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WEBサイト制作の依頼で気をつけるべき契約上の注意点についてわかりやすく解説!

サイトの制作について、作るのを一部プロの人にお願いすることになりました。

話もだいぶ進んでるんですよ。

そうですか。

じゃあ、契約内容の話とかもしてるんですか?

契約内容ですか?ええと、金額の話はしてますけど、それ以外は特に・・・。向こうからも何も言ってきませんし・・。

そうですか。でも曖昧なままだと、トラブルになったとき大変ですよ。

そんな、トラブルになることなんかあるんですか?

それが結構あるんですよ。

直接的な著作権トラブルでなくとも、他のトラブルがきっかけになって著作権が争われるということも珍しくないですから。

じゃあどうすればいいんですか?

まずは重要なことをちゃんと話し合って決めるべきです。

できれば、決めた内容を形に残すのがいいですね。

形に残すって?

典型的なのは書面を作ることです。

メール保存するのでもいいですが、契約書を作るのが一番確実ですね。

あ、契約書って雛形がネットに落ちてるから、それ使えばいいか。

いや、そういうのはあんまりおすすめしません。

何でですか?

ネットに落ちてる契約書って、トラブルになったときに役に立たない事が多いんですよ。そのひな形の内容が今回の契約に合致してればいいですけど、そういうことは滅多にないので。かえって紛争がややこしくなる事もあるくらいです。

そうなんですか・・・。

それに、契約書って、大抵はどちらか一方の立場から作られています。有利不利に偏りがあるんですよ。なので、ネットで拾った契約書が自分と違う側から作られたものだと、自分で自分の立場を悪くするなんてこともありますよ。

でも、どっちの立場から作られたものか、簡単に分かりますかね・・。

そこは内容を見るしかないですが、不安であれば雛形参考にする程度で、後は相手方と話し合った内容をちゃんと記載する、というスタンスで臨むのがいいでしょう。

それでもちょっとハードル高くないですか?

まあ、分からなかったら相談して下さい。あと、相手方から契約書を提示されたら、それは大体相手方有利に作られています。なので、そういうときは適当にサインしたりしないで、内容をちゃんと確認してください。不安であれば、やっぱり専門家にチェックしてもらうのをおすすめします。

【解説】

(1) 信頼だけで大丈夫?

ホームページの制作に関して、ウェブデザインコンテンツ制作など、著作権が絡む仕事をプロに依頼することがあります。このような仕事を依頼する際、何ら契約書等を作成しないことがあります。お互いの信頼関係の中でやっているから、という事で、契約内容曖昧なままにしておくことも少なくありません。

しかしながら、契約内容が曖昧であるため、その後トラブルが生じた場合に紛争が複雑になることが多くあります。直接的には著作権のトラブルではなくとも、他のトラブルと関連して著作権の問題が発生してしまうこともあります。

例えば、単純な代金未払いのトラブルであっても、それまでに納品した物著作権はどうなるのかなどという問題に派生してしまう場合があるのです。そのため、契約内容については、代金や納品物だけでなく、著作権の帰属などについても事前に決めておくことが必要です。

 

(2) 決めた内容は、形に残そう

万が一トラブルが発生したとき、解決の手掛かりになるのが、契約書など当事者で話し合った内容を示す証拠です。契約内容について合意したときは、証拠を残しておくべきでしょう。証拠として確実なものは、契約書や念書などお互いの署名押印がある書面(紙)です。ただ、書面のやりとりが取引成立の妨げになる場合もあり、書面の作成が敬遠されることもあります。そのような場合であっても、最低限、注文書請書重要な内容は記載しておくとか、メールのやりとりを保存しておくなども有効です。メールであっても、裁判の証拠になります。

 

(3) ネットで拾ったひな形をそのまま使うのは危険

契約書が必要だからといって、ネット上に落ちている契約書のひな形を使うことはお勧めしません。実際の契約内容と合致していないことがほとんどだからです。合致していない契約書を利用すると、いざトラブルが起こったときに何の役にも立たないばかりか、かえってトラブルを複雑にすることもあります。

また、既存の契約書は、当事者のどちらか一方の立場から作成されたものであることがほとんどです。ネット上の落ちているひな形も同様です。そのため、ひな形をそのまま使った結果、かえって自分の立場を悪くすることもあり得ます。仮にひな形を利用する場合であっても、その記載参考するにとどめ、実際に話し合った内容自分で記載するのが良いでしょう。

 

(4) 相手が提示してきた契約書にも注意

契約書は裁判でもかなり重要な証拠になりますから、契約書署名押印をする場合は、そのときの契約内容に合致しているか、きちんと確認するべきです。決して、内容を見ず署名押印をしてはいけません

また、契約の相手方が契約書を作ってくれたからといって、内容を見ずに署名押印することもおすすめできません。基本的に、提示された契約書作成した側が有利なように作られているからです。交渉上の力関係がある場合もありますが、どうしても認められないようなものについては、しっかり交渉して自分の立場を確保しておくことが必要です。

契約書複雑で分からないとか、交渉が上手くできそうにない等の場合には、やはり専門家に相談されることが必要でしょう。

 

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ABOUT US

弁護士 渡辺泰央
弁護士 渡辺泰央
弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。