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顔文字やアスキーアートに著作権はある?|元ネタがある場合は注意!

サイト記事の文章に、顔文字とかも使ってみたら面白いと思ってるんです。

ネットを見てみると、いろんな顔文字がたくさんありますよね。

特殊文字を使ったりしているものもあって、意外に奥が深いですよね。

ああいう顔文字とかは、勝手に使ってもいいんですか?

ああいうのって、客観的に見るとわずか数文字の文字列なので、著作権が認められないことが多いと思います。

なるほど。

じゃあすごい長いやつだったらどうですか?

アスキーアート(AA)みたいなすごいものだったら、著作権が認められ得ると思います。

ただ、顔文字にしてもAAにしても、同じような問題があって。

なんですか?

まず、多くの場合で、作成者が分からないことです。顔文字とかAAを紹介しているところは多いですけど、それを誰が作ったか、なんてほとんど書いてないじゃないですか。それと、ネットの書き込みは匿名であることがほとんどですから、仮に作者が権利主張したとしても、本当にその人が作ったものかどうかは証明が難しいんですよ。

なるほどー。

それともう一つ。インターネットの世界って、コピペが横行しています。そうすると、書き込みをする人は、ある程度コピペを覚悟しているともいえますよね。

まあ、あんまり自分の投稿が拡散するのは嫌ですけど。

そういうときは、コピペ不可と書いたり、不特定多数に見られないような所に書き込むべきでしょう。とにかく、こんな理由から、みんなあんまり気にしないで顔文字やAAを利用しているんだと思います。

じゃあ、私もあんまり気にしなくていいってことですか?

あまり神経質になる必要はないと思います。

ただ、AAに元となったキャラクターがある場合には、注意しなきゃいけないですよ。

ああ、そういうのも結構ありますよね。ダメなんですか?

はい。既存のキャラクターのAA化は「複製」とか「翻案」にあたりますが、元作品の著作権って二次的著作物にも及ぶんですよ。つまり、いくらAAになっていても、それにも元のキャラクターの著作権が及んでいます。

てことは、AAをコピペすると、元のキャラクターの著作権を侵害するってこと?

そうです。

だから、いくらAAだからといって、自分の記事に既存のキャラクターを張り付けたりすると、元の権利者から警告などされる可能性があるんですよ。気を付けましょうね。

【解説】

(1) 単純な顔文字に著作権は認められづらい

顔文字には著作権が認められないことが多いと考えられます。
数文字で構成されているため、作者の個性」が表れたとはいいづらいからです。

その反面、非常に特異な顔文字や数行に及ぶアスキーアート(AA)には著作権が認められる可能性があるでしょう。

 

(2) 権利主張のむずかしさ

ただし、顔文字AAに著作権が認められることがあっても、実際の権利主張をするには高いハードルがあります。
権利者であること証明が難しいことと、ネットに書き込む以上はある程度のコピペは覚悟していると理解され得るからです。

そのため、顔文字やAAをめぐる法的紛争の数は多いとはいえません。
常識的な範囲内であれば、あまり神経質にならずに利用して問題ないでしょう。

 

(3) 元ネタがある場合には注意が必要

もっとも、AAの元になった既存のキャラクター等が存在する場合は注意が必要です。
そのようなAAは二次的著作物として、元キャラクターの作者の権利が及ぶからです。

そして、実際にAAを作成していなくても、それをコピペしただけ「複製」と判断されます
そのため、既存のキャラクターのAAを自分のサイトに貼り付けると、元キャラクターの権利者から権利主張をされることがあり得ます

 

(4) 有料の場合はどうか

その他、有料で顔文字を提供するサービスもあるようです。
もちろん、有料であるからといって必ず著作権が認められる訳ではありません

ただ、著作権以外の問題も起こり得るところですので、そういったサービスを利用する場合には、利用規約にしたがって利用しましょう。

 

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ABOUT US

弁護士 渡辺泰央
弁護士 渡辺泰央
弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。