著作権の保護期間はいつ切れる?雑誌や連載モノにも保護期間はあるのかについて解説
そういえばこの前、著作権切れの作品を使うみたいな話をしましたよね。日本のものだったら、作者の死後50年で使えるようになるって。
基本的にはそうです。でも、全部がそういう訳じゃないんですよ。
やっぱりそうですよね。グループで出してる作品とか、どうなるんだろうって思ったんですよ。
じゃあ、今回は著作権の「保護期間」について簡単に整理しましょうか。
お願いします。
まず、著作権は作者が作品を作ったときから発生しますよね。それで、作者が生きている限り著作権は消滅しません。また、保護期間が進行することもありません。
じゃあ長生きすればお得だってこと?
そうです。それで、保護期間の進行が始まるのは作者の死亡からですが、死んだその日からという訳ではありません。法律に特別の規定があって、保護期間の進行が始まるのは、作者が死んだ「次の年」の1月1日からになっているんです。
年の前半に亡くなった方が得なんですね。
そういうことになります。それで、そこから保護期間が進行して原則50年後に終了します。
グループで出してる作品はどうなるんですか?解散してからですか?
そうなると、著作権が永遠になくならない可能性がありますよね。若いメンバーをどんどん入れれば、グループ自体はなくなりませんから。
確かに。
グループとか、そういう団体名義で出された作品については、公表されたときからになります。会社名義で出されたときもこれです。
公表されたときからですか。
はい。ただ、これについても死亡のときと一緒で、公表された「次の年」の1月1日からになりますけど。
なるほど!そしてそこから50年ですね。
そうです。ただ、例外があって、「映画の著作物」だけは70年です。法律で決まっていて。
へー。映画はちょっと長いんだ。
日本の著作権の保護期間について、キホンを簡単に整理するとこんな感じです。他にも「これってどうなるの?」ってものもあると思いますが、そういうのはその都度聞いてください。
【解説】
(1) 著作権には保護期間がある
著作権には保護期間があります。これが経過すると、著作権の保護はなくなってしまいます。永遠に保護される訳ではありません。その理由については様々ありますが、作品は自由に利用できた方がその後の文化の発展につながることや、あまり著作権の保護を強くしてしまうと、かえって後発の創作に悪い影響を与えるということ等があげられています。
著作権の保護期間を簡単にまとめると、次のような表になります。
著作物の種類 | 保護期間 |
実名(周知の変名を含む)の著作物 | 死後50年 |
無名・変名の著作物 | 公表後50年(死後50年経過が明らかであれば、そのときまで) |
団体名義の著作物 | 公表後50年(創作後50年以内に公表されなければ、創作後50年) |
映画の著作物 | 公表後70年(創作後70年以内に公表されなければ、創作後70年) |
(公益社団法人著作権情報センターウェブサイトより)
注意しなければならないのは、作者が亡くなったその日や、作品が公表されたその日から保護期間が進行する訳ではないことです。保護期間が進行を始めるのは、亡くなった日や公表した日の「次の年」の1月1日からです。
(2) 雑誌や連載モノは?
少し特殊な保護期間があるものとして、「継続的刊行物」と「逐次公表著作物」があります。前者は日刊新聞やファッション雑誌のように各号・各冊があるものです。後者は連載小説や連載漫画のようなものです。「継続的刊行物」については各回の公表時、「逐次公表著作物」については最終部分の公表時が、作品の「公表時」とされます。
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