
「作者の個性」があれば、著作権って認められるんですよね?
そうすると、ホームページとかブログを作ったら、それでもう著作権が認められるってことになります?

いや、必ずしもそういう訳ではないんですよ。
著作権が認められない場合も、実はいろいろあって。

へー。どんな場合ですか?

例えば、『ごくありふれた表現』だけで作られたものには、著作権は認められません。

「ごくありふれた表現」ですか・・・。
どういうのがそれに当たるの?

「おはよう」「こんにちは」「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」
みたいなあいさつ文が代表的な例でしょうか。
あとは、単純な「丸」「三角」「球体」などの図形とか。

なるほどー。
じゃあ「ごくありふれた表現」なら、コピーしちゃっても大丈夫なんですね?

はい。
「おはよう」って使うたびに、「おはよう」の権利者に使用料を払う世の中だったら、嫌じゃないですか。

確かに!
でも、そしたらどのくらい工夫したら「ごくありふれた表現」じゃなくなるんですか?

そこは著作権の中でも非常に難しい問題です。
作品の種類とか、時代によっても変わってくると思いますし。
実際、裁判でも鋭く争われることが多いです。

えぇー、じゃあ微妙なときもあるってことですか。

そうですね。
でもまあ、見通しは立てられますので、困ったときは実物を見せてください。
相談に乗りますので。
【解説】
(1) 「ごくありふれた表現」は何でダメなの??
「ごくありふれた表現」に著作権は認められないことになっています。
このような表現に著作権を認めても、文化の発展にはなりません。
かえって、人々の生活や他の人の創作に支障が出てしまいます。
そのようなことを避けるために、著作権は認められないことになっているのです。
(2) 他に著作権が認められないものは?
「ごくありふれた表現」のほか、「不可避的表現」と呼ばれるものにも著作権は認められません。
「不可避的表現」とは、平たくいえば、
“その内容を言うためには、誰がやってもそのような表現になる”
という場合です。
このようなものに著作権を認めてしまうと、その内容を説明するときは常にライセンス料(著作権使用料)を払うことになってしまいます。
そうなると、やはり日常生活や他者の創作活動に悪い影響を与えてしまいます。
このような理由から、著作権は認められないことになっています。
(3) 著作権あるなしの境界は?
著作権が「認められるもの」と「認められないもの」をどこで線引きするかは、著作権の基本的な考え方とか、現在までの裁判例から判断することになります。
厳密に区別することが難しい場合がありますが、全く見通しが立てられないものではありませんし、実物がどのようなものかもかなり影響します。
「真似しちゃって大丈夫なんだろうか」とか「真似されたけど、この場合って文句いえるの?」といったことで困ったときは、実物をもって専門家に相談してみましょう。