匿名の投稿はなぜバレる?投稿者が特定される仕組みについて解説!
ネット誹謗中傷問題が社会的に注目を集めるようになり、犯人が特定され書類送検されたとか、損害賠償が認められた、という報道を目にすることも増えてきました。
そこで今回は、匿名の投稿でも投稿者が特定される仕組みについて解説したいと思います。
そもそも匿名の投稿はバレるのか?
匿名の投稿でも、投稿者が特定されることはあります。
正確にいえば、問題のある投稿については、法律の手続を使って、それが誰よって行われたものかを調査することが可能です。
そのため、「実名で投稿していないからバレないだろう」と考えるのは誤りです。
また、「投稿に使ったアカウントには自分の個人情報を登録していないから大丈夫」というのも誤りです。
ではなぜ匿名の投稿でも特定されてしまうのか、その仕組みについて解説していきたいと思います。
押さえておくべきインターネットの2つの特徴
匿名でも投稿者特定ができる仕組みを理解するためには、まずはインターネットの2つの特徴を理解する必要があります。
- ユーザーのIPアドレスはアクセス先のサイトに伝わっていること
- プロバイダを利用してインターネット通信を行っていること
順番に解説していきたいと思います。
① ユーザーのIPアドレスはアクセス先のサイトに伝わっていること
インターネットでYouTubeの動画を観るというケースを例にとって説明したいと思います。
まず、YouTubeの動画のデータは、YouTubeの方で管理しているサーバに保管されています。
私たちがYouTubeの動画を観たいと思ったら、YouTube側に「この動画が観たいです」とリクエストを送ることになります。
このリクエストに応じて動画のデータが送られるわけですが、データの送り先がわからないとYouTube側はどこにデータを送ってよいかわかりません。
そのため、私たちはYouTube側にデータの送り先、つまり住所を伝えているのです。
ここでいう住所が「IPアドレス」と呼ばれるものになります。
このように、インターネットでは、基本的にこちら側のIPアドレスはアクセス先のサイトに伝わっています。
② プロバイダを利用してインターネット通信を行っていること
「IPアドレス」はインターネット上の住所のようなものとお伝えしました。
ただ、インターネット上の住所は、現実の住所のように一人ひとり直接割り当てられているわけではありません。
ではどのような仕組みになっているかというと、私たちは住所をプロバイダから借りてインターネットをしているイメージです。
プロバイダはインターネットに使うための宅配ボックスをたくさん用意しており、私たちはそれを利用し、その宅配ボックスを自分の住所としてインターネットをしていると考えても良いかもしれません。
そのため、アクセス先のサイトに伝わっているIPアドレスというのは、私たちが契約しているプロバイダの住所と、その宅配ボックスの番号であるとイメージするとわかりやすいと思います。
プロバイダがOCNであれば、アクセス先のサイトに伝わっているIPアドレスは、OCNの住所とその中の宅配ボックスの番号ということになります。
このように、私たちは基本的にプロバイダを利用してインターネット通信を行っているということになります。
弁護士はどのようにして投稿者を調査するのか
このようなインターネットの2つの特徴を利用して、投稿者を調査します。
まず、問題のある投稿が掲載されているサイトに、「この投稿を行ったユーザーのIPアドレスを開示してほしい」と伝えます。
開示してもらうには裁判が必要なこともありますが、いずれにせよ、サイトからIPアドレスを開示してもらうと、投稿者が契約しているプロバイダと、その宅配ボックスの番号がわかります。
そうしたら、今度はプロバイダに対して「この番号の宅配ボックスを利用した人の名前と住所を開示してほしい」と伝えます。
(プロバイダとの契約には名前や住所が必要ですから、プロバイダはこれらの情報を保有しています。)
これらの情報を開示してもらうためにはやはり裁判が必要になることがほとんどですが、これによって、投稿者の氏名や住所を特定することができるのです。
まとめ
このような仕組みで、匿名の投稿者を特定することが一般的です。(この他にも投稿者特定の方法はあります)
実名で投稿したから特定されないとか、アカウントに氏名や住所を登録していないから特定されないという考え方は誤りであることがご理解いただけたと思います。
当事務所では、匿名の投稿者特定に豊富な実績があります。
また、開示請求を受けている方の非開示に向けた活動や示談交渉についても対応しております。
インターネットの投稿についてご相談がある方は、ぜひ一度当事務所にお問い合わせください。