コラム

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サイトをパクられたときの対処法②:損害賠償請求や削除などの目標を決める

真似されたサイトの件、あれからいろいろ分析してみたんですが、やっぱり著作権侵害にあたると思いますよ。うちが独自に工夫したところが一緒ですから。

やはりそうでしたか。

次はどうすればいいですか?

次は、「ゴールをどこに置くか」ですね。目標設定です。
犯人にどうして欲しいか。どうなって欲しいか。ということですね。

でも、法律的には設定できる目標は限られています

何ができるんですか?

まずは、民事での差止請求著作権違反の利用をやめさせるものです。

ホームページのコンテンツ削除請求もこれです。

削除して欲しいですね。

次に、民事の損害賠償請求

著作権違反の行為でこちらが受けた損害について、お金を払ってもらうことです。

お金も払って欲しいですよ。

あとは、謝罪を求めることも考えられます。
例えば、ホームページ上に「著作権を侵害していました」という謝罪広告を載せることを求めたり。
最後に、刑事告訴警察などに刑事処分を与える方向で動いてもらうものです。

謝罪逮捕もして欲しいです。

結局全部じゃないですか。

ダメなんですか?

法的手段って、決められた手続をとらなきゃいけませんし、証拠も必要です。
証拠が十分にそろっていて、著作権侵害も明らかであれば全部やってもいいでしょうが、そういうことは多くありません。

じゃあ、どうすればいいんですか?

とりあえず最低限の目標を設定しましょう。

ホームページから削除だけは絶対にしてほしいとか、損害賠償でお金だけは払ってもらいたいとか。そこから必要な準備が見えてきますので。

わかりました。じゃあちょっと検討してみます。

全部やるのは大変だと思いますし、あんまりこういうのに時間も手間もかけられないですから。

ええ。

達成の難易度もそれぞれ違いますので、ゴールを設定してから、それが実現できるかどうか、今ある証拠を踏まえて考えていきましょう。

【解説】

(1) パクられたとき、何ができる?

著作権侵害がされた場合でも、犯人に対して法律的に請求できるもの限られています。

そのため、何をゴールに設定して法的手段に出るかを決める必要があります。

著作権侵害がなされた場合に、権利者(被害者)がとれる法的手段は、概ね次のとおりです。(これらの他、著作権登録がされている場合の登録抹消の請求等もありますが、ここでは省略します。)

① 差止請求(違法コピーなどの廃棄請求を併せること等も可能)
② 損害賠償請求(慰謝料を含む)
③ 名誉回復措置請求(謝罪広告など)
④ 刑事告訴

 

(2) 達成のハードルは違ってくる

権利者がとれる法的手段は複数ありますが、これらは達成の難易度にも違いがあります。

例えば、②損害賠償請求を行う際には加害者の「故意」又は「過失」を証明しなければなりませんが、①差止請求の場合、それらを証明する必要はありません

また、著作権侵害は民事で一定の解決ができるため、捜査機関は④刑事告訴に対して必ずしも積極的でないという状況にあります(重大事件などに関して別です。)。

達成が難しくなればなるほど、証拠など要求されるものが多くなります。そのため、何を目標に設定するかは、自分たちの達成したいラインと、現在ある証拠などを総合的にみて考えていくことになるでしょう。

 

(3) 権利主張の乱発には注意

いずれの目標を設定するにしても、法的手続にはどうしても手間時間がかかってしまいます。

また、薄い理由での著作権の請求を乱発すると、他者の表現の自由を軽視していると非難される可能性がありますし、あまりに高いラインにこだわると、かえって最低限の目標すら達成できなくなることがあります。

そのため、適切なラインを設定して動くことが、こちらの利益を最大化するために必要といえるでしょう。

 

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AUTHORこの記事を書いた人

弁護士 渡辺泰央

弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。

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