Googleマップの悪い口コミの対策として、誰が書いたか、つまり投稿者を特定(犯人特定)できれば、本人に対して削除を要請したり損害賠償請求といった強力な手段をとることができます。
そこで、Googleマップの口コミ投稿者個人を特定する方法について解説したいと思います。
投稿者特定には裁判手続が必要
Google社は投稿者に関する情報を保有しています。
しかし、プライバシー権や個人情報保護の観点から、Google社に情報開示をお願いするだけでは情報は開示されません。
情報が開示されるのは、裁判所の命令がある場合にほぼ限られます。
そのため、投稿者特定を目指す場合は、裁判手続を実施する必要があります。
投稿者を特定するための裁判手続は2種類
投稿者を特定するための裁判手続としては、大きく分けて次の2種類があります。
- 日本での裁判手続(仮処分・訴訟)
- 米国での裁判手続(ディスカバリー制度)
以下、それぞれについて解説します。
①日本の裁判所での裁判手続(仮処分・訴訟)
Google社は米国企業ですが、日本の裁判手続でも犯人特定を目指すことができます。

ただ、あくまで日本の法律に基づく手続ですので、Google社から開示される情報は「ログイン時IPアドレス」や「ログイン日時(タイムスタンプ)」など、それだけでは投稿者個人につながらない情報に限られます。
また、日本の裁判所は特にGoogleマップのクチコミについて権利侵害を認めるハードルが高くなっている印象です。
さらに、原則としてGoogle社とプロバイダの両方に対して裁判しなければならないため、犯人につながる情報が得られるまで1年近くかかることが多いです。
②米国の裁判所での裁判手続(ディスカバリー制度)
ディスカバリー(Discovery)とは
米国にはディスカバリー(Discovery)という制度があります。

これは、相手方や第三者の支配下にある文書や証人等について開示を求めることができる証拠収集の手段です。
ディスカバリーの根拠条⽂は、合衆国連邦法典第28編の§1782(a)にあり、日本の裁判⼿続の当事者や提訴予定者は、このディスカバリーを利⽤し、⽶国にある証拠を収集することができるとされています。
もっとも、米国裁判所への申立てが必要ですから、米国弁護士の協力が不可欠です。
ディスカバリー(Discovery)のメリット
ディスカバリーのメリットは、日本の裁判手続によるよりもGoogle社から開示される情報が豊富という点です。

ディスカバリー制度を利用した場合、メールアドレスやIPアドレスのほか、電話番号やクレジットカードの名義まで開示されることがあります。これらの情報が開示されれば、投稿者個人の特定はほぼ成功するということができます。
また、情報が開示されるまでの期間も日本の裁判手続に比べて早く、3~4か月くらいで開示されることがほとんどです。
先述のとおり日本の裁判手続を利用すると投稿者個人の特定まで1年近くかかりますから、この点もディスカバリー制度を利用する大きなメリットといえます。
①日本の裁判手続と②ディスカバリー制度の比較
以上を踏まえ、①日本の裁判手続と②ディスカバリー制度を比較してみます。
①日本の裁判手続 | ②ディスカバリー制度 | |
Google社から 開示される情報 |
・ログイン時IPアドレス ・ログイン日時(タイムスタンプ) (投稿者個人に直接つながる情報は開示されない) |
・ログイン時IPアドレス ・ログイン日時(タイムスタンプ) ・メールアドレス ・登録した氏名 ・電話番号(登録されている場合) ・クレジットカード名義(登録されている場合) など |
投稿者個人につながる情報を得るまでの期間の目安 | 1年以上 | 3~4か月 |
裁判所の判断 | 非常に厳しい | 厳しいとまではいえない |
弁護士費用 | 50~100万円程度 (仮処分と訴訟の2回を想定) |
60万円~ (ディスカバリーのみ) |
こちらの比較をみても、Googleマップの投稿者個人の特定にとってディスカバリー制度は日本の裁判手続に対して高い優位性があるということができます。
まとめ
Googleマップのクチコミ(レビュー)で誹謗中傷された方にとって、投稿者特定は抜本的な解決につながる強力な手段ということができます。
当事務所では、これまでディスカバリー制度を利用し、投稿者個人の特定に成功した実績が多数ございます。
Googleマップのクチコミ(レビュー)で被害を受けている方は、ぜひ一度に相談してみて下さい。
Googleマップのクチコミ対策について詳しくはこちらの記事をご覧ください。