インターネットに関わる様々な問題を弁護士が解決します

同人誌のような二次創作物は著作権的に認められるのか?

他のキャラクターをアレンジしただけでは、著作権侵害って聞きましたけど・・みんな結構やってません?ネット上で、素人が既存のキャラクターをモチーフにしたイラストマンガを描いてるのを見ますよ。ああいうのって、ダメじゃないんですか?

そこは非常に難しい問題ですが・・・結論をいうと多くの場合グレーです。

グレー!? なんですかそれ。

伝え方が難しいですが・・。まず、既存のキャラクターアレンジマンガ化は、多くの場合二次的著作物の作成行為(翻案にあたります。なので、キャラクターの権利者からOKをもらえば適法ダメと言われたら違法です。

でしょうね。

でも、権利者が「放置」とか「何もいわない」という態度をとっていることもあります。二次創作に関しては特に。

なぜこういう態度をとるのかはいろいろ理由が考えられますが、特に著作権の場合、権利者が動かなければ法律は機能しません。

どういうことですか?

まず、民事の差止損害賠償。これは権利者自身が請求しなければいけません。基本的に他の人は作者の持っている権利を使えないんですよ。

へー。

次に刑事ですが、著作権違反は「親告罪」といって、権利者が告訴しなければ起訴できません

つまり、権利者が動かなければ裁判にならないんですよ。

つまり、権利者が動かなければ結局何も起こらない・・。

そうなんです。多くの場合、権利者は二次創作があることを知っています。でも、それらに対して逐一アクションを起こしてはいません。だから、二次創作をやっている人が結構いるわけなんですね。

それって、作者がOKしているってことになりませんか?

いや、必ずしもそうはならないんですよ。仮に権利者が裁判を起こしたら、二次創作した人は負けることが多いと思います。「今まで権利者が何も言わなかった」というのは言い訳になりませんから。

なんだか、ややこしい話・・。

権利者が積極的にOKともダメとも言っていないというのがポイントだと思います。

権利主張はされていないけど、訴えられたら負ける。だから、グレーという訳なんです。

すごく微妙な世界なんですね。

そうですね。ここは著作権の奥深いところともいえます。でも、企業とかが営利目的で二次創作を無断でやったりすると作者に訴えられる可能性は高いでしょう。なので、企業HPに二次創作物を無断で載せるなどはやめてくださいね

【解説】

(1) 二次創作って、認められるの?

世間で行われている二次創作は、多くの場合「二次的著作物の作成行為(翻案」にあたると思われます。
したがって、作者が二次創作に対して権利主張すれば、たいていの場合その主張は認められるでしょう。

しかし、世間では広く二次創作が行われています。
その理由は、権利者がそのような二次創作に関して「放置」ないし「何もいわない」という態度をとっているためです。

このような態度がとられる理由はいくつか考えられます。

裁判は労力費用がかかる、訴えても労力に見合うリターンが得られるとは限らない、二次創作があっても自分の作品が売れなくなるわけではないなどといった消極的な理由のほか、モラルを守る限り二次創作は楽しんでもらいたいという積極的な理由があるかも知れません。

いずれにせよ、このような権利者の態度によって、二次創作は成り立っています。

しかし、権利主張が行われてしまえば、それ以上は二次創作ができなくなります。

その意味で、二次創作不安定なところに成り立っているといえます。

そのため、二次創作を行う場合であっても、最低限モラルは守ることが必要です。
特に、企業などが営利目的で無断で二次創作を行うことはモラルに反しますし、権利者が問題視する可能性も高いでしょう。

 

(2) 立場を明確にしている場合も

なお、権利者が「二次創作を禁止する」という意思表示をあらかじめ公表している場合などは、そもそも二次創作を「放置」などしていないため、その作品の二次的著作物を作成することは違法といえます。

逆に、一定の条件のもと二次創作をOKとしている権利者も存在するようです。

そのため、二次創作をする際には、権利者が二次創作に関する立場を明確にしているか確認しておきましょう。

 

弁護士への法律相談(初回30分無料)はこちらから。

ABOUT US

弁護士 渡辺泰央
弁護士 渡辺泰央
弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。