コラム

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サイトに建物の画像は使ってもいい?建物と著作権の関係性について

そういえばこの前、旅行に行ったんですよ。

そこのランドマークがすごく素敵で、写真をたくさん撮ってきました。

きれいな建物とか、おもしろい建物っていいですよね。著作権が認められる建物もあるくらいですから。

え、そうなんですか? じゃあ私が撮った建物も?

のっぺりしたビルとかじゃなければ、可能性はあるでしょうね。

え、その特徴的な建物の画像、サイトに載せてしまいました。消さないとマズイですか、やっぱり?

あ、そこまではしなくてもいいんじゃないですか。

実は、建物に関しては、著作権が認められても、原則として自由に利用することができるんです。

え、そうなんですか? 意外ですね。

まあ、そうでもしないと大変ですからね。

屋外撮影で、写り込む建物を全部チェックしなきゃいけないとか、やってられませんから。

そういわれてみれば確かに。

なので、建物に関しては、著作権の効果は限られているんです。もちろん、同じデザインの建物を建てたりしてしまうとアウトですが。
あと、公園とかに飾られている彫刻とか、ああいうのも基本的に利用してOKということになっています。

そうなんですか。じゃあそういうのが写真に写り込んでもあんまり気にしなくていいんですね。

はい。ただ、一応注意する場面もあります。例えば屋外にある彫刻などを撮った写真を売ったりしたらダメですし、撮影禁止とされているものを撮影したりすれば、場合によっては建造物等侵入とかいわれることもあります。その辺は、モラルの問題でもありますから、常識的な範囲内で行動してくださいね。

【解説】

(1) 建物って、著作権は関係あるの?

建物にも、それをデザインした人の個性が認められる限り著作権が認められます

そのため、著作権のある建物と同じデザインの建物を建てたりしてしまうと、著作権侵害にあたります。

 

(2) 屋外の著作物を利用できる場合は多い

もっとも、建物など屋外にある作品は、著作権が大幅に制限されています。
屋外という公共の場ですから、広く著作権侵害を認めてしまうと人々の生活に大きな支障を与えるためです。

法律の規定上、次にあげるもの以外であれば、屋外にある作品は自由に利用して良いとされています(著作権法46条)。

⑴ 彫刻を増製し、又はその増製物の譲渡により公衆に提供する場合
⑵ 建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合
⑶ 前条第2項に規定する屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合
⑷ 専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合

この中でも重要なものはです。
これは、屋外に飾られている彫刻などの美術作品については、販売目的ミニチュアを作ったり写真を撮ったりすることができないとするものです。

この規定の反対解釈として、建物については販売目的でミニチュアを作ったりしても問題ありません美術の著作物ではないからです。

なので、例えば「東京スカイツリー」をあらゆる角度から撮影し、それを販売しても著作権侵害の問題は生じないと考えられます。

ただし、商標法不正競争防止法などの関係で、「東京スカイツリー」や東武グループ名称を使用することは、別途許可が必要になります。

 

(3) 「撮影禁止」には注意

建物の撮影に著作権の問題は原則として生じませんが、場所によっては撮影が禁止されているものもあります。
そして、「撮影が禁止されているにもかかわらず撮影目的で敷地内に入った」という場合には、建造物等侵入罪に問われる可能性もあります。

写真の撮影の際には、著作権以外でもトラブルになることはありますので、モラルを守って行うようにしましょう。

 

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AUTHORこの記事を書いた人

弁護士 渡辺泰央

弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。

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