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【ネットショップ側】クーリングオフしたいと言われたら?

運営しているネットショップで、商品がひとつ売れたので商品を発送したが、数日後、お客さんから「思っていたのと違うから、返品したい。」クーリングオフできるはずだ。」と言われることがあります。

この記事では、このようなケースでどのように対応したらよいか、解説しています。

 

1.返品したい理由を確認する

商品を発送しているわけですから、売買契約は成立していると考えられます。

売買契約の成立後は、返品が認められるケースは限られます。

返品が認められる典型的な例は、商品に欠陥があるというケースです

今回のケースは、「思っていたのと違う」という理由ですから、検討すべきは「法定返品権」が認められるかどうかでしょう。

 

2.「法定返品権」が認められる場合かどうかを検討する

厳密には、ネットショッピングのような通信販売において、「クーリングオフ」という制度はありません。

もっとも、似たような制度はあります。それが、「法定返品権」というものです。

法定返品権」が認められるときは、理由を問わず契約をキャンセルすることができます。

法定返品権」が認められるのは、次の場合です。

商品が到着した日から8日を経過するまでの間に、キャンセルの連絡がネットショップ側に届いたとき

お客さんのところに商品が到着した日が基準となりますから、配達の追跡サービスなどで到着した日にちの確認は必須です。

 

3.「返品不可」の記載に効果があるか

ネットショップのサイト上に、「返品不可」と記載があれば、この法定返品権を認めないとすることができます。

しかし、これには細かい条件があり、サイト上のどこかに1つだけ「返品不可」と記載があるだけでは、法定返品権を認めないとする効果はありません。

 

4.返品にかかる費用は、負担しなくてよい

仮に法定返品権が認められるとしても、返品する際に必要な配送費などは、ネットショップ側で負担する必要はありません。

せっかく売れた商品が戻ってくるのは残念ですが、返品されたものを受け取り、代金も返せば対応は終わりです。

なお、返品された商品に破損・汚損がある場合は別問題です。破損・汚損の程度によって、返金しなければいけない額などは変わってくるでしょう。

 

 

トラブルを予防するには

法定返品権」も踏まえた返品のルールを明示しておくことです。

法定返品権を認めないとするためには、法律に則った記載が必要です。

法的には、返品のルールの記載内容、場所、文字の大きさまで指定があります。

正確な記載をするにはやや面倒に感じるかもしれません。

しかし、法律に則った記載をすれば、法的にしっかり守られたネットショップ運営ができます。

キャンセル返品、また商品に欠陥があった場合のルールは、やはり法的な観点から総合的に策定しておくことが必要です。

 


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AUTHORこの記事を書いた人

弁護士 渡辺泰央

弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。

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