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擬人化したキャラクターを作っても大丈夫?|セーフのラインは?

引き続き、キャラクターを考えているんですけど・・やっぱり難しいですね。

設定はいいとしても、やっぱり見た目が大事ですし。

見た目は人気に直結しますからね。

どういうキャラクターがいいと思います?

ええと、私はそっちの専門じゃないので何ともいえませんが・・。

ある程度人気のあるキャラクターを参考にするのもアリなんじゃないですかね。

でも見た目を参考にしたらマズイんじゃないでしたっけ?著作権的に。

それもやっぱり参考の仕方によります。

見た目を参考にする方法もなくはないでんですよ。

そうなんですか? 例えばどんな・・

例えば、キャラクターでいえば、擬人化ってありますよね。動物や物を人のように描くやつ。それで、「何を擬人化するか」っていうのはアイデアなので、その点が同じでも著作権侵害にはなりません。カエルを擬人化したり、本を擬人化したりとか。

ナシを擬人化したキャラクターもありますよね。

ナシを擬人化することは独創的だと思いますが、それ自体はアイデアです。なので、新しくナシを擬人化したキャラクターを作ってもそれだけでは著作権侵害にはなりません。もちろん、両目が上を向いていて、リボンの付いた青い服を着ていたりしたら著作権侵害の可能性は高くなりますけど。

つまり「何を擬人化するか」とか、そういうアイデアのレベルでは参考にしてもいいってことですか。

他には、何か見た目を参考にするやり方ってありますか?

あとは・・・そうですね。

参考にするならシンプルなキャラがいいかも知れません。

シンプルなキャラですか?

はい。手足が一本の線で表現されていたり、顔のパーツがシンプルな丸や直線だけで描かれているものとか。シンプルでも結構かわいいキャラクターっているじゃないですか。ああいうのはシンプルさが良いといえますが、著作権的には「ごくありふれた表現」とされることが多いです。

なるほど。

そういうシンプルな表現をいろいろ組み合わせたりアレンジしてみたりすれば、著作権的にも問題ないキャラクターを作れると思いますよ。もちろん、シンプルなキャラクターにも著作権は認められますから、デッドコピーとか、線を微妙に変えただけとかではダメですが。

それはさすがしませんよ。

モラルの問題もありますからね。いずれにせよ、他のキャラクターを参考にすること自体は悪いことじゃありませんので、たくさん見ていい所は取り入れていくって感じでいいと思いますよ。

【解説】

(1) 参考にすることは悪いことではない

新しい創作をするときに他の作品を参考にするのはよくあることです。

また、創作は他の作品に刺激を受けながら発展していくものなので、他の作品を参考にすること自体は非難される事ではありません。著作権法においても、その点はしっかり考慮されています。

その表れとして、著作権の保護は「ごくありふれた表現」や「アイデア」には及ばない、と解釈されているのです。

つまり、「ごくありふれた表現」や「アイデア」の限度では他者の作品を参考にしてもよいのです。このことが、他の作品を参考にする際に最も大切なことといえます。

 

(2) 他のキャラクターをどう参考にする?

キャラクターに関していえば、例えばだけで作られたシンプルなものは、「ごくありふれた表現」として著作権は認められないでしょうし、「何をモチーフにするか」などというものは「アイデア」の範疇ですから、そこにも著作権は認められません。

このような既存の「アイデア」や「ごくありふれた表現」を創作の出発点として新たに「表現」を生み出すことが、まさに著作権法が文化の発展のために推奨していることなのです。

 

(3) セーフのラインをどう考える?

前に説明したとおり、どこまでが「アイデア」や「ごくありふれた表現」で、どこからが「表現」であるか判断が難しい場合があります

しかし、法的に許されるキャラクターを作るためにはポイントがあります。

その一つとして、参考にする範囲を抽象的なレベルにとどめるというものがあります。

例えば、参考にする範囲を「猫をモチーフにしたキャラクターにする」とか「青い服を着ていることにする」とかのレベルにとどめるということです。
それを超えて、「ネコ型のロボットで、二頭身で、おなかにポケットを付けて・・・」というような具体的なところまで参考にしてしまうと、どんどん著作権侵害のリスクは高くなってきます

このあたりの感覚は常識的にもある程度備わっているものと思われますが、それを著作権からみたらどういう意味を持つのかということを把握するのは大切でしょう。

 

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ABOUT US

弁護士 渡辺泰央
弁護士 渡辺泰央
弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。