立退料はいくらもらえる?相場や計算方法を弁護士が解説【事業用賃貸借】
立退き交渉において、必ず問題になるのが立退料の金額です。
ビルのオーナーから立退料の提示を受けたものの、
・提示された立退料が適正な金額なのか分からない
・このまま合意してしまうと、損をするのではないか不安
・増額を求めたいが、何を根拠に、いくら主張すべきか分からない
このように感じている事業者の方は多いのではないでしょうか。
立退料は、家賃のように明確な計算式が決まっているものではありません。
相場は存在しますが、最終的な金額は交渉次第で大きく変わるのが実務の実情です。
この記事では、事業用賃貸借を前提として、立退料の相場感と、実務上どのように金額が算定されているのかを分かりやすく解説します。
1 立退料の大まかな相場
事業用賃貸借における立退料は、賃料の80か月分〜120か月分程度が一応の相場といわれることが多いです。
実際、オーナーから最初に提示される立退料も、このレンジに収まっているケースが多く見られます。
ただし、ここで注意すべきなのは、立退料の計算方法には、法律や判例で定められた明確なルールが存在しないという点です。
この点を示す裁判例として、東京高判昭和50年4月22日・金法772号33頁があります。
この判決では、立退料について、
賃貸借契約成立の時期および内容、その後の建物利用関係、解約申入当時における双方の事情を総合比較考量して、裁判所が裁量により自由に決定しうる性質のもの
と判示されています。
つまり、立退料には決まった計算式はなく、ケースごとに判断されるということです。
そのため、「賃料の80〜120か月分の範囲内だから、これ以上は無理だ」というわけではありません。
実務では、オーナーから提示される立退料について、その算定根拠が明らかにされないまま提示されるケースも少なくありません。
立退料がどのような要素で構成されているのかを理解し、それぞれを整理して計算・主張することで、相場を上回る金額で合意に至ることも珍しくありません。
2 相場を形成する立退料の中身とは
実務上、立退料は主に次の3つの要素から構成されていると考えられています。
① 移転費用
② 営業権(営業補償)
③ 借地権補償
以下、それぞれについて解説します。
① 移転費用
移転費用とは、店舗やオフィスを移転するために必要となる実費です。
具体的には、
・家具・什器・設備の引っ越し費用
・新しい物件の契約金(仲介手数料、礼金など)
・新店舗・新オフィスの内装工事費用
などが含まれます。
立退きはオーナー側の都合によるものですから、テナント側に債務不履行などの落ち度がない限り、実際にかかる移転費用を下回る金額で退去するのは適切とはいえません。
また、現在の賃料と移転後の賃料に差が生じる場合、その差額の一定期間分を補償の対象とすることもあります(賃料差額補償)。
差額を何か月分補償するかはケースによって異なりますが、交渉の余地があるポイントです。
② 営業権(営業補償)
立退きによって、事業に支障が生じることは避けられません。
例えば、
・移転作業中に営業を停止せざるを得ない・・
・営業停止中も固定費や人件費は発生する・・
・移転を機に、得意先との継続取引が途切れる・・
といった影響が考えられます。
これらはすべて、オーナー都合の立退きがなければ発生しなかった損失です。
そのため、
・営業停止期間中の純利益
・営業停止中の固定費や人件費
・移転後も回復しない売上減少分
などが、営業補償として立退料に含まれることがあります。
どこまで補償の対象となるかは事業内容によって異なりますが、少なくとも「本来得られたはずの利益」及び「不要だったはずの支出」については、立退料として主張する余地があります。
③ 借地権補償
賃貸借契約では、「その物件を継続して使用できる法的地位そのもの」が、テナント側にとって保護されるべき利益と考えられています。
この利益を金銭評価したものが、借地権補償です。
借地権補償の算定方法にも、決まったルールはありませんが、
・収益還元方式
・割合方式
・収益価格控除方式
などが用いられます。
実務上は、割合方式が採用されることが多い印象です。
割合方式の基本的な考え方は、次のとおりです。
(土地価格 × 借地権割合 × 借家権割合)+(土地価格 × 借家権割合)
※賃貸するビルに複数のテナントが入っている場合は、さらに「配分率」の調整があります。
あくまで一つの算定方法ですが、立退料を検討する際の重要な要素になります。
3 まとめ
立退料には一応の相場はありますが、オーナー側・テナント側それぞれの事情は、ケースによって大きく異なります。
また、立退きを拒否できるか場面か、それとも立退きを拒否できる可能性が低い事案か、といった事情も大きく影響してきます。
そのため、
・立退料の算定根拠を整理する
・各要素を具体的に主張する
・交渉の進め方を誤らない
といった点を意識することで、最終的な立退料が賃料の100か月分以上変わることも珍しくありません。
立退料の金額で少しでも疑問や不安がある場合は、早い段階で専門家に相談することが重要です。
八重洲コモンズ法律事務所では、オーナーから立退きを求められた事業者の方からのご相談をお受けしています。
立退き交渉では、単に金額を提示するのではなく、業界相場や物件の特性を踏まえた、根拠ある立退料の算定が重要になります。
当事務所では、不動産分野の専門家とも連携し、交渉の場で説得力を持つ立退料の設定を行っています。
・突然立退きを求められ、どう対応すべきか分からない
・提示された立退料が妥当なのか判断できず不安がある
・交渉を専門家に任せたい
このようなお悩みをお持ちの場合は、早い段階でのご相談が有効です。
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