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本の内容を参考にしてWEBサイトの記事を書いてもいいの?

記事のネタはだいたい決まりました。

後は書くだけなんですけど、調べることも多くて。

適当なことを書いちゃうのは避けたいですよね。サイトって形に残りますから。

そうなんです。だから、ある程度はちゃんと調べなきゃと思って。解説本とかも参考にしているんですけど・・・

いま本の内容をどこまで記事に移していいか悩んでいて。

ああ、確かにそこは著作権的に迷いそうなところかも知れません。

困ってるのは、本を参考にして何かを説明しようとすると、同じような文章になっちゃうんです。

そういうことってありますよね。

でも、その辺は緩めに考えてもいいかも知れませんよ。

そうなんですか? どういうことですか?

書く内容によっては順序とか中身がある程度決まってくることってあるじゃないですか。
例えば、世界史の解説だと、猿人・原人の話→石器の話→四大文明みたいな感じで。
こういう、誰が書いても同じような説明になるときは、ある程度文章が似ていても、著作権侵害にならないことになっているんです。

そうなんだ!!

もちろん、特徴的なものを真似したり、デッドコピーしたりしたら著作権侵害になり得ますけど。
普通の文で書かれているものだったらある程度気楽に考えて、記事を書いていいと思いますよ。

あー、それなら良かったです。

同じような理由で、言葉の定義」にも著作権が認められないことがほとんどです。

言葉の定義というと「●●とは××である。」みたいなやつですか?

そうです。言葉の説明って、それこそ誰が書いても同じになるじゃないですか。

なので、普通の定義であれば、デッドコピーでも許される場合が多いでしょうね。

おおー。今日はいいことを聞けました。

いつもいいことを言っているつもりなんですが。

【解説】

(1) 解説本などに表れる「不可避的表現」

不可避的表現」に著作権が認められないことは前に少し触れました。
これが実際の場面でどのように問題になるか、ということが今回の会話の内容です。

例えば、何かトピックについて解説するとき、誰がやっても同じような表現になることがあります。分かりやすくシンプルな解説を突き詰めると、その特徴はなおさら強く表れます。

このような解説文に広く著作権を認めてしまうと、他の人がそのトピックを解説できなくなってしまいます。
無理に他と被らない表現をすれば、かえって分かりづらくなってしまうかも知れません。

このような理由から、誰がやっても同じような表現になるような場合には、著作権侵害が認められる範囲は狭くなっています。

 

(2) 定義にも著作権は認められづらい

これと同じような理由から、言葉の「定義」にも著作権が認められることは少ないです。

学問の分野によっては、定義自体に考え方の違いがあることがあります。
憲法9条の「戦力」などは典型的な例です。
このような場面では、言葉の定義を考えるにあたっても相当な労力がかかることがあります。

しかし、このような場合であっても、言葉の定義に著作権が認められる場合は多くありません
考え方の違いはまさにアイデア」そのものです。そのため、これを普通の言葉で表現したものに著作権を認めてしまうと、アイデア」自体を著作権で保護することになってしまうからです。

 

(3) 国語辞典1冊のコピーはアウト

なお、言葉の定義を集めたものとして国語辞典がありますが、これを一冊コピーするような行為は著作権侵害にあたります
一つ一つの定義に著作権が認められることは少ないですが、辞書全体は別途「編集著作物」として保護されるからです。

 

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弁護士 渡辺泰央
弁護士 渡辺泰央
弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。