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ネットでした定期購入は解約可能?誤って契約した場合の対処法を弁護士が解説!

インターネットで化粧品やサプリメントを購入したら、実は定期購入の契約だった・・こういったトラブルが後を絶ちません。

・お試し価格でサプリメントを購入したら実は定期購入となっており多額の代金を請求された
・試供品の化粧品を申し込んだら自動的に定期購入の契約にさせられて困っている
・定期購入の契約を解約したいが、電話が一向につながらず解約できない

こういったお悩みを抱えている方が多くいらっしゃいます。

そこで今回は、ネットで誤って定期購入の契約をしてしまったときの対処法を、ネットの法律問題に強い弁護士が解説します。

誤って契約した定期購入は取消しできるケースがある

 

令和4年に施行された改正特商法(特定商取引に関する法律)により、誤って契約してしまった定期購入を取消しできる範囲が拡大しました。

具体的には、ネット契約の最終確認画面(「購入する」「申し込む」などのボタンがあるページ)が次のような場合に、取消しが認められます。

契約する商品の「総数」の記載がない(又は分かりづらい)

特商法には、契約する商品の総数を最終確認画面に明記しなければならないというルールがあります。

参考条文(特定商取引法)
第12条の6(特定申込みを受ける際の表示)
 販売業者又は役務提供事業者は、当該販売業者若しくは当該役務提供事業者若しくはそれらの委託を受けた者が定める様式の書面により顧客が行う通信販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込み又は当該販売業者若しくは当該役務提供事業者若しくはそれらの委託を受けた者が電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により顧客の使用に係る電子計算機の映像面に表示する手続に従つて顧客が行う通信販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込み(以下「特定申込み」と総称する。)を受ける場合には、当該特定申込みに係る書面又は手続が表示される映像面に、次に掲げる事項を表示しなければならない。
(1)
当該売買契約に基づいて販売する商品若しくは特定権利又は当該役務提供契約に基づいて提供する役務の分量
(以下略)

 

例えば、「お試し3パック無料お届け」との表示がされていても、それが1年間の定期購入で毎月3パック届く場合は、「合計36パックの購入となります」と最終確認画面に表示されていなければいけません。
また、期間を定めない契約(解約するまで継続する契約)であっても、目安として例えば1年間に購入することになる数量は記載されていることが望ましいとされています。

このようなルールに違反し、単に「お試し3パック無料お届け」とだけ表示されている場合、又は注意深く読まないと気が付かない程度にしか表示されていない場合は、契約を取り消すことが可能です。

明確な「販売価格」の記載がない(又は分かりづらい)

特商法には、契約における価格を最終確認画面に明記しなければならないというルールがあります。

参考条文(特定商取引法)
第12条の6(特定申込みを受ける際の表示)
 (略)
(1)(略)
(2)当該売買契約又は当該役務提供契約に係る第11条第1号から第5号までに掲げる事項
(以下略)
第11条1号(通信販売についての広告)
 販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、主務省令で定めるところにより、当該広告に、当該商品若しくは当該権利又は当該役務に関する次の事項を表示しなければならない。ただし、当該広告に、請求により、これらの事項を記載した書面を遅滞なく交付し、又はこれらの事項を記録した電磁的記録を遅滞なく提供する旨の表示をする場合には、販売業者又は役務提供事業者は、主務省令で定めるところにより、これらの事項の一部を表示しないことができる。
(1)商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価(販売価格に商品の送料が含まれない場合には、販売価格及び商品の送料)
(以下略)

 

例えば、「今だけ980円!」との表示がされていても、それが定期購入であり、2か月目以降は10,000円であるような場合は、「1回目は980円」「2回目以降は10,000円」と最終確認画面に表示されていなければいけません。
また、仮にそれが1年契約である場合は、「合計11,980円」であることも明記する必要があります。

さらに、期間を定めない契約(解約するまで継続する契約)であっても、目安として例えば1年間の購入代金の合計額は記載されていることが望ましいとされています。

このようなルールに違反し、単に「今だけ980円!」とだけ表示されている場合、又は注意深く読まないと気が付かない程度にしか表示されていない場合は、契約を取り消すことが可能です。

「期間限定」の内容が事実と異なる

ネット通販の場合、契約を促すため期間限定をうたうことがよくあります。
期間が終了するまでの時間をリアルタイムにカウントダウンし、消費者を心理的に焦らすことも多くあります。
しかし、改めてそのページにアクセスするとカウントダウンしたはずの時間が戻っていたり、期間が経過しても同じように商品が販売されていることがあります。

特商法には「期間限定」の内容を最終確認画面に正しく表示しなければならないというルールがあります。

参考条文(特定商取引法)
第11条1号(通信販売についての広告)
(略)
(1)~(3)(略)
(4)商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約に係る申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容
(以下略)

 

上記のようなケースは、このルールに違反するものであって、契約を取り消すことが可能です。

解約のルールについて記載がない(又は分かりづらい)

定期購入の契約を解約しようとしても、そこで初めて解約の条件(追加で個人情報を提供しなければならないとか、改めてアプリをインストールして操作しなければならないなど)や違約金の支払いを求められることがあります。
また、解約専用ダイヤルの電話番号があるものの、その電話番号にはいつかけても一向につながらないというケースもあります。

特商法には解約の条件を最終確認画面に正しく表示しなければならないというルールがあります。

参考条文(特定商取引法)
第11条1号(通信販売についての広告)
(略)
(1)~(4)(略)
(5)商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(第十五条の三第一項ただし書に規定する特約がある場合にはその内容を、第二十六条第二項の規定の適用がある場合には同項の規定に関する事項を含む。)
(以下略)

 

また、解約方法として電話によることを表示している場合は、確実につながる電話番号の表示が求められています。

上記のようなケースは、これらのルールに違反するものであって、契約を取り消すことが可能です。

その他取消しができるケース

上記のほかにも、以下のような場合には定期購入の契約を取り消すことができます

・最終確認画面に代金の「支払い時期」が明記されていない
・最終確認画面に商品の「引き渡し時期」が明記されていない
・契約成立のボタンであるにもかかわらず「送信する」「次へ」としか表示されていなかった
・実際は商品の購入であるにもかかわらず、「お試し」や「トライアル」という表現が強調されている
・実際は解約の条件があるにもかかわらず「いつでも解約可能!」という表現が強調されている など

定期購入の解約・取消しを実現する効果的な方法

まずは販売事業者の連絡先に連絡してみましょう。
連絡がつけば、契約を解約ないし取り消したい旨の意思を伝えましょう。

ただ問題なのは連絡先が明記されていないとか、連絡は付いたが解約に応じてくれない場合です。

このような場合は、販売事業者宛てに内容証明郵便を送付することが効果的です。

特に取消しは一方的な意思表示ですので、内容証明郵便でその意思が相手に伝わったことが記録として残れば、法律上はそれで取消しが成立します。

警察や自治体、消費生活センターへの相談は有効か

思いがけない定期購入の契約は詐欺のように感じられることもあります。そのため、警察や自治体、消費者生活センターへの相談をご検討の方も多いと思います。

もちろん、それらの機関も相談には乗ってくれますが、民事的なトラブルに直接介入したり、相談者の代理人としてトラブル解決にあたる権限があるわけではありません。

なお、(ケースにもよりますが)思いがけない定期購入の事例で「詐欺罪」が適用されるケースは少ないでしょう。そのため、警察に相談したとても、捜査を開始し逮捕などをしてくれる可能性はかなり低いといえます。

解約・取消しを弁護士に依頼することはできるか

誤って契約してしまったネットでの定期購入の解約・取消しを弁護士が代行することは可能です。
当事務所では、5,500円(税込み)~でネットの定期購入の解約・取消しの意思表示を代行いたします。

この記事でご説明した以外でも定期購入の解約・取消しができるケースもありますので、ネット定期購入の解約でお困りの方は、ぜひ一度当事務所までご相談ください。

 

ABOUT US

弁護士 渡辺泰央
弁護士 渡辺泰央
弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。