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有名人の画像を使うのは平気?|パブリシティ権とは?

人が写り込んだ画像を使っちゃダメなのは分かりました。

では有名人の画像なら使っていいんじゃないですか?

え? 何でそう思うんですか?

良く雑誌に載ってますし、あれだけデカデカと写ってたら肖像権も何もないじゃないですか。

面白い発想ですね。

でもダメです。

えー、何でですか。好きなアイドルの画像を使いたいです。

肖像権の問題はもちろん残りますし、仮にそれがクリアされたとしても、『パブリシティ権』の問題を避けることができません。

パブリシティ権? 聞いたことないですけど。なんですかそれ?

簡単にいうと、有名人自分の名前姿かたちに関して持っている権利です。

有名人だけ?

はい。有名人って、その名前姿かたち人を引き付ける力があるじゃないですか。

このアイドルが表紙になってるからこの雑誌を買おうみたいな感じで。

ああ、分かります。

そういう力には価値がありますよね。
実際、表紙に載ったりする仕事としてる人がたくさんいます。モデルとかアイドルとか。
なので、そういう人がよそで自分の画像を勝手に使われたら困るんですよ。仕事にならないって。

つまり商売道具を勝手に使われたっていう感じですか。

乱暴ないい方ですけど、そんなようなイメージです。

要は、有名人が持っているそういう価値を保護するのが、「パブリシティ権」という訳です。

じゃあそのパブリシティ権侵害してしまったらどうなるんですか?

肖像権と似ています。削除の請求とか損害賠償とかが考えられますね。

盗撮とかに当たらない限り逮捕はないでしょうが。

それじゃやっぱり有名人の画像は使わない方がいいですね。

【解説】

(1) パブリシティ権のはなし

有名人の名前姿かたちには、ある種の宣伝効果があります。
雑誌のグラビアや、化粧品のモデル等を思い浮かべればイメージしやすいと思います。

そのような宣伝効果、つまり人を引き付ける力を、裁判では「顧客吸引力」と表現されたりします。
そして、この「顧客吸引力」を持っているという意味で、有名人の名前姿かたちには経済的な価値があるといえます。

パブリシティ権」は、そのような価値を保護する権利です。判例では、次のように定義されています。

氏名、肖像から顧客吸引力が生じる著名人が、この氏名・肖像から生じる経済的利益ないし価値を排他的に支配する権利

 

(2) どんなときにパブリシティ権の侵害になる?

有名人の写真をサイトに載せたからといって、直ちにパブリシティ権の侵害になるわけではありません。

どのような場合にパブリシティ権の侵害になるかは様々議論されていますが、少なくともその有名人の顧客吸引力」を利用するような形で写真を載せると、パブリシティ権の侵害になります。

そのため、例えばサイトのページビューを増やすことを目的として、勝手に有名人の画像を載せることは、パブリシティ権を侵害していると判断され得るでしょう。

 

(3) パブリシティ権を侵害してしまったときは?

パブリシティ権についても、これを侵害すると差止損害賠償の請求がなされることがあります。

一方、肖像権と同様、パブリシティ権の侵害に罰則は規定されていないので、これを理由に逮捕等されることはありません。(ただし、盗撮等の迷惑行為に及んでしまうと逮捕等されることがあり得ますので、注意しましょう。)

 

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弁護士 渡辺泰央
弁護士 渡辺泰央
弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。