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サイトのパクりで逮捕されるケースとは|起訴から判決までの流れについて

今回のトラブルで、もう一つ不安なことがあるんですが・・。
著作権侵害って、逮捕もあるんですよね?
相手が告訴とかしてきたら、警察が来ちゃうんですか?

可能性はもちろんはゼロではないですが・・。軽微な事案なら警察は動かない方が多いのが実情です。
なので必要以上に気に病む必要はないと思いますよ。

そうですか、少し安心しました。

でも、そしたら逮捕されるような事案って、どういうものですか?

例えば、ファイル共有ソフトを使って大量の作品アップロードしたり、海賊版DVD作って販売するような場合でしょうか。

そういうの、たまにニュースで見ますね。

ああいう悪質な事件でない限り、裁判にかけられて実刑となることはなかなか考えづらいですね。

でも、万が一警察が来たらどうなるんですか?

まずは逮捕されて取り調べを受けたり、自宅を捜索されてパソコンなどを押収されたりします。
それで、事件の全体をみて、「検察官」という職業の人が最終的に起訴するかどうかを決めます。

裁判にならないこともあるんですか?

はい。ちゃんと反省しているとか、被害者に弁償しているとか、そういうのを全部みて判断します。
起訴されないと前科が付きませんから、この段階で付いている弁護人は不起訴を目指すことが普通でしょうね。

なるほど。

検察官が起訴すると、刑事裁判が開かれます。
ここで無罪を主張したり、情状酌量を求めたりして、最終的に判決が出されるんですね。

死刑とか?

著作権侵害に死刑ありません

一番重くて懲役刑です。

刑務所に入るやつですね。

はい。でも、執行猶予が付くこともありますから、絶対に刑務所に入ることになる訳ではないですよ。
あとは、著作権侵害の場合、罰金刑もあります。罰金刑の場合、略式命令といって、簡単な手続で裁判が終わることもあります。

いろんなパターンがあるんですすね。

刑事裁判の流れは大体こんな感じです。

全部覚える必要はないと思いますが、著作権関係の仕事をするなら、なんとなくでもイメージを持っておいた方がいいと思いますよ。

【解説】

(1) 逮捕される場合とは?

厳密に法律を適用すれば、友達の頭をポコンと叩くような行為も「暴行罪」に該当します。
しかし、このような行為によって逮捕されたり懲役になったりすることはほとんどありません。

これと同じで、著作権侵害もすべてが逮捕や刑事裁判の対象になるわけではないようです。

逮捕されたりするような事案は、権利者に大きな経済的打撃を与えるようなものや、社会的にインパクトを与えるような事件がほとんどです。(もっとも、逮捕等の可能性はゼロではありませんし、民事の損害賠償等の対象になりますので、著作権侵害を行って良いということではありません。)

 

(2) 「捜査」から「起訴」まで

刑事裁判に向けて警察などが動く場合、まず行われるのが「捜査」です。

これは、関係者を取り調べたり、家宅捜索(いわゆるガサ入れ)を行ったりして裁判のための証拠を集めるものです。
逮捕もこの「捜査」の一つとして行われます。

このようにして証拠が集められたら、起訴するかどうか(刑事裁判を起こすかどうか)を検察官が判断します。

犯罪事実があったとしても、起訴しない(不起訴)とすることもあります。
不起訴になれば前科は付きませんし、逮捕されている場合はそこで釈放となりますから、起訴前は弁護人と協力して不起訴を目指すことが一般的です。

 

(3) 「起訴」から「判決」まで

起訴されてしまうと、刑事裁判が開かれ、そこで被告人は無罪情状酌量を求めることになるでしょう。

その後、最終的に判決が言い渡されます。
ここでの判決に不服がある場合は、民事裁判と同じように、高等裁判所へ控訴、さらに最高裁判所へ上告ができます。

なお、著作権侵害の罪には罰金刑があり、100万円以下の罰金の場合は略式命令という簡単な手続がとられることがあります。
ただ、簡単な手続であっても罰金刑を受けると前科付きますまた、この手続では裁判で無罪の主張等ができません。

この略式命令は拒否することもでき、その場合は通常の裁判が開かれますから、どのような裁判手続を選ぶかは慎重に判断すべきでしょう。

 

(4) 捜査の対象になったら、すぐに弁護士を

捜査の対象となった場合、民事事件以上に弁護士の協力が必要です。

逮捕されたときの自由な接見は弁護人でなければできませんし、弁護人がいないという不利益は民事裁判と比べ物にならないほど大きいものです。

逮捕された場合でなくとも、自宅の捜索がなされた場合など捜査の対象となった場合は、速やかに弁護士に相談されることが必要です。

 

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ABOUT US

弁護士 渡辺泰央
弁護士 渡辺泰央
弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。