コラム

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【インターネットと著作権に関する講座4】著作権が認められる作品|アイデアとは

ウェブサイトとかの話で、よく「パクった」とかいわれることがありますけど。

「パクり」って、著作権に違反してるってことですよね?

「パクった」って、要は真似したってことだと思いますが。

他人の作品を真似したからといって、それが著作権侵害になるとは限りません

そうなんですか!?

著作権侵害じゃない「パクリ」もあるってことですか?

そうです。

似てる部分によっては、明らかな真似であっても著作権侵害にならないことがあるんですよ。

へえー。
それはどういう時ですか?

アイデア』が同じ場合なんかがそうですね。

アイデアが同じ・・・ですか。

はい。

例えば、新しいカレーの作り方みたいなものはアイデアですね。

はあ・・。

確かに料理はアイデア次第ですが・・。

アイデアは著作権で保護されないので、例えばレシピ本どおりの料理を実践する「動画」を作って公表しても、これはOKなんです。

そうなんですか??

でも、レシピ本には著作権があるんじゃないんですか?

もちろん、レシピ本に著作権は認められます。

でも、著作権で保護されるのは、実際になされた表現』に限られるんです。

ええと? すいません、よくわからなくなってきました。

表現」ってどういうことですか?

レシピ本には、作り方を説明した文章とか、料理の写真とかがありますよね?

それが実際になされた「表現」というものです。イメージ湧きますか?

・・・分かりません。

じゃあ説明の仕方を変えましょう。
カレーの作り方とか、そういうアイデア」って形のないものじゃないですか。
でも、その「アイデア」を文章にしたり写真にしたりすると、見ることができますよね。
そんな感じで、実際に見たり聴いたり出来るようになったものが「表現」ということです。

あー、ちょっとずつですけどイメージが湧いてきました。

さっきのレシピ実践動画についても、作り方が同じというだけでは著作権侵害にはなりません。

でも、動画の中でレシピ本の文章をそのまま流用したり、写真を転載したりすれば、著作権侵害になり得ます

なるほどー。

でも、せっかく苦労して考えた「アイデア」も、自由に使われてしまうとなると少し気の毒ですね。

確かにそうかも知れません。

でも「アイデア」も別の法律で保護されることはあり得ますから、何をやっていいという訳ではないですよ。

わかりました。

でも、同じアイデアを表現したものなら、やっぱり似てきちゃいそうな・・

そうですね。
どこまでが「アイデア」か、どこからが「表現」かというのも非常に難しい問題です。
これも、実際の裁判で激しく争われることが多いです。
この点についても、困ったら実物を見せて相談してくださいね。

【解説】

(1) 「アイデア」?? 「表現」??

著作権で保護されるのは、実際になされた表現限られますアイデア自体は保護されません

これを「表現・アイデア二分論」といいます。

アイデアが著作権で保護されないのは、その方が文化の発展にとって良いと考えられているからです。

例えば、遠近法などの画法はアイデアですが、このようなものは多くの人が利用できるとした方が、絵画の発展につながります。
それをベースとして良い絵画が次々と生まてくるからです。

もっとも、「アイデア」が「表現」に影響を与えることは事実です。

「アイデア」が独創的であればあるほど、その「表現」も独創的に見えます。
そのため、どこまでが「アイデア」でどこからが「表現」かというのが非常に難しい場合もあります。

ただ、これについても裁判例の蓄積もあるところで、見通しを立てることはできます
やはり、困ったときは実物をもって専門家に相談してみることをお勧めします。

 

(2) アイデアの他に、著作権が認められないものは?

アイデア」のほか、共通していても著作権侵害にならないものがあります。
例えば次のものが挙げられます。

● 事実それ自体
例)
・気象データ
・歴史上の事実
・社会的な事実(ニュースで取り上げられたもの) など

● 自然が生成したもの
例)
・景色
・木や岩などの造形
・動物の足跡  など

 

AUTHORこの記事を書いた人

弁護士 渡辺泰央

弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。

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