コラム

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平日 10:00~18:00

自分のサイトにほかのサイトのURLを貼っても大丈夫なのか?

そういえば、他のWEBサイトのURLが貼られてることって結構あるじゃないですか。

単純な「http://www.●●.jp」みたいなのを貼っているってことですか?

そうです!!

いい情報が載っているサイトを、そういう形で自分の記事で紹介したくてああいうのは著作権的には問題ないんですか?

問題になることは少ないでしょうね。リンク先のコンテンツをコピーしている訳ではないですし。

そうなんですか??

たまに、リンクを張るときはサイト管理者の許可を受けてください、なんて書いてるサイトもありますけど。

そういうのもありますけど、著作権的にはあまり意味がないと思います。モラルの問題はともかくとして。

それじゃあ、割と気軽にURLを張ってもいいってことですか。

そう思います。ただ、リンク先の内容によっては少し気を付けた方がいいこともありますよ。

例えば、リンク先で違法ダウンロードできるような場合とか。

え、そんなことってあるんですか?

ええ。ウェブサイトの中には、URLを貼る形で、違法ダウンロードできる所を紹介するサイトがあるんです。そういうサイト自身は違法アップロードをしている訳ではないですし、単にURLを貼っているだけです。でも、著作権侵害を助長していますよね。

確かに。ちょっと悪いことをしてるとは思います。

そういう形でリンクを張ると、著作権侵害を助長(幇助)したということで、法的な責任を負う可能性はあります

へえ。でも私はそんなことしませんよ。

まあこういう例は少ないと思いますが。リンクを張るのはどんな場合でも許される訳ではないってことです。

【解説】

(1) 基本的に、リンクは張ってもいい

著作権法から考えると、URLを貼る行為は、基本的に問題ないと考えて差支えありません。
単なる文字列を載せてているだけで、作品を複製したり、アップロードしたりしている訳ではないからです。

リンクを貼る際にはサイト管理者の承諾を取ってください」と書かれたサイトもありますが、法的にはあまり意味はありません。
そのため、サイト外リンク経由のサイト閲覧を制限したい場合には、そのようなアクセスを制限するなどの技術的な手段が必要になるでしょう。

 

(2) 法的に許されない場合も

インターネット上には、違法にアップロードされたファイルをダウンロードできるところを紹介し、そのURLを貼るようなサイトが存在します。
そのようなサイトは、直接違法アップロードや違法ダウンロードをしている訳ではありません。
しかし、それらの違法行為を助長(幇助)するものですから、法的責任を負う可能性があります

もっとも、このような行為を過度に規制すると、リンクを張る行為を躊躇させることになり、インターネットの自由な利用が妨げられる、という懸念があります。
そのため、URLを貼る行為に法的責任が認められるのは、悪質な場合になると思われます。

なお、今回取り上げたのは単純にURLの文字列(「http://www.●●.jp」のようなもの)を記載する行為に関してです。

画像や動画の埋め込みについては、後に説明します。

 

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本の内容を参考にしてWEBサイトの記事を書いてもいいの?

記事のネタはだいたい決まりました。

後は書くだけなんですけど、調べることも多くて。

適当なことを書いちゃうのは避けたいですよね。サイトって形に残りますから。

そうなんです。だから、ある程度はちゃんと調べなきゃと思って。解説本とかも参考にしているんですけど・・・

いま本の内容をどこまで記事に移していいか悩んでいて。

ああ、確かにそこは著作権的に迷いそうなところかも知れません。

困ってるのは、本を参考にして何かを説明しようとすると、同じような文章になっちゃうんです。

そういうことってありますよね。

でも、その辺は緩めに考えてもいいかも知れませんよ。

そうなんですか? どういうことですか?

書く内容によっては順序とか中身がある程度決まってくることってあるじゃないですか。
例えば、世界史の解説だと、猿人・原人の話→石器の話→四大文明みたいな感じで。
こういう、誰が書いても同じような説明になるときは、ある程度文章が似ていても、著作権侵害にならないことになっているんです。

そうなんだ!!

もちろん、特徴的なものを真似したり、デッドコピーしたりしたら著作権侵害になり得ますけど。
普通の文で書かれているものだったらある程度気楽に考えて、記事を書いていいと思いますよ。

あー、それなら良かったです。

同じような理由で、言葉の定義」にも著作権が認められないことがほとんどです。

言葉の定義というと「●●とは××である。」みたいなやつですか?

そうです。言葉の説明って、それこそ誰が書いても同じになるじゃないですか。

なので、普通の定義であれば、デッドコピーでも許される場合が多いでしょうね。

おおー。今日はいいことを聞けました。

いつもいいことを言っているつもりなんですが。

【解説】

(1) 解説本などに表れる「不可避的表現」

不可避的表現」に著作権が認められないことは前に少し触れました。
これが実際の場面でどのように問題になるか、ということが今回の会話の内容です。

例えば、何かトピックについて解説するとき、誰がやっても同じような表現になることがあります。分かりやすくシンプルな解説を突き詰めると、その特徴はなおさら強く表れます。

このような解説文に広く著作権を認めてしまうと、他の人がそのトピックを解説できなくなってしまいます。
無理に他と被らない表現をすれば、かえって分かりづらくなってしまうかも知れません。

このような理由から、誰がやっても同じような表現になるような場合には、著作権侵害が認められる範囲は狭くなっています。

 

(2) 定義にも著作権は認められづらい

これと同じような理由から、言葉の「定義」にも著作権が認められることは少ないです。

学問の分野によっては、定義自体に考え方の違いがあることがあります。
憲法9条の「戦力」などは典型的な例です。
このような場面では、言葉の定義を考えるにあたっても相当な労力がかかることがあります。

しかし、このような場合であっても、言葉の定義に著作権が認められる場合は多くありません
考え方の違いはまさにアイデア」そのものです。そのため、これを普通の言葉で表現したものに著作権を認めてしまうと、アイデア」自体を著作権で保護することになってしまうからです。

 

(3) 国語辞典1冊のコピーはアウト

なお、言葉の定義を集めたものとして国語辞典がありますが、これを一冊コピーするような行為は著作権侵害にあたります
一つ一つの定義に著作権が認められることは少ないですが、辞書全体は別途「編集著作物」として保護されるからです。

 

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ほかのWEBサイトの文章を参考にして記事を書いてもいいの?

やっと、サイトの構成が決まりました。
あとは記事を書いたりするだけです。

一段落ですね。お疲れ様でした。

でも、これからが大変じゃないですか? コンテンツを充実させないと、魅力的なサイトにはなりませんし

そうなんですよ。ただ、ネタを全部自分達で考えるのは限界があって。

それで、類似サイトのコンテンツを参考にしようかなと

ああ、いいんじゃないですか。

そういう時って、著作権的にどこを気を付ければいいですか?

そうですね・・・
著作権で保護されるのは「表現」だけって話でしたよね。アイデア」は保護されない。

なので、参考にするのは取り上げる“内容”までというところでしょうか。

ええと? ちょっと良く分かりません・・。

簡単にいえば、トピックは同じでもいいということです。
ニュースサイトなら、他サイトで取り上げている出来事と同じ出来事を取り上げてもいい。
何かを解説するサイトなら、他サイトで既に解説されているものと同じ事項を解説してもいい。みたいな感じです。

んーと・・・。

つまり、「何についての記事を書こうか」っていう程度なら、他と同じであってもいいってことですか?

その通りです!!

ただ、まんま記事をコピペしたり、似たような文章で書いたりすると、著作権侵害になり得ます。

そこまでいくと表現」まで真似しちゃうことになるから??

そうです。

だから、「何について記事にしようか」っていう“ネタ”は他を参考にするとして、それを自分なりの文章にすれば、立派に適法な記事になります。

わかりました。

そうすると、ネタ探しに困ることは少なくなりそうですね。

だと思います。

ただ、毎回同じところからネタを引っ張ってくると、他の問題も起こってきちゃいますので。

分かってます。そこは大丈夫です。

どうしても他サイトと同じ文章を載せたいと思ったら、「引用」とかも検討してみてください。

あとは作者の腕次第なので、どんどんいい記事を作っていってくださいね。

【解説】

(1) 文章はどこまでなら参考にしていい?

著作権で保護されるのは、実際に表れた表現」に限られる、という話は前に説明しました。
表現」に至る前の「アイデア」や「事実」といったものは、著作権で保護されないという話です。

このような話は、サイトを作るときにも大きく影響してきます

どういうことかというと、サイトで取り上げるトピックが同じということだけでは、著作権侵害にならないのです。
なぜなら、「どういう内容を取り上げるのか」といったこと自体は「アイデア」の域を出ないからです。

 

(2) 表現まで真似てしまうとアウト

もっとも、同じトピックを取り上げるとしても、それをどのように表現するか独自に考えなければなりません。
コピペをしたり、同じような文章を作るなどして「表現」まで同じにしてしまうと、著作権侵害となってしまいます

 

(3) ごくありふれた表現の真似ならどうか?

ごくありふれた表現」の限度で表現が同じであるというのであれば、著作権侵害にはなりません。

ただ、「ごくありふれた表現」と判断されるものであっても、何行にもわたって表現を真似してしまうと、著作権侵害のリスクは高まります
単純な文章の真似でも、その文章の“順番”や“運び”に表れた「作者の個性」を真似したと認められる可能性があるためです。

どうしても他サイトのコンテンツなどをコピーしたい場合には、「引用」などを利用することで、自分のサイトに取り込むこともできます。
他サイトのコンテンツを利用することで、より良いサイトが作れると考える場合は、(一定のルールはありますが)こういった手段を検討することになるでしょう。

 

(4) 毎回同じサイトからは控えよう

なお、一つのサイトのトピックを毎回参考にしたりして、取り扱うトピックがほとんど同じになるような場合は「編集著作物」の複製として著作権侵害になる可能性があります

また、そこまでいかなくても、毎回ネタを同じところから持ってくるのは社会的に避難されかねません。

このようなケースは多くはないと思いますが、念のため注意しましょう。

 

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【WEBサイトと法律】キャッチコピーやメニューは参考にしていい?

サイトの骨組みは出来たみたいです。

ただ、これから書く内容を考えなきゃいけません。

コンテンツを作るのが大事ですからね。

そうなんですよ。

それで今は、サイトの項目とかを考えています。

ああ。グローバルナビとかサイドメニューに入れる項目ですか?

そうです。これは他のサイトを参考にしても大丈夫ですよね?

ええ。項目やその順番が同じだというだけでは、著作権的に問題にはなりづらいでしょうね。
参考にするサイトがよっぽど変わったものじゃなければ。

そうですか。それなら安心しました!!

でもメニューのデザインとかをそっくりそのままコピーするのはあんまりオススメしませんよ。

そういうことはしません。項目とかその順番も、少しは変えるつもりですし。

それなら大丈夫でしょうね。

あと、キャッチコピーみたいなものも考えています。

でも、これなかなか難しくて。

キャッチコピーも難しいですよね。専門のライターさんがいるくらいですから。

これはさすがに真似したらまずいですよね?

いや、必ずしもそういう訳ではないと思います。

キャッチコピーも短いものが多いので、「作者の個性」がないとか、「ごくありふれた表現」として、著作権が認められないものも少なくありません

それは意外でした・・。

頼れるあなたのパートナー」とか「あなたのそばに」みたいなものには著作権ないでしょうね。

でも、そういうの以外にも、凝ったものとか、少し長いものとかもありますよ?

そういうのは著作権が認められるかも知れません。

でも、言葉の順番を変えたりすれば、著作権侵害でなくなることが多いと思います。

あれ? 作品をちょっとだけ変えても、「翻案(二次的著作物の作成行為)」ということでダメじゃなかったでしたっけ?

キャッチコピーって、言葉としては単純なものが多いじゃないですか。

なので、凝ったものであっても、少し変えるだけで作者の個性」が消えてしまう、とされることが多いんです。

そうなんですか?

キャッチコピーも、相当苦労して作るものだと思うんですけど・・。

確かにそうですね。

だけど、単純な言葉にどんどん著作権を認めてしまうと、他の人が使える言葉が少なくなっちゃいますから。

そういわれると、納得できなくはないかな・・。

ただ、あんまりあからさまな真似になると、社会的に非難されかねません。
著作権的には大丈夫でも、節度は保ってくださいね。

【解説】

(1) サイトの項目やその順番は、どう考える?

サイトの項目やその記載の順番には、著作権が認められないことがほとんどでしょう。
サイトの項目をどうするか、ということ自体は「アイデア」ですし、それをどういう順番で並べるかも、作者の個性」が表れる場面とはいいづらいからです。

サイトの項目名に関しても、個性的であったりする場合には著作権が認められるでしょう。
しかし、一般的な「TOPページ」「このサイトについて」「お問い合わせ」といった項目名には著作権は認められません

 

(2) キャッチコピーはどうなる?

キャッチコピーに関しても、著作権が認められないことが珍しくありません
キャッチコピー短いものが多く、また言葉自体も単純なものが多いため、「作者の個性」が認められなかったり、「ごくありふれた表現」と判断されてしまうからです。

キャッチコピーであっても、凝ったものや、ある程度長い文章になっているものには、「作者の個性」が認められるとして、著作権が発生する場合はあります

ただ、そのような場合でも、文章を少し変更するだけで、著作権侵害でなくなることが多くあります。
キャッチコピーは、「わかりやすさ」や「インパクト」を重視する関係で文章自体がシンプルになりがちですが、シンプルな文章を少し変えてしまうと、「作者の個性」も消えてしまうと考えられてしまうからです。

また、シンプルな文章に著作権を広く認めてしまうと、人々の日常生活や後発の創作にも支障が出てしまいます。

 

(3) やはりデッドコピーは控えるべき

もっとも、シンプルな文章であっても、デッドコピーをしてしまうと著作権侵害のリスクは高くなりますシンプルな文章の中に(薄いながらも)表れた作者の個性」を複製したと判断され得るからです。

また、著作権法的には問題なくとも、モラル違反は非難の対象とされかねません
キャッチコピーは労力をかけて作られたものが少なくないので、その傾向が強くあります。

そのため、他社のキャッチコピーを参考にする際にも、ある程度のモラルは守っておくべきでしょう。

 

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【WEBサイトと法律】デザインやレイアウトは参考にしていい?

サイトってまず、全体的なデザインというか、レイアウトも決めなきゃいけないですよね。

なので、いろいろ他のサイトを参考にしているんですけど・・・。

いいんじゃないですか。

プロに頼むときも、だいたい参考のサイトをいくつか持っていって「こんな感じで。」って頼みますからね。

そうですよね。

でも、著作権的に大丈夫なんですか、そういうのって?

サイトのデザインとかレイアウトにも、著作権は認められますから、そっくりそのままコピーするとかはマズいでしょうね。

でも、そのままのコピーでなければ、問題になることは多くありません

そうなんですか?

サイトのデザインとかレイアウトって、だいたいパターンがあるじゃないですか。
一番上にサイト名があって、トップメイン画像、その下にグローバルナビゲーション・・みたいな感じで。

わかります! 良くあるパターンですね!!

そういうパターン通りのサイトを作っただけでは作者の個性」が表れているとはいいづらいんです。

ごくありふれた表現」ともいえるかも知れませんね。

なるほどー。

これまで「作者の個性」とか「ごくありふれた表現」っていう言葉、何度か聞きましたね。

はい。なので変わったサイトじゃなければ、サイトデザイン・レイアウト参考にしても問題になりづらいでしょう

そうですか、それなら良かったです!!

逆にいうと、自分で作ったサイトデザインを真似されたくないと思ったら、他にないような個性的なサイトを作る必要があるでしょうね。

今回は普通のサイトを作るつもりなので、それはまた今度の機会にします。

【解説】

(1) サイトデザイン・レイアウトにも著作権は認められる

サイト全体のデザインレイアウトにも、著作権が認められることがあります

ただし、ウェブサイトのデザイン・レイアウトは、ある程度のパターンがあるところです。
そして、良くあるパターン通りのサイトデザインは、「ごくありふれた表現」として、著作権が認められないことの方が多いでしょう。

また、「一番上にサイト名を配置し、その下にトップメイン画像、さらにその下にグローバルナビゲーションを置く」といったパターンそれ自体は「アイデア」にとどまります。

そういう意味でも、やはり良くあるパターン通りのサイトデザインに著作権は認められません。

 

(2) デッドコピーは控えるべき

もっとも、パターンが同じであっても、人が作るものである以上、全く同じサイトができることは考え難いでしょう。
同じパターンであっても、作者ごとに “ゆらぎ”のようなものが表れるからです。

そうすると、(非常に薄い範囲ではありますが)その“ゆらぎ“の限りで、作者の個性があるとされる余地があります

そのため、HTMLの記述をコピペするなどの形で、全く同じデザイン・レイアウトのサイトを作ることは、たとえありふれたパターンのものであっても著作権侵害になる可能性があります

HTMLの記述はプログラムの著作物として保護されることもありますから、やはり他人のウェブサイトをデッドコピー(そっくりそのまま複製)することは控えるべきでしょう。

 

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【知っておくべき】WEBサイトの名前に著作権は認められるのか?

ドメイン名も決めなきゃいけませんけど、他にもいろいろあるんですよね。サイト名も決めなきゃいけないですし。

あ、サイト名の方は、著作権的にはどうなりますか?

サイト名も短いものが多いですから、ドメイン名と同じで著作権が認められないことの方が多いでしょうね。

ただ、やっぱり注意すべき法律は他にあります。

例の「不正競争防止法」ですか。

その通りです。

あとは『商標法』も重要です。

えー、また聞いたことのない法律が出てきましたけど。

安心してください。2つとも考え方は似ていますので。

簡単にいえば、2つとも「既に有名になっている名前にただ乗りしちゃダメ」っていうルールを規定しているんです。

うーん。それだけ聞いても良く分かりません・・。

会社名とか商品名に、ブランドってあるじゃないですか。
会社の「SONY」とか、パソコンの「VAIO」みたいな。

はい。聞いたことあります。

そういう名前がついてたら、信用できますよね。一流の会社、有名な商品だから品質がいいだろうと。だから買いたくもなります。
でも、そういう信用って、企業がいままで頑張ってきたから得られたものじゃないですか。だから、そういう会社名とか商品名を他人が勝手に使ったら、ずるいですよね。

確かに。

それに、品質の悪い商品に同じ名前を付けられたら、せっかく作り上げてきた信用もガタ落ちです。
なので、既に有名になっている名前にただ乗りすることはダメですよと。こういうことを規定したのが「不正競争防止法」と「商標法」です。

なるほどー。

ウェブサイトでいえば・・
例えばインターネットショッピングができるサイトに「amazon」とか「楽天」と同じようなサイト名を付けてしまうとまずいですね

さすがにそんなことはしないと思いますけど。

まあ極端な例です。

サイト名を考える時も、似たような名前のサイトがないか、一応確認した方がいいと思いますよ

【解説】

(1) サイト名には著作権はあるの?

サイト名に関しても、著作権が認められないことの方が多いと考えられます。
ドメイン名と同じく、短い文字列であることがほとんどだからです。

もっとも、非常に長いサイト名であったり、作者の強い個性が認められる場合には、著作権で保護される可能性もあるでしょう。これもドメイン名と同様です。

 

(2) 他に注意する法律は?

サイト名を考えるにあたって注意すべき法律としては、「不正競争防止法」のほか、「商標法」があげられます。
どちらも、著作権と同じく、知的財産に関してのルールを定めた法律です。

これらの法律についての詳しい説明は省きますが、いずれも、既存のブランドにただ乗りするような行為を禁止しています。

これらの法律に違反した場合には、差止損害賠償の請求がなされることがあります。

サイト名に関しても、将来のHP運営に支障を来さないため、考案の際には他の似た「サイト名」や「商品名」等がないか確認しておくべきでしょう

 

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ドメイン名に著作権はある?不正競争防止法の規制とは?

ようやく、HPの制作に着手しました。

でも、いろいろ決めなきゃいけないことが多いみたいで。

最初はそうですよね。

いまドメイン名を考えています。「●●.jp」とか、「××.com」みたいなやつ。

あ、そういえばドメイン名って著作権はどうなるんですか?

うーん。まあ短いですし、著作権が認められないことの方が多いでしょうね。

そうですか。じゃあドメイン名で法律的に悩むことはないですね。

いや、著作権的には問題がなくても、別の法律に引っかかる可能性はありますよ。

そうなんですか。

はい。例えば『不正競争防止法』が考えられます。

ふせい競争? 聞いたことないです。

まあそういう法律があるんですけど、その法律にドメイン名のことが書かれているんですよ。
簡単にいうと、不正な目的でのドメイン名の取得、使用などダメって書いています。

不正な目的・・っていうと、どんなものですか?

そうですね、例えば・・。
人が使いたいと思うドメイン名って、大体決まってますよね。自分の会社名とか、商品名とか。
でも、ドメイン名って、他の人が使っていたら使えないじゃないですか。

分かります。空きがあるかチェックしてますもん。

そうすると、これを悪用する人が出てくるわけですよ。
例えば、ライバル会社がその会社名のドメインを登録していないから、全部こっちで取っちゃえ、みたいな。

え、そんなことってあるんですか? 嫌がらせですか?

嫌がらせの場合もあるでしょうけど。
自分の取ったドメイン名って、売ることもできるんですよ。だから、先にドメイン名を取ってしまって、高額で売りつけよう、みたいなこともあり得るんです。
こういうのは、さっき言った不正の目的にあたるでしょうね。

なるほど。

ドメイン名についてもこんな感じで法律のルールがあります。
なので、考え付いたドメイン名が他人の会社名商品名とかと似ている時は、念のため注意してくださいね

【解説】

(1) ドメイン名に著作権はあるの?

ドメイン名には著作権が認められないことの方が多いでしょう。

一般的にドメイン名短い文字列ですから、作者の個性が認められないとか、「ごくありふれた表現」にすぎないと判断されるからです。

もっとも、非常に長い文字列であったり、短くても作者の強い個性が認められる場合には、著作権で保護される可能性もあるでしょう。

 

(2) 不正競争防止法の規制は、どうなっているの?

ドメイン名に関しては、不正競争防止法にルールが規定されています。

条文としては、次のように書かれています。

不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為(不正競争防止法2条1項12号)

このような行為が「不正競争」にあたるものとして禁止されています。

これに違反した場合には、著作権と同じように、差止損害賠償の請求がなされる可能性があります。

将来のHP運営に支障を来さないためにも、ドメイン名の取得の際には、他に似た「会社名」や「商品名」等がないか、一通り確認しておくことをお勧めします

 

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著作者人格権が持つ3つの権利とは?著作権との違いについても

そういえば、著作権を考えるうえで一つ大事なことを説明していませんでした。

著作者人格権』って、聞いたことありますか?

いや? ぜんぜん知りません。

とっても重要なので、覚えておいた方がいいですよ。

覚えます! 難しくなければ!!

そんなに難しい話じゃありません。

では説明しますね。
まず、何か作品を作るときって、自分がいいと思うものを作るわけじゃないですか。

まあ、そうでしょうね。

いいと思うものは人それぞれです。他の人と完全に同じになることはありません。

ということは、「何をいいと思うか」って、その人自身を表しているともいえますよね。

わかります。(けど、これ法律の話?)

つまり、作品って、作者の「これがいいと思ったんだ」という思いが形になったものです。

そうすると、作品って、その作者自身が投影されたものということができませんか。

うーん、まあそうですね。

そういう感じで、作品に表れた作者自身作者の「人格」を保護するのが「著作者人格権」です。

著作権と並んで、作者に認められるようになります。

・・・分かったような分からないような?

実際、その著作者人格権」があったらどうなるんですか?

結構いいことがありますよ。
著作者人格権」の中身を説明すると、大きく分けて3つあります。①公表権、②氏名表示権、③同一性保持権、この3つ。
これらが作者に認められることになります

ちょっと待ってくださいね。

こうひょう・・しめいひょうじ・・どういつせいほじ・・・ですね

順番に説明していきます。

まず①公表権
これは、作品の公表を自由にできる権利です。

公表を自由に・・。なんか当たり前な感じじゃないですか、それ?

そうですけど、とても重要ですよ。

秘密で描いたマンガとか、勝手に公表されたら困るじゃないですか。

そりゃそうですけど・・・。

次に②氏名表示権
これは作者の名前をどうするか自由にできる権利です。
どういう作者名で公表するか決められますし、作者名なしでもOKです。

ペンネームみたいなやつですか?

そういうことです。作品は公表したいけど、それを自分が作ったことはみんなに知られたくないときとかに便利ですね。

はあ・・。

最後に③同一性保持権
これは自分の意思に反して勝手に作品を変えられないようにする権利です。

それは分かりやすいかも。

あれ? でも前に聞いた「翻案」と違うんですか?

違うものと考えて大丈夫です。ただ、二つは重なる部分もありますね。

著作者人格権」の内容は、大きく分けてこの3つです。

それだけ?

あんまり「スゴイ!」って感じがしないような・・。

まあ、簡単な説明だけでは重要性は分かりづらいですよね。
でも意外に多くの場面で顔を出すものなので、とりあえず頭の片隅に入れておいてください。

【解説】

(1) 著作者人格権とは?

著作者人格権は、著作権と並んで、作者に認められる権利です。

著作者人格権の大きな特徴として、他の人に譲り渡すことができない、というものがあります。
著作権売ったり買ったりできるので、この違いは意識しましょう。

 

(2) 著作者人格権の中身はどんなもの?

著作者人格権の内容となる3つの権利を、もう少し詳しく見てみましょう。

【①公表権
これは、作った作品を公表するかしないか、公表するとしていつするのかを決める権利です。

作品は作者自身が投影されたものです。そのため、作品を公表することは、自分の人格を公表するものともいえます。自分の人格を公表するかどうかは、自分自身が決めるべきもの。そのような発想から、公表権が認められています。

【②氏名表示権
これは、作者名を表示するかしないか、表示するとしてどのような名前を表示するか決める権利です。

先ほど説明したとおり、作品を公表することは、自分の人格を公表するものといえます。そのことは逆に、作品を通じて作者の人格が把握されてしまうということも意味します。
作品に表れた人格は自分のものだ」と広く公表したい人もいるでしょうし、逆に「作品自体は発表したいけれども、こういう作品を作る人だと知って欲しくない」という人もいると思います。そのために、作者名を自由にする権利が認められているのです。

【③同一性保持権
これは、作者の意思に反して作品を改変させられないようにする権利です。

作品が勝手に改変されることは、そこに表れた作者の人格が勝手に変えられてしまうことを意味します。自分の作品は自分自身、わが子のようなものです。そのようなものを勝手に改変されたとき、自分自身が踏みにじられたと感じることすらあるでしょう。そのような発想から、同一性保持権が認められているのです。

 

(3) どういう場合に問題になるの?

著作者人格権は、通常の著作権と比べて問題となる機会は少ないといえます。
しかし、契約の際は必ず注意しなければなりません
また、著作権を持っている人と実際に作った人が違う場合などには注意しなければならないといえます。

著作権を考える際には、著作者人格権に対する意識は常に持っておくべきでしょう。

 

 

 

【インターネットと著作権に関する講座9】著作権侵害と損害賠償について

自分のホームページを勝手に複製されたら、法律違反ですよね?

そういうときって、犯人にお金払えって言えるんですか?

言えると思いますよ。損害賠償ってことで。

そういうときって、いくらもらえるんですか?

いくら・・ですか。ええと、それを考えるためには、まず損害賠償の制度について理解しなければいけません。

ちなみに、損害賠償についてはどういうイメージを持ってます?

悪いことをした人に、お金を払ってもらう・・・みたいな?

まあそうなんですけど。
簡単にいうと、発生した「損害」の埋め合わせをする制度なんです。

なので、いくらお金をもらえるかは、どのくらい「損害」が出たかによります

ええと??

さっきから言ってるその損害」って何なんですか?

例えば交通事故でケガをしたら、治療費がかかりますし、働けなくなれば、給料がもらえなくなります。そういうマイナス損害」のイメージです

なるほど。じゃあ著作権のときは「損害」って何になるんですか?

そこがポイントなんですよ。

作品を無断でコピーされたからといって、自分の作品を使うことはできるじゃないですか。事故と違って、ケガするわけでもないですし。

え、そしたら著作権の「損害」ってないんですか。

でも、コピーされなかったら、自分の作品が売れたかも知れないです。もし正式にコピーを許諾していたら、ライセンス料(著作権使用料)をもらっていたかも知れません。

そういうもの「損害」なんですか?

そうです。

その他、場合によっては慰謝料的なものも発生しますし。

そうなんですか。じゃあやっぱり犯人からお金を取れますね。

ええ。ただ著作権の損害賠償って計算が独特です。
この点を分からずに裁判を起こしても、雀の涙ほどの金額しか認められない、なんてこともあるんですよ。
なので、いざ「損害賠償だ!」ってなったら相談してくださいね。

【解説】

(1) 損害賠償を請求したいときは?

著作権が侵害された場合、加害者に対して損害賠償を請求することができます。

しかし、ケガをした場合の治療費などとは違い、損害の計算は非常に特殊なものになります。
「侵害がなければ正規品がいくら売れたか」等は証明しづらいからです。

そのため、著作権法は「損害額」の計算に関して特別な規定(著作権法114条)を置いています。
この規定である程度「損害額」の計算方法が決まっているのですが、これについては後のページで触れます。

 

(2) 慰謝料は認められるの?

著作権侵害がなされたとき、場合によっては慰謝料が認められることがあります。
著作者人格権」が侵害された場合が典型例です。
(「著作者人格権」については、こちらで触れています。)

作品を勝手に改変したり、作者の名誉を害するような形で利用したりすると、「著作者人格権」が侵害されたといわれてしまいます。

 

(3) 損害賠償が不当に安くなってしまうことも

著作権の損害については、考え方が少し特殊です。

「損害」のとらえ方やその証明方法によって、裁判で認められる損害賠償の額は違ってくるものですが、著作権はその性質を特に強く持ちます
誰に頼んでもだいたい同じ結果になる」とは考えない方がいいでしょう
(余談ですが、筆者が被告側で関与した事件で、数千万円の損害賠償請求に対して数百円しか認められなかった事案があります。)

本格的な法的措置に入る場合には、やはり専門家に相談されることをお勧めします。

 

 

 

【インターネットと著作権に関する講座8】著作物の「引用」が認められるケースとは

著作権があったら、他の人はそれをコピーしたりできないんですよね?

コピーとかしたい人がいたら、どうするんですか?

そういうときは、著作権を持っている人から許可をもらうのが普通です。

あとは、前に教えた「私的使用のための複製」をするとか。

私的使用のための複製」以外に、利用できるときってないんですか?

いろいろありますよ。

引用』なんかも覚えておくといいかも知れません。

引用・・・ですか。
あんまり引用するイメージって湧きませんけど。

そうですね、具体的な場面でいうと・・

例えば、人の作品を評価したりコメントしようと思ったら、それを少し紹介しないといけないじゃないですか。

はいはい。

それで、紹介のためには作品を少しコピーしなきゃいけない。

そんな時、いちいち「あなたの作品を評価したいので許可ください。」なんてやってたら、大変じゃないですか。

確かに。

それに、「ポジティブな評価だったらいいけど、ネガティブな評価だったら許可しないよ。」なんて言われるかも知れません。

うーん。自分ならそうしてしまうかも。

でも、ポジティブな評価しかできないって、かえって不健全じゃないですか。

そういうときに、引用」する形であれば作品を少し利用してもいいと。そんなルールがあるんです。

なるほどー。
それって、結構いろんなとこで使えそうですね。

ええ。ただ、「引用」のやり方については結構複雑に議論されているんですよ。

詳しい説明は省きますが、とりあえずは、引用符カギカッコ等を付ける必要以上に引用しない出典を明示する、あたりの点を押さえておけばOKだと思います。

ああー。出典が書いてあるの、参考書とかでみたことあります!!

それです。参考書とか専門書には「引用」が多く利用されていますね。
ああいうのが「引用」のイメージと考えてもらえれば大丈夫です。

【解説】

(1) 「引用」って、どんなもの?

著作権侵害になる「利用」のうち、自由に行うことができる場合(著作権制限規定)がある、ということはこちらの記事で説明しました。

 

そのうち重要なもので「引用」があります。

法律上は、次のように規定されています。

公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない(著作権法32条1項)

 

(2) どんなときに認められるの?

法律の言葉は上のようになっていますが、実際どのような時に「引用」として許されるかは、さまざまな議論があります
詳しい内容は省きますが、大事なものとしては次の2つを押さえておくのが良いと思います。

「引用」のポイント

【① 明瞭区別性】
これは、平たくいえば「どこからどこまでが他から引っ張ってきたものかハッキリわかるようにする」ということです。引用符( “” )をつけたり枠で囲んだりすることです。

【② 主従関係】
これは、「自分の作った部分がメイン(主)で、他から引っ張ってきた部分がサブ(従)の関係にあること」をいいます。

 

この①②は法律の言葉には挙がっていませんが、これがなければ「引用」として認められないように判断した判例が過去にあります。
文章や画像などを引用するときは、気を付けておきましょう。

 

その他、引用するときは出所の明示も必要です。引用元(出典)の明示ですね。
文献などが参照されているときに「『●●』より」などと書かれているものがありますが、これが「出所の明示」です。

 

「引用」は分かりづらい部分が多いですが、可能性の大きいものでもあります。
作品の利用を考えるときは一度「引用」を検討してみることも有益でしょう。

 

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