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【発信者側】開示が認められても発信者側が損害賠償請求で勝訴することはある?

発信者情報開示請求によって開示に成功した側は、発信者に対して損害賠償を求める通知を送ってくることが一般的です。

ここから当事者間(被害者・発信者)の交渉が始まりますが、折り合いがつかなかった場合は、損害賠償請求の裁判に発展します。

開示後の裁判で発信者側に勝つことはあるのかを解説したいと思います。

 

全面勝訴することは難しい

開示請求の裁判を経て開示に至った場合は、問題となった投稿について裁判所が一度「違法」と判断したものといえます。

そのため、損害賠償請求の裁判でも、基本的には「違法」と判断されることがほとんどです。

 

ただ、「その投稿が違法かどうか」と「損害賠償の額がいくらか」は別の問題です。

投稿内容が違法であれば開示が認められますから、極端な話、損害賠償の額が100円であっても違法は違法なので開示は認められます。(開示請求の裁判では、損害の額は判断されません。)

 

したがって、損害賠償請求の裁判では、投稿が違法であることを前提に、損害賠償の額を可能な限り下げる方向で争うというパターンが多いといえます。

 

 

勝訴するケースとは?

とはいえ、中には全面勝訴に成功するケースもあります。

その理由として、次の2つが考えられます。

 

①開示請求の段階では裁判所の判断材料が違うことがある

先ほど、勝訴が難しいとした理由を「情報の開示に至った場合は、問題となった投稿について裁判所が一度「違法」と判断した」ためと説明しました。

しかし、開示請求の段階ではの裁判所の判断材料は限定されていることがあります。

発信者の言い分は、あくまで意見照会への回答として、プロバイダを通じて裁判所に提供されるだけだからです。

そして、意見照会への回答は、時間的、物理的な制約から、発信者が十分な回答ができないケースもあります。

また、発信者への意見照会は基本的に1回限りです。

開示請求者(原告)側は、回答書に記載された発信者の主張に対して反論することができますが、これに対して発信者がさらに反論をする機会はないのです。(プロバイダによっては開示請求者(原告)側の主張が出るたびに意見照会をしてくれるところもありますが、このような対応をしてくれるのはかなり少数です。)

 

一方、損害賠償請求の場合は、発信者側もその言い分が尽きるまで主張することができますし、開示請求者側の反論に対してさらに反論することも可能です。

 

このように、開示を判断するときと、損害賠償を判断するときで、裁判所にある判断材料は変わってくることがあるのです。

 

②開示請求と損害賠償請求では、判断する裁判官が違う

開示と損害賠償では、基本的に判断する裁判官も違います。

ある投稿内容が違法であるかどうか微妙なケースでは、裁判官の考え方によって結論が変わることがよくあります。

また、損害賠償請求について判断する裁判官が、開示請求の段階で投稿を「違法」と判断した裁判官に忖度するということもありません。

 

これら2つの理由から、開示請求の裁判では違法と判断された投稿が、損害賠償の裁判では適法と判断され、全面勝訴することもあるのです。

実際、私の担当した事件でも、損害賠償の裁判で全面的に勝訴したケースがあります。

 

開示されてしまった後は、方針決定が重要

発信者が全面勝訴するケースもあるとはいえ、基本的には多くないといえます。

そのため、自分の情報が開示されてしまったときは、全面勝訴を目指して争うのか、それとも損害賠償の額を可能な限り低くすることを目指すのかは慎重に見極めた方がよいでしょう。

 

当事務所では、発信者側での発信者情報開示請求対応に多数の実績があります。

発信者情報開示請求を受けたけども対応を相談されたいという場合は、ぜひ一度お問い合わせください。

 

 

 

発信者情報開示請求について、発信者側の解説記事についてはこちらをご覧ください。

 

ABOUT US

渡辺 泰央
渡辺 泰央
弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録(第二東京弁護士会)。 ウェブサービス、スマートフォンアプリをはじめとするIT関連、デジタルコンテンツ関連案件の訴訟、紛争や意見書作成、契約書作成、著作権侵害性リサーチなどを得意とする。
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