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サイトのパクりを疑われたときの対処法③:裁判までの流れと和解方法について

一応、今回の件で目標は設定してみました。

でも、交渉が決裂したら、訴えられるんですよね・・。

絶対そうなるとはいえませんが、可能性はあります。

訴えられたら、どうなるんですか・・?

あんまり考えたくないですけど。

民事裁判の場合、まずは裁判所から訴状呼出状が送られてきます。訴状にはどういう趣旨で訴えたかが書いています。また、呼出状には●月●日に裁判所に出頭しろと書いてあります。それと、反論がある場合には答弁書という形にして提出してくださいとも書いてあります。

無視するとどうなるんですか?

無視すると、相手の言い分を認めたと同じ事になって、負けちゃいます

ホントですか!?

はい。だから、どんなに下らない言い分でも、裁判になったらちゃんと対応しなければいけません。訴えられた方からすればたまらないですが、逆に訴える方からすれば、相手を強制的に訴訟に引っ張り込めるので、強力な手段といえます。

なるほど。

呼出状に書かれた日に、第1回の裁判が開かれます。その後はお互い主張証拠を出し合ったり、関係者の尋問をしたりします。途中、裁判所から和解を勧められることもありますけど、それが出来なければ最終的に判決になります。判決に不服があれば控訴とか上告とかして、いずれどこかで決着します。

判決を無視するとどうなるんですか? やっぱり逮捕されるんですか?

いや、民事事件では逮捕はされません

判決を無視すると、財産の差押えとか、そういうのをされます。

あ、逮捕される訳じゃないんだ。ちょっと安心しました。

でも、銀行口座とか給料を差し押さえられたりすることはありますので、軽く考えるべきじゃないですよ。

訴えられたときの流れはこんな感じです。これを知っておくと紛争の予測がつきやすくなりますので、覚えておいて損はないと思いますよ。

【解説】

(1) 裁判はどう起こる?

裁判外での交渉が決裂すると、民事裁判に移行するのが一般的です。

ただ、必ず裁判が開かれる訳ではありません。

民事裁判は、原告が裁判所に訴状を提出しなければ起こらないからです。そのため、たとえ送りつけられた内容証明郵便無視したとしても、相手がそれ以上何もしなければ、裁判には移行しません。

法律上認められないような主張で内容証明を送りつけるような事例も存在します。相手を脅して有利な示談を引き出そうとする場合などです。

こういった場合は、たとえ裁判を起こしても主張が認められる可能性は低いですから、請求を拒否したとしても裁判に移行しないことがあります。

 

(2) 裁判の大まかな流れ

裁判の流れは、概ね今回の話のとおりです。

訴状が送られてきて、それに答弁書という形で反論する。その後は準備書面というものをお互い提出しあって反論、再反論・・・と続いていき、お互いの主張が尽きたら、関係者の尋問を行って判決が出る、というのが一般的です。

これに不服があれば高等裁判所に控訴、さらに最高裁判所に上告ができます。

 

(3) 和解という選択肢も

判決が出るまでの間、裁判所から和解を提案されることがあります。

ここでの和解には、訴訟の対象になっていないものも含めることもできます。

例えば、貸したお金を返せという訴訟で、確かにお金は借りたけれど、頻繁に家まで取立てに来るので困っている、というような事情があるとき、「借りたお金は分割して支払うけど、もう被告の家には立ち入らない」という内容の和解することもできるのです。

そのため、紛争が複雑になっているときは、判決よりも和解の方が優れている場合があります。和解狙いの訴訟も存在するくらいですから、和解も視野に入れて訴訟対応をしていくことも有用でしょう。

なお「和解」という言葉から、和解をすることは相手方を「許す」ことのようなニュアンスを含むと考える方もいらっしゃいますが、そういうことではありません裁判での「和解」は、法律上の権利について「お互い譲歩する」くらいの意味しかないのです。そのため、こちらが少しの譲歩で、相手方が大幅に譲歩する場合でも「和解」です。

言葉のニュアンスだけにとらわれず、法的な手段を使って何が一番自分の利益になるかを追求することが、最も良い紛争解決につながるといえます。

 

(4) 判決は、無視すべきではない

民事裁判の判決は、無視しても逮捕されたりすることはありません。タコ部屋に入れられて強制労働をさせられる、などというような制度もありません。

ただ、財産の差押え等がなされることはあり、これによって生活の基盤を失う場合もあるので、決して無視して良いというものでないことは注意してください。

なお、刑事裁判での罰金刑の判決を無視すると、刑務所で作業をさせられることがあります。これを「労役場留置」といいます。

民事裁判刑事裁判では大きく違うので、この点は気を付けましょう。

 

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AUTHORこの記事を書いた人

弁護士 渡辺泰央

弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。

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