サイトをパクられたときの対処法④:請求する損害額

とりあえず、裁判外の請求(任意請求)から始めたいと思います。

それで、損害賠償もやるんですけど、一体いくら請求すればいいんですか?
適当に、100万円くらい?。

適当は良くないですよ。ちゃんと法律で認められそうな額をいわないと、交渉もうまくいきませんから。

じゃあどうすればいいんですか?

前に、著作権の損害賠償って計算が独特だって話しましたよね?

著作権の場合、損害賠償の計算方法がある程度法律で決められているんですよ。

そんな話、ありましたね!

だから、法律に基づいて計算した金額を言えば、説得力は上がりますよね。

なるほど。じゃあどういう計算か、教えてください。

分かりました。

計算方法はいろいろあるんですけど、今回はライセンス料を基準に考えるやり方がいいと思います。

ライセンス料

この前、コンテンツの利用許諾をするっていってましたけど、そのときライセンス料を決めたじゃないですか。

そういうライセンス料を基準に損害額を計算するというルールが、著作権法にあります。

ライセンス料の分が、請求できる額ってことですか?

考えるベースはそうなんですけど、ちょっと違います。

ライセンス料と同じ金額だと、著作権侵害を助長しかねませんので。

え、なんで?

それだと、「無断コピーがバレたら、そのときにライセンス料を払えばいいや」ってなるじゃないですか。
バレたとき最初からお金を払っていたときで払う金額が同じであれば、「バレなきゃラッキー」を許してしまうんですよ。

確かに!!

なので、このときのライセンス料高くなります

どのくらい高くなるかは事案によってまちまちですけど、1.5倍とか2倍になったりします。

へえー。

だから、勝手に使われたコンテンツのライセンス料が「月額●●円」で、「▲ヶ月」使われた場合、「●●円 × ▲ヶ月」が正規のライセンス料ですね。
これを1.5倍とか2倍にした額が損害です、という感じで言えば、法律に基づいた請求額になります。

それならちょっとできるかも。

これで一回計算してみてください。
他にも計算方法はありますから、計算結果が不満だったり、分からなくなったりしたらまた相談してください。
計算次第で大きく変わってしまうこともありますから。

【解説】

(1) 損害額をどう計算する?

著作権侵害の場合、損害賠償の「」の計算についての特別な規定があります。

法律に定められている計算方法は、大きくつに分かれていて、今回紹介した方法はそのうちの1つです。

3つの計算方法を非常に簡単にまとめると、次のようになります。(今回の話で紹介したものはこのうちのです。)

① 違法コピーが売れた数 × 作品1個あたりの販売で権利者が得られる利益
② 違法コピーが売れた数 × 作品1個あたりの販売で犯人が得ていた利益
③ 違法コピーを利用した数(量) × 作品1個あたりのライセンス料 × 1.5~2程度(事例による)

どの計算方法を利用するかは、事案によって異なります。

一般的には、計算結果が高額になるもの、証拠から計算がスムーズにできるものを選ぶことになるでしょう。
当然、3つの計算方法の結果を合計して請求することはできません。

著作権の損害賠償の額の計算はこのようにして行われますが、どの計算方法も利用できない場合、最終的には裁判所の裁量で「相当な損害額」を認めることになります。

 

(2) 慰謝料が認められる場合も

著作権を侵害された場合、同時に著作者人格権が侵害されることがあります。
この場合、著作者人格権を侵害されたことを理由に、慰謝料も請求できます。

ただ、これに関しての特別な計算方法ありません。
この場合、慰謝料の裁判所が決定することになります。
相場としては数万~数十万程度に収まることが多く、数百万円となることは多くありません。

 

(3) 損害額は結論に大きな影響を与える問題

著作権の損害賠償額の議論は、著作権侵害か認められるかどうかという議論に比べ、注目を集めづらいものです。

しかし、訴訟ではここが結果に大きな影響を与えます。
明らかな著作権侵害であっても、損害額の主張をおろそかにする場合、最終的に認められる損害額雀の涙ほどになります。
逆に、著作権侵害で訴えられたとしても、この点をしっかり争うことで、ダメージを最小限に抑えることができます。
その意味で、損害額の争いは著作権訴訟のメインの一つといっても過言ではありません。

著作権訴訟で損害額が大きくなりそうな事案では、しっかり著作権訴訟の専門家に協力を求め、適切な対応をとっていくことが不可欠でしょう。

 

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渡辺 泰央

渡辺 泰央

上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録(第二東京弁護士会)。 ウェブサービス、スマートフォンアプリをはじめとするIT関連、デジタルコンテンツ関連案件の訴訟、紛争や意見書作成、契約書作成、著作権侵害性リサーチなどを得意とする。