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著作権侵害で開示請求を受けた時は拒否できる?理由の書き方を解説

「侵害された権利」の欄に「著作権」と書かれた意見照会を受け取ったとき、拒否(不同意)の理由の書き方がわからないという方がいらっしゃると思います。

この記事では、著作権侵害を理由とした発信者情報開示請求を受けた場合のよくある反論とその書き方について解説しています。(すべての反論について解説しているわけではありません)

 

著作物性がないこと

著作物性とは、その表現が著作権の保護を受けることを意味します。

著作物性のないものは、転載したりしても著作権侵害にはなりません。

そのため、転載した表現に著作物性がないことは開示請求に対する反論になり得ます。

 

ただし、イラスト、動画、写真、音楽などはほとんど著作権の保護を受ける(著作物性がある)といえます。

そのため、これらの転載のケースではこの反論は難しいでしょう。

 

一方、文章については著作権の保護を受けるものと受けないものがあり、この反論が有効となるケースがあります。

特に、短い文章で、かつ独創性(オリジナリティ)が強くないものは、著作権の保護を受けないと考えられる傾向があります。

そのため、「文章」について著作権侵害を主張されている場合は、反論として著作物性がないことを主張できる可能性があります。

 

記載例

「○○」という表現について著作権侵害を主張されていますが、「○○」は短文であり独創性が高いともいえません。そのため、著作物性が認められないと考えます。

 

「引用」にあたること

著作物性があるものを転載したとしても、それが「引用」にあたる場合は、著作権侵害は成立しません。

どのような場合に引用にあたるかは難しい議論がありますが、反論する際には次の①~④すべてを記載する必要があるでしょう。

 

引用を主張するときに書くべき項目

① 明瞭区別性
どこからどこまでが他から引っ張ってきたものかハッキリわかるようにするということです。引用符( “” )をつけたり、枠で囲んだりすることです。

② 主従関係
自分の作った部分がメイン(主)で、転載の部分がサブ(従)の関係にあることをいいます。

③ 引用の目的上正当な範囲内
引用の必要性と、その必要性との関係で適切な範囲を転載したかということです。

④ 出所の明示
出典元を明記することです。

 

引用を主張する場合の記載例については、次のようになります。

 

記載例

今回私が行った転載は、次のとおり「引用」として許されると考えます。

本件では、転載部分は引用符で区別していますし(①明瞭区別性)、分量としても、私の創作したコンテンツが記事の大部分を占めており、転載部分はわずかです(②主従関係)。

また、転載の目的は、その表現の内容を批評する目的ですが、転載した部分はその目的のため必要な範囲内といえます(③引用の目的上正当な範囲内)。

さらに、URLを記載する形で出典元は明記しています(④出所の明示)。

 


著作権侵害のケースでのよくある拒否理由の書き方の説明は以上のとおりですが、もちろん具体的な記載はケースによって違いますし、実際に文章にするのが難しい場合もあると思います。

意見照会書への回答について相談されたい方は、当事務所にぜひ一度お問い合わせください

 

 

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発信者情報開示請求について、発信者側の解説記事についてはこちらをご覧ください。

 

ABOUT US

弁護士 渡辺泰央
弁護士 渡辺泰央
弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。