【インターネットと著作権に関する講座3】著作権が認められる作品|ありふれた表現とは
「作者の個性」があれば、著作権って認められるんですよね?
そうすると、ホームページとかブログを作ったら、それでもう著作権が認められるってことになります?
いや、必ずしもそういう訳ではないんですよ。
著作権が認められない場合も、実はいろいろあって。
へー。どんな場合ですか?
例えば、『ごくありふれた表現』だけで作られたものには、著作権は認められません。
「ごくありふれた表現」ですか・・・。
どういうのがそれに当たるの?
「おはよう」「こんにちは」「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」
みたいなあいさつ文が代表的な例でしょうか。
あとは、単純な「丸」「三角」「球体」などの図形とか。
なるほどー。
じゃあ「ごくありふれた表現」なら、コピーしちゃっても大丈夫なんですね?
はい。
「おはよう」って使うたびに、「おはよう」の権利者に使用料を払う世の中だったら、嫌じゃないですか。
確かに!
でも、そしたらどのくらい工夫したら「ごくありふれた表現」じゃなくなるんですか?
そこは著作権の中でも非常に難しい問題です。
作品の種類とか、時代によっても変わってくると思いますし。
実際、裁判でも鋭く争われることが多いです。
えぇー、じゃあ微妙なときもあるってことですか。
そうですね。
でもまあ、見通しは立てられますので、困ったときは実物を見せてください。
相談に乗りますので。
【解説】
(1) 「ごくありふれた表現」は何でダメなの??
「ごくありふれた表現」に著作権は認められないことになっています。
このような表現に著作権を認めても、文化の発展にはなりません。
かえって、人々の生活や他の人の創作に支障が出てしまいます。
そのようなことを避けるために、著作権は認められないことになっているのです。
(2) 他に著作権が認められないものは?
「ごくありふれた表現」のほか、「不可避的表現」と呼ばれるものにも著作権は認められません。
「不可避的表現」とは、平たくいえば、
“その内容を言うためには、誰がやってもそのような表現になる”
という場合です。
このようなものに著作権を認めてしまうと、その内容を説明するときは常にライセンス料(著作権使用料)を払うことになってしまいます。
そうなると、やはり日常生活や他者の創作活動に悪い影響を与えてしまいます。
このような理由から、著作権は認められないことになっています。
(3) 著作権あるなしの境界は?
著作権が「認められるもの」と「認められないもの」をどこで線引きするかは、著作権の基本的な考え方とか、現在までの裁判例から判断することになります。
厳密に区別することが難しい場合がありますが、全く見通しが立てられないものではありませんし、実物がどのようなものかもかなり影響します。
「真似しちゃって大丈夫なんだろうか」とか「真似されたけど、この場合って文句いえるの?」といったことで困ったときは、実物をもって専門家に相談してみましょう。