コラム

03-6773-8180
平日 10:00~18:00

【インターネットと著作権に関する講座8】著作物の「引用」が認められるケースとは

著作権があったら、他の人はそれをコピーしたりできないんですよね?

コピーとかしたい人がいたら、どうするんですか?

そういうときは、著作権を持っている人から許可をもらうのが普通です。

あとは、前に教えた「私的使用のための複製」をするとか。

私的使用のための複製」以外に、利用できるときってないんですか?

いろいろありますよ。

引用』なんかも覚えておくといいかも知れません。

引用・・・ですか。
あんまり引用するイメージって湧きませんけど。

そうですね、具体的な場面でいうと・・

例えば、人の作品を評価したりコメントしようと思ったら、それを少し紹介しないといけないじゃないですか。

はいはい。

それで、紹介のためには作品を少しコピーしなきゃいけない。

そんな時、いちいち「あなたの作品を評価したいので許可ください。」なんてやってたら、大変じゃないですか。

確かに。

それに、「ポジティブな評価だったらいいけど、ネガティブな評価だったら許可しないよ。」なんて言われるかも知れません。

うーん。自分ならそうしてしまうかも。

でも、ポジティブな評価しかできないって、かえって不健全じゃないですか。

そういうときに、引用」する形であれば作品を少し利用してもいいと。そんなルールがあるんです。

なるほどー。
それって、結構いろんなとこで使えそうですね。

ええ。ただ、「引用」のやり方については結構複雑に議論されているんですよ。

詳しい説明は省きますが、とりあえずは、引用符カギカッコ等を付ける必要以上に引用しない出典を明示する、あたりの点を押さえておけばOKだと思います。

ああー。出典が書いてあるの、参考書とかでみたことあります!!

それです。参考書とか専門書には「引用」が多く利用されていますね。
ああいうのが「引用」のイメージと考えてもらえれば大丈夫です。

【解説】

(1) 「引用」って、どんなもの?

著作権侵害になる「利用」のうち、自由に行うことができる場合(著作権制限規定)がある、ということはこちらの記事で説明しました。

 

そのうち重要なもので「引用」があります。

法律上は、次のように規定されています。

公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない(著作権法32条1項)

 

(2) どんなときに認められるの?

法律の言葉は上のようになっていますが、実際どのような時に「引用」として許されるかは、さまざまな議論があります
詳しい内容は省きますが、大事なものとしては次の2つを押さえておくのが良いと思います。

「引用」のポイント

【① 明瞭区別性】
これは、平たくいえば「どこからどこまでが他から引っ張ってきたものかハッキリわかるようにする」ということです。引用符( “” )をつけたり枠で囲んだりすることです。

【② 主従関係】
これは、「自分の作った部分がメイン(主)で、他から引っ張ってきた部分がサブ(従)の関係にあること」をいいます。

 

この①②は法律の言葉には挙がっていませんが、これがなければ「引用」として認められないように判断した判例が過去にあります。
文章や画像などを引用するときは、気を付けておきましょう。

 

その他、引用するときは出所の明示も必要です。引用元(出典)の明示ですね。
文献などが参照されているときに「『●●』より」などと書かれているものがありますが、これが「出所の明示」です。

 

「引用」は分かりづらい部分が多いですが、可能性の大きいものでもあります。
作品の利用を考えるときは一度「引用」を検討してみることも有益でしょう。

 

AUTHORこの記事を書いた人

弁護士 渡辺泰央

弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。

関連記事

CONTACTお問い合わせ

ご質問やご相談については、まずはお問い合わせフォームから、お気軽にお問い合わせください。