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不正インストールは刑事罰や損害賠償請求になる|疑われたときの対処法は?

サイトを作るためにいろいろソフトを買うんですけど、安くはないんですよね

ウェブサイトを作るために必要なソフトとか、揃えようと思ったら種類もたくさんありますからね。

そうなんです。それで、少しでも安く買おうとオークションとかも見ているんですけど・・。やたら安いのが売ってたりするんですよね。ああいうのって大丈夫なんですか?

正規品だったら問題ないでしょうけど、極端に安いものは非正規の可能性が高いでしょう。

そういうのは、使ったらダメなんですよね?

もちろんです。ソフトのインストールって、著作権的には「複製」にあたるんですよ。非正規のものは権利者から正式に許諾を受けたものとはいえないので、不正インストール無断「複製していることになります。

やっぱり、著作権侵害なんですか。

でも、ばれなきゃいいやって、使ってるところも結構ありそうですけど。

そういうのも絶対やめた方がいいですね。「ACCS」や「BSA」などの団体が不正コピーの通報制度を設けたりしていますし、各メーカーでも対応しているようですから、ばれないと考えるのは無理でしょう。

ばれるとどうなるんですか?

刑事罰が科せられることがあります。10年以下懲役または1000万円以下罰金ですね。また、企業ぐるみで不正インストールをしていると、その企業にも3億円以下の罰金が科せられることがあります。

結構厳しいんですね。

刑事罰のほか、権利者から損害賠償も請求されます。

こういう場合の損害賠償の額は大きくなります。絶対に「最初から正規品を買っていれば良かった」と思う額になるんですよ。

そしたら、やっぱりちゃんと正規品を買った方がいいですね。

刑事罰とか損害賠償請求を受けるリスクを負うよりは絶対正規品を買った方がいいですよ。

それに、非正規品を使っていると企業のイメージ悪くなりますからね。

【解説】

(1) 不正インストールのリスク

ソフトウェアデジタルデータでできている関係上、コピーや配布等を容易に行うことができます。

しかし、このような性質を悪用し、ソフトウェアを不正コピー配布を行っている者も存在します。

このようなソフトを利用するなど法的に許されない形でのインストールをすることが「不正インストール」の問題として、社会的に問題視されています。

不正インストールを行うと、刑事罰損害賠償請求を受ける可能性があります。

 

ばれなければ問題ない、などという態度で不正インストールを行う者もあるようですが、各メーカーは対策を行っていますし、そのような行為を通報する機関も設置されているため、ばれないなどと考えることはやめましょう。

特に、近年では各メーカーの不正インストールに対する態度は厳しく、損害賠償請求も高額なります。この場合の損害賠償請求は、後から正規品を買ったから免れるなどということはありませんので、不正インストールはそもそも行わないようにすべきでしょう。

 

特に損害賠償請求に関して、「非正規品とは知らなかった」という言い訳はほとんど通らないでしょう。

オークションなどで極端に安い価格で販売されているようなものは、仮に「正規品」とうたわれていたとしても、非正規品の可能性が残るからです。

このような場合、正規品だと思って買った点をみれば騙されたともいえますが、非正規品の可能性があるものを買ってインストールしている以上、それは著作権侵害について「過失」があると評価されます。

結局、非正規品の可能性が残る商品には、最初から近づかないことを強くお勧めします。

 

(2) 不正インストールを疑われてしまったら?

もっとも、いくら管理を徹底していても、社員が勝手に不正インストールを行ったりする場合もあります。

そのような事情で権利者から損害賠償請求等がなされると、もはや法的紛争になってしまい、対応が非常に難しくなります。

権利者からの請求がなされた場合、対応次第では必要以上に自社を不利にすることもありますので、早急に専門家に相談するべきでしょう。

 

 

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不正インストールに関する解説記事についてはこちらをご覧ください。

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弁護士 渡辺泰央
弁護士 渡辺泰央
弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。