サイトをパクられたときの対処法①:侵害の分析

先生、どうやらウチのサイト、他に真似されたっぽいんですけど・・・。

ホントですか?

はい。せっかくサイトのアクセスも増えてきたのに。こんなことされたら困ります。

どうしても懲らしめたいです。先生、すぐに犯人を訴えてください。

まあまあ、ちょっと落ち着いてください。サイトを真似されたと思ったら、まずはそれが著作権侵害にあたりそうかを考えないと。

どういうところが似てるんですか?

ええと・・まあ全体的にというか、雰囲気的に?

それだとちょっと、権利主張をするには分析が足りないですよ。

分析の仕方なんて、あるんですか? 教えてください。

はい。落ち着いてしっかり分析してみましょう。

まずは、何が共通してるか、その共通部分を抽出してみることです。

共通部分を抽出・・・ですか。

はい。「なんで似てると思うのか、具体的に言葉にしてみる」と言い換えてもいいかも知れません。例えば、「この部分に使っている色が同じ」とか「このボタンの形が同じ」とか「この文章「てにをは」を変えただけ」とか、そんな感じです。

なんとなくやることは分かりました。

それで次に何をするんですか?

そうやって抽出した共通部分をみて、それが「著作権が認められる『表現』かどうか」を考えてみるんです。

え? どういうことですか?

著作権が認められるのは、「作者の個性が表れた『表現』」に限られるという話はしましたよね?

はい。

アイデア』とか『ごくありふれた表現』に著作権は認められないって話ですよね?

そうです。だから、共通部分が「作者の個性が表れた『表現』」といえてはじめて、著作権侵害が成立するんです。

共通部分が『アイデア』や『ごくありふれた表現』に過ぎないときは、いくら”似て”いても著作権侵害にはなりません。

なるほど。『アイデア』とか『ごくありふれた表現』って、そうやって使うんですね。

例えば、「ボタンの形が同じ」という共通部分があったとして、そのボタンの形が特徴的なもの(作者の個性が表れたもの)だったら著作権侵害ですが、単純な長方形であれば『ごくありふれた表現』として著作権侵害とはいえないでしょう。

ふむふむ。

また、文章共通部分がある場合、特徴的な文章表現が共通していたら著作権侵害でしょう。でも、同じ内容を説明しているだけで、文章の表現としては全然違うのでしたら、それは『アイデア(内容)』のレベルで共通しているに過ぎません。

なんとなくは分かりました。

でも、今回の話はちょっと難しいです・・・。

著作権侵害かどうか」の判断はどうしても専門的な作業になってしまいますからね。

でも、共通部分を抽出してみるというのは大切なポイントですので、何かを真似されて困ったと思ったら、ぜひ参考にしてみてください。

【解説】

(1) 「パクられた!」と思ったら

何となく雰囲気が似ているだけでは、著作権侵害成立しません。

また、その程度で相手方に対して権利主張を行ってしまうと、かえって自分の評判を落としかねません。
著作権表現に関する権利ですから、無理な権利主張をし続けていると、
「不当に表現を独占しようとしている」
「他者の表現の自由を無視している」
などの印象を抱かれるためです。

そのため、著作権の権利主張を行う場合には、ある程度突き詰めた分析を行うことが必要と考えます。

 

(2) 「濾過テスト」という手法

ホームページを真似されたという事案では、複製権翻案権の侵害を検討するのがほとんどでしょう。

その場合、著作権侵害かどうかの分析を行うには、「共通部分を抽出してみる」というのが最も有効です。

その上で、その共通部分が「作者の個性が表れた『表現』」なのか、それとも『アイデア』や『ごくありふれた表現』に過ぎないどうかを検討します。

この手法を、専門用語で「濾過テスト」といったりします。

なお、複製権でも翻案権でも検討する内容は同じですので、この場合、複製権か翻案権かの区別は必要ないといえます。

なお、画像の転載とか、ある程度長さのある文章をそのままデッドコピーしているような場合は、この「濾過テスト」など行うまでもなく著作権侵害でしょう。

そして、検討の結果、著作権侵害だと判断できる場合、次に「引用」などの著作権制限規定が適用されないかの検討に進むことになります。

 

(3) 一度は相談するべき

もっとも、『アイデア』や『ごくありふれた表現』あたりの判断は非常に難しくなる場合があります。

また、権利主張の方法や、裁判になったらどうなるかなど、全体の見通しを立ててから初手を打つのが、紛争を有利に進めるうえで有用です。

そのため、著作権侵害の対応に関して、一度は専門家に相談されることが必要でしょう。

 

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