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絵画や昔の絵は自由に使っていい?|著作権の保護期間について

ホームページって画像が結構必要なんですね。集めるの大変です。

クオリティが高くて自由に使えるものってないんですか?

そうですね・・・。その悩みを直接解決できるものじゃないかも知れませんが。

昔の美術品を利用するのはどうですか?

昔の美術品? 絵画とかってことですか?

そういうことです。例えば日本の美術品でいうと、基本的に作者の死後70年で著作権が切れます。
なので、有名な葛飾北斎の浮世絵とか、菱川師宣の見返り美人とか、ああいうのは自由に使ってもいいんですよ。

そうなんだ!!

もちろん、50年経ってない人の作品はダメですので、使う時は作者の没年を確認しましょうね。

海外の絵も使っていいんですか?

海外のものに関してはその国の保護期間によりますし、他にもややこしい問題はありますが、基本的には没後100年くらい経ったものであればほとんど問題ないと思います。

へー。じゃあモナリザとかは使ってもいいんですね。

そういうことです。それをどういう風にホームページに使うかは工夫が必要だと思いますが、アイデアの一つとして頭の片隅に置いておいても損はないと思いますよ。

ただ、一点注意しなければならないことがあります。

なんですか?

絵画画像にするときは、データとしてパソコンに取り込まなきゃいけません。

それで、そのための方法としては、写真で撮るというものが一般的です。

でしょうね。

なので、写真の対象著作権の切れたものであっても、写真の撮り方が工夫されたものであれば、「写真の著作物」になる可能性があるんですよ。

え? すいません、どういうことですか?

元々の「」の著作権は切れていますが、それをどう撮るかの工夫は写真を撮る人が行うものですよね。
だから、いくら写真の対象に著作権が認められなくても、それをどう撮るかという点に写真家の個性が認められれば、その画像は勝手に使うことはできないということです。

でも、そんなのどうやって判断すればいいんですか?

まあ、絵の持つ色彩とかをそっくりそのまま表現するような画像であれば大丈夫です。

気を付けなきゃいけないのは、変わったアングルで撮られていたり、元の色彩をあえて変化させるように撮られているものなどでしょうね。

じゃあ普通の画像であればOKなんですね。

基本的にはそう考えて大丈夫だと思います。

写真の著作権」に関しても念のため注意しておいてくださいという話です。

【解説】

(1) 著作権は切れているものがある

著作権には保護期間があります。
いくつかの例外を除けば、基本的に作者の死後70年著作権の保護は終了し、その後はパプリックドメインとして自由に利用することが可能です。

海外の美術品に関しても、その国の保護期間が終了していれば、日本においても自由に利用することができます。
ただ、海外の美術品に関しては、条約の問題や戦時加算の問題もありますので、少なくとも近現代の美術品を利用する際にはある程度調査をされることをお勧めします。

 

(2) 著作権が切れたものであっても、その二次的著作物には注意

なお、著作権の保護期間が切れた美術品であっても、それを実際に利用するために行う作業によっては、二次的著作物として別途著作権が認められる場合があります。この点は注意が必要です。

基本的に、何らアレンジを加えずに美術品を利用する場合には問題はありません。
絵画をそのままコピーしたりする場合がそれに該当します。

しかし、例えばモナリザの女性をデフォルメしてキャラクターにした場合には、そのキャラクターについて作者に著作権が発生します。
また、絵画を写真に収める際にも、変わったアングルから撮影したり、光の当て方で絵画の色彩をあえて変えるような形で撮影したものには、その写真について撮影者に著作権が発生することがあります。

そのため、著作権保護期間が切れたものであっても、実際に利用するデータが二次的著作物でないかどうかは、念のため確認することが必要でしょう。

 

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AUTHORこの記事を書いた人

弁護士 渡辺泰央

弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。

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