ドラマやアニメのセリフに著作権はある?|サイトで使ってもいい?
ドラマとかアニメとかに、名ゼリフってあるじゃないですか。ああいうのは、著作権的にどうなるんですか?
名ゼリフも、サイト記事の文章に使ったら面白いと思うんですよ。
うーん。
セリフにもいろいろあると思いますが、短いものならやっぱり著作権が認められないことが多いと思います。
有名なセリフでもですか?
はい。セリフが有名かどうかと、著作権が認められるかどうかは関係ありません。
例えば、「倍返しだ!」みたいなセリフには、著作権は認められないでしょうね。著作権が認められるかどうかは、あくまで「作者の個性」が表れているかどうかですから。
そうなんですか。でも、銀行員に「倍返しだ!」っていう言葉を言わせるのって、多分作者の人がいろいろ考えてそうなったんだと思うんですよ。それって、「作者の個性」が表れているっていえないんですか?
でも銀行員に「倍返しだ!」って言わせること自体は、「アイデア」に過ぎないんじゃないですか?
そう・・ですかね?
こういうのも、前回の歌詞の話と同じで、切り取った部分だけで判断する、と考えた方がスッキリすると思います。
・・・どういうことですか?
例えば、スーツ姿、七三分けの銀行員が、迫真の表情で「倍返しだ!」と言うところの顔のアップの映像を動画で撮りました。そういう動画のワンシーンには著作権は認められると思います。
ドラマのシーンそのまんまですね。
でも、切り取った部分は「倍返しだ!」という文章だけ。それで、切り取った部分だけ見ると、「倍返し」なんてありふれた単語じゃないですか。
そういわれればそうですけど。
でも、「倍返しだ!」というセリフが有名だから、その文章を見た人はさっきのドラマのワンシーンを思い起こします。だから、切り取ったセリフがありふれたものであっても、著作権的に問題なんじゃないか心配になると思うんですよ。
うーん・・そうですね。
ドラマのワンシーンという「動画」をコピーすれば著作権侵害に当たるかもしれません。
でも、「倍返しだ!」という文章を抜き出しただけの人は、そういう動画をコピーした訳じゃないですからね。
なるほど。確かに前に聞いた歌詞の話と似ていますね。
はい。なので、名ゼリフとかを参考にする場合でも、著作権の基本にしたがって考えれば大丈夫です。
【解説】
(1) セリフが有名かどうかは無関係
ドラマやアニメの台本には、全体として著作権が認められます。
しかし、そのうちの一部分だけを切り取ったとき、それが著作権侵害になるかはまた別の問題です。
切り取ったものが有名なセリフであっても同じです。
そして、名ゼリフが短い文章である場合は、「ありふれた表現」として著作権が認められないことが多いです。
今回の話にあった、「倍返しだ!」などはその典型例です。
このような名ゼリフに著作権が認められない理由も、「ごくありふれた表現」に著作権が認められない理由から説明がつきます。
つまり、有名になったセリフであるからといって、ありふれた表現にも著作権を認めてしまうと、それ以降はその表現を自由に使えなくなってしまいます。
そうすると、日常生活や後発の創作に支障を生じてしまうのです。
(2) セリフのシーンとは分けて考える
名ゼリフの利用に不安が生じるのは、その文章を見たとき、名ゼリフのシーンが思い起こされるためでしょう。
しかし、名ゼリフの「文章」をコピーしたということと、そのシーンの「映像」をコピーすることは全く別の話です。
そのシーンの「映像」には著作権が認められるかも知れませんが、名ゼリフの「文章」自体が「ありふれた表現」であれば、いくらそのシーンが思い起こされようと、著作権侵害の問題は生じないのです。
そのため、セリフを利用する場合であっても、著作権の基本的な考え方にしたがって検討すれば問題ありません。
(3) 他に気を付けることは?
著作権侵害が心配であれば、「引用」などを利用することが考えられます。
名ゼリフは考えさせられるものも多いので、批評等のために「引用」されることも一般的に行われています。
なお、著作権的には問題なくても、名ゼリフが「商標化」している場合には注意が必要です。
実際、「倍返し」というフレーズも商標として登録されているようです。
そのため、名ゼリフを商品の名前にしたり、サービスの名称にする場合には、この点についても気を付ける必要があります。
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