはやむを得ない面があるといえます。
(3) 音をどう出すか、などはアイデアの範疇
なお、効果音に関しては「表現・アイデア二分論」も影響します。例えば、大根を折った音をマイクで拾う、などというもの自体はアイデアです。そのため、既存の効果音に大根を折った音が存在するとしても、新しく大根を折ってその音をマイクで拾えば、それは著作権侵害にはなりません。
弁護士への法律相談(初回30分無料)はこちらから。
音楽はWEBサイトに使える?|著作権が認められる場合や実演権について解説!

ホームページで、音楽とか流れたら楽しくないですか?

音楽ですか?
あんまり一般的ではないような・・。いきなり音楽が流れたらビックリしますし。

でも、そういうサイトもないわけじゃないですよね?
音楽を流すかどうかはこれから考えることにして、もし音楽を使う場合注意することってありますか?

音楽に関してはシンプルです。基本的に、既存の音楽には著作権が認められますので、無断利用したら著作権侵害になります。

じゃあ、ホームページで音楽を流すにはどうすれば・・・?

権利者の許諾を得るか、ホームページ素材用の音楽を買うか、新しく作曲するかですかね。
著作権の制限規定で使えるものはあまり考えられないですし・・・。

結構ハードル高めですね。

比較的高い印象です。既存の音楽の中でもJASRACなど著作権管理団体に管理されているものはしっかり権利主張される傾向がありますし。

・・・音楽を使うのはなんか微妙な気がしてきました。

無料の音楽素材を使うとか、クラシック音楽などの著作権の切れたものを使うというのも考えられますが・・。音楽が鳴らなくても、魅力的なサイトは作れますよ。それに、最近インターネットで音楽を聴く場面って、動画サイトを利用する場合が多くないですか?

YouTubeとかですか?

そうです。
そこにリンクを張るサイトも最近では結構多いですよね。

ああいうのは、大丈夫なんですか?

それは、また別の機会にお話しします。
【解説】
(1) ホームページで音楽を流す場合
閲覧すると音楽が流れるサイトは、現在ではあまり一般的ではないようです。予告なく音楽が流れることに不快感を覚えるのも理由の一つになっているように思います。
ただ、閲覧すると音楽が流れるサイト少ないながら存在します。そして、ウェブサイト上で音楽を流すことは「公衆送信」に該当しますから、既存の音楽を無断で流すことは、基本的に著作権侵害となります。
(2) 音楽に著作権は認められやすい
音楽に関しては、一定のメロディ(旋律)を構成している限り著作権が認められます。「ありふれた表現」として著作権が認められない場合もあり得ますが、作者の個性が表れたといえる場面は多いでしょう。そのため、基本的には著作権が認められると考えておくのが無難です。既存の音楽を利用するにあたっては、権利者の許諾を得るなどの手続はしっかりとっておくべきと考えます。なお、音楽の利用に関して使えそうな著作権制限規定は多くありません。「引用」なども考えられますが、サイトを彩るための利用では「引用」とは認められ難いといえます。
(3) 著作権が切れたものでも、実演権には注意
著作権の切れた音楽であれば、自由に利用することができます。著作権の保護期間の考え方は、画像に関して解説したところと同じです。
ただし、ここで注意しなければいけないことがあります。著作権の切れた音楽であっても、それを「実演」した人がいれば、それは音楽自体の著作権とは別に保護されます(これを「実演家人格権」といいます)。例えば、「××管弦楽団」がクラシック音楽を演奏した場合、その「実演」に関する権利が「××管弦楽団」に発生するのです。
そのため、演奏されたものを無断で録音し、コピーして販売等ということはできません。
また、著作権の切れた音楽であっても、それをアレンジした場合にはその「アレンジ」に著作権が認められます。したがって、他人のアレンジを無断で利用する行為も、アレンジした人の権利が残っている限り認められません。
結局、著作権が切れた音楽の利用を考えるとしても、実際の「音」ないし「音楽データ」として存在するものを利用するときは、別途の検討が必要になるのです。この点は注意しましょう。
(4) 管理団体が管理するものも多い
既存の音楽の場合、JASRACなど著作権管理団体に管理されているものが多いと思われます。そのため、音楽の利用について許諾を得る場合は、まずそのような団体の管理のものであるかを確認することが有益でしょう。著作権管理団体の管理のものであれば、その団体に許諾を求めることになります。
弁護士への法律相談(初回30分無料)はこちらから。
画面キャプチャ(スクリーンショット)の利用はどこまで許される?|ネット上での注意点

プリントスクリーン(スクリーンショット)って、あれすごく便利じゃないですか?
あれがあると、文章でも画像でも何でもコピーできません?

そうですね。 確かに画面に映ったものは、なんでも画像データにできますからね。

あんなに簡単にコピーできて、問題は起こらないんですかね?

イラスト画像とか文章の表示された画面をキャプチャすることも「複製」に該当すると思います。
でも、私的使用の範囲内であれば問題ありませんし。

たまにアニメのシーンとかがキャプチャされた画像をネット上で見ることもあるんですけど・・・。

アニメの映像は一つの場面ごとに著作権は認められるでしょうね。人間があの画像を作ってるはずですから。
著作権のあるものをホームページに載せる行為は「公衆送信」に当たりますから、基本的には著作権を侵害すると思います。

それじゃあ、アニメとかのキャプチャ画像をホームページに載せるのは良くないってことですか?

基本的にはそうですね。
でも、著作権の制限規定を使えば、その限りでは利用することはできますよ。たとえば、「引用」とか。

ああ、文章を考えるときによく検討した、「引用」ですか。
あれって、画像にも使えるんですか?

そうです。例えばアニメの「このシーンについて語りたい」みたいな記事を書くときに、そのシーンのキャプチャ画像を載せることが考えられますが、そういう場合は「引用」で許されるかも知れませんね。

なるほど。

いずれにせよ、キャプチャはすごく便利な機能ですが、私的使用を超えて利用するのであれば、著作権は常に気にかけておきましょう。
【解説】
(1) キャプチャ(スクリーンショット)の利用と著作権
パソコンを利用できる環境では、簡単にキャプチャ(スクリーンショット)を行うことができます。
プリントスクリーンによる静止画面のキャプチャが代表的ですが、ソフトを利用することで動画もキャプチャすることができるようです。
しかし、著作権のあるものがキャプチャに含まれる場合、それは「複製」に該当します。
そのため、キャプチャに関しては著作権の問題は避けて通ることができません。
ただし、「複製」に関しては「私的使用のための複製」にとどまる限り適法に行うことができます。
そのため、画面上の情報を少しメモするためにキャプチャする場合などは、適法となる場合が多いでしょう。
(2) ネット上に上げるときは注意
「複製」以外の利用方法、例えばホームページにキャプチャ画像を載せる行為は「公衆送信」に該当するため、別途の検討が必要になります。
このとき適法に行うための方法としては、「引用」が考えられます。
キャプチャされた作品について紹介やコメントするなどの場合では、「引用」として利用することができるでしょう。
引用についてはこちらの記事もご覧ください。
それ以外にも適法に利用する方法はありますが、あまり使い勝手が良いとはいえません。
結局、他人の作品を利用することになるので、やはり権利者の許諾を得ないで行うものは、慎重に検討する必要があるでしょう。
絵画や昔の絵は自由に使っていい?|著作権の保護期間について

ホームページって画像が結構必要なんですね。集めるの大変です。
クオリティが高くて自由に使えるものってないんですか?

そうですね・・・。その悩みを直接解決できるものじゃないかも知れませんが。
昔の美術品を利用するのはどうですか?

昔の美術品? 絵画とかってことですか?

そういうことです。例えば日本の美術品でいうと、基本的に作者の死後70年で著作権が切れます。
なので、有名な葛飾北斎の浮世絵とか、菱川師宣の見返り美人とか、ああいうのは自由に使ってもいいんですよ。

そうなんだ!!

もちろん、50年経ってない人の作品はダメですので、使う時は作者の没年を確認しましょうね。

海外の絵も使っていいんですか?

海外のものに関してはその国の保護期間によりますし、他にもややこしい問題はありますが、基本的には没後100年くらい経ったものであればほとんど問題ないと思います。

へー。じゃあモナリザとかは使ってもいいんですね。

そういうことです。それをどういう風にホームページに使うかは工夫が必要だと思いますが、アイデアの一つとして頭の片隅に置いておいても損はないと思いますよ。
ただ、一点注意しなければならないことがあります。

なんですか?

絵画を画像にするときは、データとしてパソコンに取り込まなきゃいけません。
それで、そのための方法としては、写真で撮るというものが一般的です。

でしょうね。

なので、写真の対象が著作権の切れたものであっても、写真の撮り方が工夫されたものであれば、「写真の著作物」になる可能性があるんですよ。

え? すいません、どういうことですか?

元々の「絵」の著作権は切れていますが、それをどう撮るかの工夫は写真を撮る人が行うものですよね。
だから、いくら写真の対象に著作権が認められなくても、それをどう撮るかという点に写真家の個性が認められれば、その画像は勝手に使うことはできないということです。

でも、そんなのどうやって判断すればいいんですか?

まあ、絵の持つ色彩とかをそっくりそのまま表現するような画像であれば大丈夫です。
気を付けなきゃいけないのは、変わったアングルで撮られていたり、元の色彩をあえて変化させるように撮られているものなどでしょうね。

じゃあ普通の画像であればOKなんですね。

基本的にはそう考えて大丈夫だと思います。
「写真の著作権」に関しても念のため注意しておいてくださいという話です。
【解説】
(1) 著作権は切れているものがある
著作権には保護期間があります。
いくつかの例外を除けば、基本的に作者の死後70年で著作権の保護は終了し、その後はパプリックドメインとして自由に利用することが可能です。
海外の美術品に関しても、その国の保護期間が終了していれば、日本においても自由に利用することができます。
ただ、海外の美術品に関しては、条約の問題や戦時加算の問題もありますので、少なくとも近現代の美術品を利用する際にはある程度調査をされることをお勧めします。
(2) 著作権が切れたものであっても、その二次的著作物には注意
なお、著作権の保護期間が切れた美術品であっても、それを実際に利用するために行う作業によっては、二次的著作物として別途著作権が認められる場合があります。この点は注意が必要です。
基本的に、何らアレンジを加えずに美術品を利用する場合には問題はありません。
絵画をそのままコピーしたりする場合がそれに該当します。
しかし、例えばモナリザの女性をデフォルメしてキャラクターにした場合には、そのキャラクターについて作者に著作権が発生します。
また、絵画を写真に収める際にも、変わったアングルから撮影したり、光の当て方で絵画の色彩をあえて変えるような形で撮影したものには、その写真について撮影者に著作権が発生することがあります。
そのため、著作権の保護期間が切れたものであっても、実際に利用するデータが二次的著作物でないかどうかは、念のため確認することが必要でしょう。
弁護士への法律相談(初回30分無料)はこちらから。
同人誌のような二次創作物は著作権的に認められるのか?

他のキャラクターをアレンジしただけでは、著作権侵害って聞きましたけど・・みんな結構やってません?ネット上で、素人が既存のキャラクターをモチーフにしたイラストやマンガを描いてるのを見ますよ。ああいうのって、ダメじゃないんですか?

そこは非常に難しい問題ですが・・・結論をいうと多くの場合グレーです。

グレー!? なんですかそれ。

伝え方が難しいですが・・。まず、既存のキャラクターのアレンジやマンガ化は、多くの場合二次的著作物の作成行為(翻案)にあたります。なので、キャラクターの権利者からOKをもらえば適法、ダメと言われたら違法です。

でしょうね。

でも、権利者が「放置」とか「何もいわない」という態度をとっていることもあります。二次創作に関しては特に。
なぜこういう態度をとるのかはいろいろ理由が考えられますが、特に著作権の場合、権利者が動かなければ法律は機能しません。

どういうことですか?

まず、民事の差止や損害賠償。これは権利者自身が請求しなければいけません。基本的に他の人は作者の持っている権利を使えないんですよ。

へー。

次に刑事ですが、著作権違反は「親告罪」といって、権利者が告訴しなければ起訴できません。
つまり、権利者が動かなければ裁判にならないんですよ。

つまり、権利者が動かなければ結局何も起こらない・・。

そうなんです。多くの場合、権利者は二次創作があることを知っています。でも、それらに対して逐一アクションを起こしてはいません。だから、二次創作をやっている人が結構いるわけなんですね。

それって、作者がOKしているってことになりませんか?

いや、必ずしもそうはならないんですよ。仮に権利者が裁判を起こしたら、二次創作した人は負けることが多いと思います。「今まで権利者が何も言わなかった」というのは言い訳になりませんから。

なんだか、ややこしい話・・。

権利者が積極的にOKともダメとも言っていないというのがポイントだと思います。
権利主張はされていないけど、訴えられたら負ける。だから、グレーという訳なんです。

すごく微妙な世界なんですね。

そうですね。ここは著作権の奥深いところともいえます。でも、企業とかが営利目的で二次創作を無断でやったりすると作者に訴えられる可能性は高いでしょう。なので、企業HPに二次創作物を無断で載せるなどはやめてくださいね
【解説】
(1) 二次創作って、認められるの?
世間で行われている二次創作は、多くの場合「二次的著作物の作成行為(翻案)」にあたると思われます。
したがって、作者が二次創作に対して権利主張すれば、たいていの場合その主張は認められるでしょう。
しかし、世間では広く二次創作が行われています。
その理由は、権利者がそのような二次創作に関して「放置」ないし「何もいわない」という態度をとっているためです。
このような態度がとられる理由はいくつか考えられます。
裁判は労力や費用がかかる、訴えても労力に見合うリターンが得られるとは限らない、二次創作があっても自分の作品が売れなくなるわけではないなどといった消極的な理由のほか、モラルを守る限り二次創作は楽しんでもらいたいという積極的な理由があるかも知れません。
いずれにせよ、このような権利者の態度によって、二次創作は成り立っています。
しかし、権利主張が行われてしまえば、それ以上は二次創作ができなくなります。
その意味で、二次創作は不安定なところに成り立っているといえます。
そのため、二次創作を行う場合であっても、最低限モラルは守ることが必要です。
特に、企業などが営利目的で無断で二次創作を行うことはモラルに反しますし、権利者が問題視する可能性も高いでしょう。
(2) 立場を明確にしている場合も
なお、権利者が「二次創作を禁止する」という意思表示をあらかじめ公表している場合などは、そもそも二次創作を「放置」などしていないため、その作品の二次的著作物を作成することは違法といえます。
逆に、一定の条件のもと二次創作をOKとしている権利者も存在するようです。
そのため、二次創作をする際には、権利者が二次創作に関する立場を明確にしているか確認しておきましょう。
弁護士への法律相談(初回30分無料)はこちらから。
擬人化したキャラクターを作っても大丈夫?|セーフのラインは?

引き続き、キャラクターを考えているんですけど・・やっぱり難しいですね。
設定はいいとしても、やっぱり見た目が大事ですし。

見た目は人気に直結しますからね。

どういうキャラクターがいいと思います?

ええと、私はそっちの専門じゃないので何ともいえませんが・・。
ある程度人気のあるキャラクターを参考にするのもアリなんじゃないですかね。

でも見た目を参考にしたらマズイんじゃないでしたっけ?著作権的に。

それもやっぱり参考の仕方によります。
見た目を参考にする方法もなくはないでんですよ。

そうなんですか? 例えばどんな・・

例えば、キャラクターでいえば、擬人化ってありますよね。動物や物を人のように描くやつ。それで、「何を擬人化するか」っていうのはアイデアなので、その点が同じでも著作権侵害にはなりません。カエルを擬人化したり、本を擬人化したりとか。

ナシを擬人化したキャラクターもありますよね。

ナシを擬人化することは独創的だと思いますが、それ自体はアイデアです。なので、新しくナシを擬人化したキャラクターを作ってもそれだけでは著作権侵害にはなりません。もちろん、両目が上を向いていて、リボンの付いた青い服を着ていたりしたら著作権侵害の可能性は高くなりますけど。

つまり「何を擬人化するか」とか、そういうアイデアのレベルでは参考にしてもいいってことですか。
他には、何か見た目を参考にするやり方ってありますか?

あとは・・・そうですね。
参考にするならシンプルなキャラがいいかも知れません。

シンプルなキャラですか?

はい。手足が一本の線で表現されていたり、顔のパーツがシンプルな丸や直線だけで描かれているものとか。シンプルでも結構かわいいキャラクターっているじゃないですか。ああいうのはシンプルさが良いといえますが、著作権的には「ごくありふれた表現」とされることが多いです。

なるほど。

そういうシンプルな表現をいろいろ組み合わせたりアレンジしてみたりすれば、著作権的にも問題ないキャラクターを作れると思いますよ。もちろん、シンプルなキャラクターにも著作権は認められますから、デッドコピーとか、線を微妙に変えただけとかではダメですが。

それはさすがしませんよ。

モラルの問題もありますからね。いずれにせよ、他のキャラクターを参考にすること自体は悪いことじゃありませんので、たくさん見ていい所は取り入れていくって感じでいいと思いますよ。
【解説】
(1) 参考にすることは悪いことではない
新しい創作をするときに他の作品を参考にするのはよくあることです。
また、創作は他の作品に刺激を受けながら発展していくものなので、他の作品を参考にすること自体は非難される事ではありません。著作権法においても、その点はしっかり考慮されています。
その表れとして、著作権の保護は「ごくありふれた表現」や「アイデア」には及ばない、と解釈されているのです。
つまり、「ごくありふれた表現」や「アイデア」の限度では他者の作品を参考にしてもよいのです。このことが、他の作品を参考にする際に最も大切なことといえます。
(2) 他のキャラクターをどう参考にする?
キャラクターに関していえば、例えば線や丸だけで作られたシンプルなものは、「ごくありふれた表現」として著作権は認められないでしょうし、「何をモチーフにするか」などというものは「アイデア」の範疇ですから、そこにも著作権は認められません。
このような既存の「アイデア」や「ごくありふれた表現」を創作の出発点として新たに「表現」を生み出すことが、まさに著作権法が文化の発展のために推奨していることなのです。
(3) セーフのラインをどう考える?
前に説明したとおり、どこまでが「アイデア」や「ごくありふれた表現」で、どこからが「表現」であるか判断が難しい場合があります。
しかし、法的に許されるキャラクターを作るためにはポイントがあります。
その一つとして、参考にする範囲を抽象的なレベルにとどめるというものがあります。
例えば、参考にする範囲を「猫をモチーフにしたキャラクターにする」とか「青い服を着ていることにする」とかのレベルにとどめるということです。
それを超えて、「ネコ型のロボットで、二頭身で、おなかにポケットを付けて・・・」というような具体的なところまで参考にしてしまうと、どんどん著作権侵害のリスクは高くなってきます。
このあたりの感覚は常識的にもある程度備わっているものと思われますが、それを著作権からみたらどういう意味を持つのかということを把握するのは大切でしょう。
弁護士への法律相談(初回30分無料)はこちらから。
新キャラクターを考えるとき、既存のキャラクターはどこまで参考にしていいの?

サイトにイメージキャラクターとかあったらいいような気がするんですよね。
それで、どういうキャラクターがいいか考えているんですけど。既存のキャラクターを使うのはマズイですよね?

許諾をもらえばいいと思いますけど。
勝手に使うと著作権のほか、商標権や不正競争防止法の問題にもなりますよ。

でもライセンス料を払うお金なんてないし・・・。
新しく作るものも考えたんですけど、なかなか難しいですよね、キャラクターを考えるのって。

ゼロから作るのは難しいでしょうね。
でも、既存のキャラクターを参考にしてみればいいじゃないですか?

え?でも他のキャラクターを参考にするって、著作権違反なイメージですけど。

参考の仕方にもよります。
それに、そもそもキャラクター自体に著作権は認められないんですよ。

は?すいません、言っている意味が分からないんですけど。

著作権って、「表現」を保護するものじゃないですか。だから、キャラクターの「絵」は保護されます。マンガとかアニメで描かれたものですね。でも、その「絵」から離れた、キャラクターの性格とか人格は保護されないんですよ。

すいません・・。まだちょっとよく分からないんですけど。

そうですね・・・。
例えば、ホウレンソウを食べて強くなる白人マッチョの水兵さんのキャラクターを知っていますか?

ああ、知ってます。

あれは既存のキャラクターですけど、例えばホウレンソウを食べて強くなる水兵さんを東洋人のガリガリの少年の外見のを持つキャラクターとして描けば、それは新しいキャラクターとして著作権侵害にはならないんですよ。

なんとなくイメージがつかめてきました。
「表現」が被らなければ、ってことですか。

そうです。もちろん、「あのキャラクターの設定と似ているな」とは思われるかも知れませんが、それは著作権と関係ないので。

キャラクターの「設定」みたいなものは似ていてもいいっていうことですね。

そういうことです。ただ、「設定」が外見に影響を与える結果、見た目が同じようになるときは別ですよ。例えば、割れたアゴ、パイプを加えて、上腕に前腕にイカリのマークが描いてあれば、東洋人の外見であったとしても著作権侵害の可能性は上がります。

分かりました。
「設定」と「外見(表現)」は分けて考えるってことですね。
【解説】
(1) キャラクターと著作権
著作権法の世界では、「キャラクターに著作権は認められない」といわれることがあります。
これだけ聞くと、キャラクターは利用し放題ともとられかねませんが、そういうことではありません。
裁判では、キャラクターを次のように定義しています。
(マンガなどの)具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念
キャラクターには「人格」があります。「設定」と言い換えてもいいかも知れません。
魅力的なキャラクターはその「人格」が魅力的なこともありますし、長い間連載されることで、キャラクターの「人格」は熟成されます。
その意味で、キャラクターの「人格」は価値を持つと考えることもできるでしょう。
しかし、著作権は「表現」を保護するものです。
「絵」として表現されたキャラクターの姿や、「文章」として表現されたキャラクターのセリフなどはこの「表現」として保護されます。
しかしながら、それらを離れたキャラクターの「人格」それ自体は「表現」ではありません。そのため、ここに著作権の保護は及ばないのです。
このことをとらえて、著作権法の世界では「キャラクターに著作権は認められない」といわれているのです。
見た目が同じようなキャラクターを作成すればそれは「絵」として「表現」されたものの「複製」(又は「翻案」)であり、著作権侵害になってしまいますので、誤解のないようにしてください。
(2) 「設定」と「外見(表現)」は区別して考える
「人格」や「設定」が似ていても、見た目などの「表現」が異なれば、そのキャラクターは著作権侵害にはなりません。
もっとも、「設定」が見た目に影響を与える結果「表現」が似てしまう場合には、著作権侵害の可能性はあります。
ただ、どこまでが「設定」でどこからが「外見(表現)」かというのは微妙な場合もあります。
他のキャラクターの「設定」を参考にして新しくキャラクターを作る場合には、最低限「見た目」に違いを出すのが無難でしょう。
(3) 著作権法以外にも注意する法律があり得る
キャラクターのデザインは著作権の保護を受けますが、キャラクターの「名前」とか「作品名」などは商標法、不正競争防止法などで保護されているものです。
これらは著作権とは別に考えなければいけませんので、「名前」や「作品名」を使うことになる場合は、別途注意しましょう。
弁護士への法律相談(初回30分無料)はこちらから。
他の作品が写り込んだ写真は使える?|「写り込み」の規定 とは

写真を撮ってると、本当にいろんなものが写り込みますよね。
子供のTシャツがキャラクターものだったり、カバンに有名キャラクターのキーホルダーが付けられていたり。

そうですね。スナップ写真だとなおさら。

そういうのは建物と違うじゃないですか。
そうなると、やっぱり著作権侵害って言われたりするんですか?

ずいぶん厳密に考えましたね。
軽微な写り込みであれば問題ないです。法律で決まっているんですよ。

そうなんですか? 実際、どういうときがOKなんですか?

写真や動画を撮る場合で、写り込んでしまうものを分離することが難しいときです。

分離するのが難しいとき・・・?

例えば、子供のTシャツがキャラクターものだからといって「脱げ」とはいえませんよね。また、人の一瞬のたたずまいをとらえたいとき、カバンのキーホルダーを「取れ」ともいえません。シャッターチャンスを逃してしまいますから。
そういうのは分離するのが難しいといえます。

なるほど。

ただ、写り込む作品が写真のメインとなっていてはダメです。あくまでも「写り込み」なので。
あと、写り込んでしまったことをいいことに、それを拡大して販売する、なんてこともダメです。

まあそれはそうですよね。

イメージ的には、写真や動画にたまたま他の作品が入り込んでしまった場合については、著作権侵害にしないことにしましょう、という感じです。
【解説】
(1) 著作権法改正で認められた「写り込み」
写真や動画を撮る際には、どうしても他の作品が写り込んでしまうことがあります。
このような場合、写り込んでしまった作品の権利者に損害が生じることは少ないでしょう。しかし、厳密には作品の「複製」などに該当します。
そのため、これが写真や動画作品を作る際の支障になっているのではないかという問題がありました。
そこで、平成24年の著作権法改正で新しく作られたのが「写り込み」に関する規定です。正式な条文は次のとおりです。
(付随対象著作物の利用)
第30条の2
1 写真の撮影,録音又は録画(以下この項において「写真の撮影等」という。)の方法によって著作物を創作するに当たって,当該著作物(以下この条において「写真等著作物」という。)に係る写真の撮影等の対象とする事物又は音から分離することが困難であるため付随して対象となる事物又は音に係る他の著作物(当該写真等著作物における軽微な構成部分となるものに限る。以下この条において「付随対象著作物」という。)は,当該創作に伴って複製又は翻案することができる。ただし,当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該複製又は翻案の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は,この限りでない。
2 前項の規定により複製又は翻案された付随対象著作物は,同項に規定する写真等著作物の利用に伴って利用することができる。ただし,当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は,この限りでない。
(2) 「写り込み」の規定で何が変わるの?
この規定が作られる前から、写り込みに関しては緩やかに考えられてきました。
そのため、この規定によって生活や創作活動に劇的な変化をもたらすとはいい難いでしょう。
ただ、著作権を侵害していないかのチェックは容易になったといえます。
なお、この規定は、動画や録音に入り込んでしまう「音楽」も対象にしています。
例えば、動画を撮っているときに、街中のスピーカーから流れくる音楽が動画に入り込んでも、音楽の「複製」として著作権侵害にはならないということです。
もちろん、入り込んでしまった音楽をそれだけ抜き取って複製、販売することは違法ですが、動画制作の幅が広がる可能性はあると思われます。
弁護士への法律相談(初回30分無料)はこちらから。