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Googleマップで匿名の口コミ投稿者(犯人)を特定する方法

GoogleMap

Googleマップの口コミは、Googleアカウントを保有しているユーザーであれば誰でも投稿できるものです。

ユーザーの「生の声」が閲覧できるというメリットがある反面、ビジネスオーナーにとっては以下のデメリットを感じている方も多くいらっしゃいます。

・事実無根の内容が投稿される
・削除申請で口コミが削除されても、同じ口コミの投稿が繰り返される
・競合他社による口コミが強く疑われる

このような悪質な口コミに対しては、投稿者特定(犯人特定)が強力な手段となります。投稿者特定に至れば、本人に対して削除を要請したり損害賠償請求といった法的手段を講じる道が開けます。

そこでこの記事では、Googleマップの口コミ投稿者個人を特定する方法について解説したいと思います。

口コミ投稿者を特定する方法

口コミの投稿者を特定するには、Google社に対して(投稿に使用された)アカウントに関する情報の開示を求めることになります。

ただし、プライバシー権や個人情報保護の観点から、Google社に情報開示を単にお願いするだけでは情報は開示されません。

情報が開示されるのは、裁判所の判断がある場合にほぼ限られます。

そのため、投稿者特定を目指す場合は、開示請求の裁判手続を実施する必要があります。

投稿者を特定するための開示請求の種類は、大きく分けて次の2種類があります。

投稿者特定のための裁判手続

① 発信者情報開示請求(日本法)

② ディスカバリー制度(米国法)

以下、それぞれについて解説します。

① 発信者情報開示請求

Google社は米国企業ですが、日本法に基づく「発信者情報開示請求」の手続でも投稿者特定を目指すことができます。

発信者情報開示請求による投稿者特定までの流れ

STEP
Google社に対する発信者情報開示請求の裁判の申立て

Google社に対して、ログイン時IPアドレスやタイムスタンプ等の情報の開示を求める発信者情報開示請求の裁判を東京地方裁判所に申し立てます。

このときの裁判は、仮処分又は発信者情報開示命令申立のいずれかを選択します。

STEP
裁判所での審理

開示請求の裁判の申立がなされると、Google社から反論がなされることが一般的です。その後裁判の期日が開かれ、必要であれば更にこちらが反論を行う、という形で裁判所での審理が進みます。

STEP
Google社による情報開示

開示請求の要件を満たしていると裁判所が判断する場合、Google社に対して開示を命じる決定が発令されます。これに基づき、Google社はログイン時IPアドレス等の情報を開示します。

STEP
経由プロバイダに対する発信者情報開示請求

IPアドレスだけでは投稿者特定には至りません。投稿者を特定するためには、そのIPアドレスを割り当てた経由プロバイダに対して更に開示請求(契約者の氏名・住所等)を行うことが一般的です。

この開示請求も裁判(通常訴訟)で行われることがほとんどです。

STEP
経由プロバイダによる情報開示

開示請求の要件を満たしていると裁判所が判断すれば、経由プロバイダに対して開示を認める判決が言い渡されます。

これに基づく情報開示を受けることで、投稿者特定に至ることが一般的です。

発信者情報開示請求を選択するメリット・デメリット

発信者情報開示請求を利用する場合、日本での裁判となるため費用はある程度抑えることができます。

一方、日本の裁判所は特にGoogleマップの口コミについて権利侵害を認めるハードルが非常に高くなっている印象です。(強い表現の口コミであっても、「単なる利用者の意見だ」という理由で権利侵害を認めないというパターンが多いように思われます。)

Google社側もかなり強く反論してきますので、裁判所における審理はハードなものとなることが多い印象です。

そのため、発信者情報開示請求は口コミの内容が嘘の事実であることがわかる確実な資料がある場合に選択すべき手段ということがいえます。

② ディスカバリー制度

ディスカバリー制度の概要

米国にはディスカバリー(Discovery)という制度があります。

これは、相手方や第三者の支配下にある文書や証人等について開示を求めることができる証拠収集の手段です。

ディスカバリーの根拠条⽂は、合衆国連邦法典第28編の§1782(a)にあり、日本の裁判⼿続の当事者や提訴予定者は、このディスカバリーを利⽤し、⽶国にある証拠を収集することができるとされています。

ディスカバリーによるによる投稿者特定までの流れ

STEP
弁護士による書面作成

まず日本の弁護士が、口コミの違法性を説明する文書を日本語で作成します。

STEP
書面の翻訳

作成した書面は米国の裁判所に提出することになりますので、文書を英語に翻訳することが必要です。

STEP
米国弁護士によるディスカバリー申立て

日本で作成・翻訳した書面を米国弁護士に送り、現地でのディスカバリー申立を依頼します。

STEP
裁判所での審理・Subpoenaの発行

米国裁判所が申立内容を審理し、申立を認める場合は「Subpoena(サピーナ)」が発行されます。

STEP
Google社による情報開示

「Subpoena(サピーナ)」がGoogle社に送付されると、同社から情報が開示されることが一般的です。

ディスカバリーを利用するメリット・デメリット

ディスカバリーのメリットは、日本の裁判手続によるよりもGoogle社から開示される情報が豊富という点です。ディスカバリー制度を利用した場合、メールアドレスや各種IPアドレスのほか、電話番号クレジットカードの名義まで開示されることがあります。
(日本の裁判手続では、クレジットカードの名義までは開示されません。)

開示される情報の範囲はケースによって異なりますが、内容によっては投稿者個人の特定はほぼ成功するというケースも多くあります。

また、開示が認められるハードルが日本の裁判所よりも低い場合が多いことも、ディスカバリー制度の大きなメリットということができます。

もっとも、米国裁判所への申立てが必要ですから、文書の翻訳や米国弁護士の協力が不可欠です。この点で、費用がやや高額になるという点はデメリットということができるでしょう。

まとめ

Googleマップの口コミの(レビュー)で誹謗中傷・営業妨害を受けた方にとって、投稿者個人の特定は抜本的な解決につながる強力な手段ということができます。

当事務所では、これまで日本の裁判手続や米国のディスカバリー制度を利用することで、口コミ投稿者個人の特定に成功した実績が多数ございます。

Googleマップのクチコミ(レビュー)で被害を受けている方は、ぜひ一度に相談してみて下さい。

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Googleマップのクチコミ対策について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

AUTHORこの記事を書いた人

弁護士 渡辺泰央

弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。

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