『アマゾンに開示命令 中傷書評の投稿者情報巡り東京地裁』
(2016/4/11 11:40日本経済新聞 電子版)より
Amazonのレビューについて、発信者情報開示を命じる判決が出たことで話題になっていますね。
今回の判決の意義は様々ありますが、中でも注目すべきなのは「Amazonの日本法人に対して判決が出された」という点でしょう。
みなさんご存知のとおり、Amazonは米国に本社があります。
そのため、開示の訴えなどは米国法人を相手に行わなければならないと判断される可能性もありました。
しかし、今回の判決は、そうではなくて「日本法人(アマゾンジャパン株式会社)に対しての訴訟でOK」と判断したことに大きな意義があるとされています。
米国法人に訴えを起こすにはやはり様々なハードルがありますから、商品レビューによる誹謗中傷について、救済の間口が広がったと考えることができます。
ただ、これによって「気軽にレビューを投稿できなくなるんじゃないか・・」などと心配する声も上がっています。
しかし、今回の判決によって開示の対象となるものの範囲が広がった訳ではありません。
どのような内容であれば開示がされてしまうのかはこちらの記事で説明していますが、この内容が変わった訳ではないのです。
つまり、
① 嘘の内容を含むもの
② 必要以上に攻撃的・侮辱的な表現でなされているもの
これらに当たらなければ、ネガティブな内容のレビューであっても基本的に開示がなされることはありません。
もちろん、日本法人に対する開示請求でOKとなりましたから今までより開示請求の件数が増える可能性はあります。
しかし、自分のレビューが開示請求の対象となったとしてもAmazonも原則どおり発信者に対する意見照会を行いますので、こちらでしっかりと反論をすることが可能ですし、適切な反論ができれば開示を止めることも可能でしょう。
商品のレビューなどは様々な意見があるべきものでそのことは法律も理解しています。
そのため、今回の判決によっても、不当に表現の自由が抑圧される可能性は低いと考えています。
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