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発信者情報開示請求に拒否をした後の流れを任意請求と裁判に分けて解説

発信者情報開示請求(意見照会書)に対して拒否の回答をした後、どのような流れになるか気になる方もいると思います。

この記事では、拒否の回答をした後の流れや疑問について解説しています。

 

なお、この記事で使われている「任意請求」や「裁判」というの用語の意味を知りたい方や、そもそも意見照会書とは何かを知りたい方は、次の記事をご覧ください。

 

任意請求の場合

 

開示・非開示は誰が判断するか

開示請求が任意請求で行われている場合、拒否の回答を受け取ったプロバイダは自社で開示するかどうかを判断します。

もっとも、発信者側が拒否の回答をしている場合は、プロバイダの判断で開示の決定をすることはほとんどありません

 

回答書の内容(拒否したことや拒否の理由)は開示請求者側に伝わるか

回答書の内容を開示請求者側に伝えるかどうかはプロバイダによります

とはいえ、個人的な経験としては、ほとんどのプロバイダは回答書の内容を伝えていないという印象です。

 

なお、プロバイダが非開示の決定をしたということは、発信者側が開示に同意しなかったことを意味します。

そのため、開示請求者側としては、非開示の通知によって、発信者が開示に同意しなかった事実を知るというのが一般的です。

 

開示・非開示について結果は通知されるか

開示請求者側には、プロバイダから開示・非開示の結果が通知されます。

 

一方、発信者側に通知するどうかはプロバイダによります。

個人的な経験からすれば、発信者側に結果を通知するプロバイダはやや少ない印象です。

 

非開示の決定があった後の流れ

非開示の通知を受けた開示請求者は、手続きをそこで終わらせるか、開示請求の裁判に進むかを決めます。

裁判を起こすかどうかは開示請求者次第ですので、発信者側がその決定に関与できることはありません。

開示請求者側が任意請求をすることで目的を達成したと考えた場合は、裁判を起こさないこともあります。

任意請求を行う理由については、次の記事で解説しています。

 

開示請求者側が裁判を起こした場合は、改めて意見照会書が送付されてくることが一般的です。

ただ、「任意請求の段階で意見照会書を行ったから裁判の段階では改めて意見照会書は送らない」という運用のプロバイダもありますので、この点はプロバイダに電話などで確認しておくことが無難でしょう。

 

裁判の場合

開示・非開示は誰が判断するか

裁判に至っている場合、開示が認められるかどうかは裁判所が判断します。

発信者が開示に同意していなくても、開示を認める判決が言い渡された場合は発信者の情報は開示されます。

 

回答書はどのように取り扱われるか

開示請求が裁判に至っている場合、プロバイダは原則としてその回答書を証拠として裁判所に提出します。(回答書に発信者側の情報(氏名など)が記載されている場合は、提出のときにマスキングしてくれることがほとんどです。)

裁判所に提出された証拠は原告にも送られますから、これによって拒否の理由や添付した証拠は開示請求者側に伝わります。

 

回答後は発信者にできることはあるか

発信者側の言い分に対し、さらに開示請求者側が反論することがあります。

これに対して発信者側がさらに反論する機会はないと考えていいでしょう。

反論するにはプロバイダにこちらの反論を証拠として提出してもらう必要がありますが、プロバイダにそこまでの義務はないからです(一部のプロバイダでは、再度反論する機会を与えてくれるところもあります。)

 

なお、裁判を傍聴したり、訴訟記録の閲覧をすることで、どのような資料が提出されているか、またどのような訴訟指揮がされているかなどを確認することはできます。

これによって裁判の経過を見ることは可能です。

 

訴訟記録の閲覧についてはこちらの記事で解説しています。

 

判決が言い渡されるまでの期間

第一審の判決が言い渡されるまでの期間は、意見照会に回答してから3~6か月程度です。

ただ、控訴されたりすれば、実際に開示されるまでの期間はさらに伸びます。

 

なお、後述のとおり、開示を認める判決に対してプロバイダはほとんど控訴しません。

そのため、開示されるまでの期間が長くなるのは開示を認めないという判決が出たときがほとんどということができます。

 

裁判の結果は通知されるか

裁判の結果について発信者に通知するかどうかはプロバイダによってまちまちです。

個人的な経験からすれば、判決の結果は発信者側に通知してくれるプロバイダの方が多い印象です。

 

判決が言い渡された後の流れ

開示を認める判決が言い渡された場合、プロバイダはそれに従って発信者の情報を開示します。

プロバイダが控訴することはほとんどありません。

 

開示されてしまった場合は開示請求者側から直接連絡があります。

連絡の方法としては、代理人弁護士から内容証明郵便が届くことが多いでしょう。(これを受け取ったときに開示されたことを知ることも珍しくありません。)

開示請求者側の通知には、損害賠償についての記載があることがほとんどで、ここから示談についての交渉が始まります。示談については次の記事で解説しています。

 

示談交渉が決裂してしまった場合は、損害賠償の裁判になるでしょう。この裁判についてはこちらの記事で解説しています。


 

当事務所では、発信者側での発信者情報開示請求対応に多数の実績があります。

発信者情報開示請求を受けたけども対応を相談されたいという場合は、ぜひ一度お問い合わせください。

 

 

弁護士に依頼できることや費用の目安等についてはこちらをご覧ください。

 

発信者情報開示請求について、発信者側の解説記事についてはこちらをご覧ください。

 

AUTHORこの記事を書いた人

弁護士 渡辺泰央

弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。

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