【10代のためのネット法律相談】こどもをスマホトラブルから守るために、周りの大人ができること

最近では、「こどもがスマホのトラブルに巻き込まれた」という事件が報道されることは珍しくありません。

こういった世の中ですから、こどもにスマホを使わせることを心配する方もいらっしゃると思います。

 

しかし一方で、スマホやネットが教育にも活用されるようになり、こどもがスマホを使うことも当たり前になってきました。

 

そのため、こどもをスマホに一切触れさせない、ということも現実的ではないと思います。

 

そこで、弁護士の立場から、こどもをスマホトラブルから守るために、周りの大人ができることをお伝えしたいと思います。

 

1.スマホを使う上でのルールを、事前に決める


こどもにスマホを与えるにあたって、何の制限もなく使わせると、トラブルに巻き込まれる可能性は高くなります。

 

ただ、行き当たりばったりに制限しようとすると、当然、反発が予想されます。

また、制限されるのを避けようとして、大人に隠れてスマホを使うようになるかもしれません。

 

そこで、スマホを与える「前」に、スマホを使う際のルールを決めておきましょう。
(すでにスマホを与えている方でも、今の状況を確認し、必要であればルールをつくってもいいでしょう)

決めるべきことは、例えば次のものが考えられます。

 

1 スマホを使っていい時間帯
2 1の時間帯のうちでも、スマホを使ってはいけないとき(食事中や勉強中など)
3 課金のルール
4 やってはいけないこと
5 困ったことがあったら大人に相談すること(相談されたら怒らないことは約束してあげましょう
6 何かあったときはスマホの中身を大人が確認できるようにすること

 

条件を決める際のポイントとしては、必ず「ルールを作るプロセスに、こどもも参加させる」ということです。

大人が一方的にルールを突きつけても、こどもが納得しなければ、ルールを守らない可能性があるからです。

こどもを納得させるためには、選択肢を与えるなどして一緒に話し合い、こどもが自分で選んだと感じられるようなルールを作ることが大切です。

 

2.アプリにどんな危険があるか、大人が先に理解しておく


スマホアプリは新しいものがどんどんリリースされており、大人はそのスピードについていけないことがほとんどです。

しかし、こどもはどんどん新しいアプリを取り入れます。

大人が思いもよらない使い方をしていることも珍しくありません。

 

それでも、こどもがよく使っているアプリには、どのような危険があるか、というのは、大人が先に把握しておきましょう。

 

アプリを使うときは、その楽しい面にばかり目が行くのが普通です。

そのため、どんな危険が想定されるか、という視点を、大人の方で常に持っておく必要があります。

 

大人が「最近のアプリはよくわかんないから」とか「こどもの方が詳しいから」と言って面倒くさがることは、こどもを危険にさらすことです。

そのため、少なくとも、こどもがよく使っているアプリ(今でいえば、LINE、Instagram、Tik Tokなど)くらいには興味を持ち、そのリスクなどを確認しましょう。

 

3.クレジットカードの管理を徹底する


スマホのアプリには有料のものも多くあり、その決済方法としては、クレジットカードの利用が一般的です。

そして、スマホの金銭トラブルで一番多いのが、このクレジットカードの利用です。

こどもが大人のクレジットカードを使って何万円も課金してしまった、というケースは非常に多くあります。

 

こどもが大人のクレジットカードを使ってしまう例として、「勝手に財布から抜き取って使う」ということはすぐに考え付くと思います。

 

しかし、この想定だけでは十分ではありません。

 

注意すべきなのは、こどもが使うスマホ端末やアカウントに、大人のクレジットカード情報が残ることがあるということです。

例えば、「300円分だけ!」とこどもにせがまれて、そのくらいならいいかと思ってクレジットカードを使わせてあげたとします。

このときに、クレジットカードの情報が残ってしまうことがあるのです。

そのため、こどもが使うスマホ端末やアカウントでクレジットカードを使ったときは、その情報を削除するなど、後から使えないようにしてはじめて「管理を徹底した」といえます。

 

なお、よくある法律相談として、「こどもが勝手に使ったんだから、返金してもらえないか」というものがあります。

返金の可能性はありますが、はっきり言って簡単ではありません。

裁判が必要になるケースも多いです。

また、裁判では、使われたクレジットカードがどう管理されていたか、という点も重視されます。

 

そのため、やはりクレジットカードの管理を徹底することは、非常に大切なことといえます。

 

4.スマホについて相談しやすい環境を作っておく


スマホのトラブルは、時間が経つとどんどん解決が難しくなっていきます。

しかし、トラブルの詳しい状況は、外からは見えないものです。

 

つまり、本人から聞かない限り、詳細はわからないのです。

 

そのため、スマホを与えるときに、「スマホで困ったときには、すぐに相談してほしい」ということを伝えましょう。

 

そして、このときは必ず「相談されても絶対に怒らない」「困ったら大人も一緒に考る」という約束をしてあげましょう。

 

5.こどもが相談してきたら、否定せず最後まで話を聞く


もしスマホについてこどもから相談されたら、絶対に怒ったり否定したりせず、最後まで話を聞きましょう。

 

こどもが大人に相談するときは、よほどの勇気が必要です。

このときに大人が怒ったり否定したりすると、こどもが委縮してしまい、それ以上話せなくなってしまいます。

そして、こどもが話さなくなると、大人が助けてあげる機会を失い、どんどん悪い方に進んでいく悪循環が生まれてしまいます。

 

また、こどもが最初に伝えてきた内容がトラブルのすべてではない可能性もあります。

怒られる可能性の低いトラブルから小出しに申告することも、十分考えられるのです。

 

そういう意味で、こどもの相談については最後まで話を聞くというのが絶対に必要です。

そして、話を聞き終わったら、その場で怒るのではなく、まずはトラブル解決の方法を一緒に考えてあげましょう。

 

なお、こどもからスマホの困りごとについて、わーっと相談されると、大人も不安になったりするものです。

しかし、大人がこの不安に任せて怒ったり感情的になることは、トラブル解決にはマイナスでしかありません。

大人の方も、このことを自覚しましょう。

つまり、「こどもから相談されたときは自分も不安になるけれども、感情的にはならないようにしよう」という心構えをしておくというのが必要です。
(とはいえ、大人も動揺することもあるので、感情的になりそうなときは、「大事なことだから少し考えるね」と言って、いったん離れてクールダウンの時間を作るのもいいでしょう)

 

6.定期的に、ルールを守れているかを振り返る


定期的に(慣れるまでは週1回、少なくとも月1回)、こどもがスマホのルールを守れているかどうか一緒に振り返りましょう。

 

このとき、注意しなければいけないことは、必ず「守れている部分を褒める」ということです。

 

守れていないことに目が向きがちですが、注意ばかりしてしまうと、ルールを守ろうという気持ちが萎えてしまいます。

そのため、まずは「トラブルなくスマホを使えて偉いね」「このルールはちゃんと守れているね」ということを伝えましょう。

 

そういう意味で、「ルールはこどもを褒めるためのもの」と認識しましょう。

 

なお、守れていないルールがあるときは、そのルール設定自体に問題があるか、こどもに対処しきれない理由があることがほとんどです。

こういうときは、ルールをより具体的にするとか、もう少しハードルを下げてあげるなどの対応が必要です。

 

例えば「22時以降はスマホを使わない」というルールを、こどもがどうしても守れないとします。

その場合、なぜ守れないのか聞いてみましょう。

そして、守れない理由が、「ゲームの対戦が終わらない」だとしたら、1対戦あたり何分くらいかかるのかを確認し、例えば30分くらいだとしたら「21時30分以降は新たに対戦を始めない」というルールに組み替えるとうまくいくかもしれません。

 

このようにしていけば、こどもはルールを守るにはどうするればいいか、よりわかりやすくなります。

また、こどもがルールを守ることができるようになれば、大人も褒める機会をより増やすことができます。

さらに、こどもを褒める機会が増えれば、振り返りの時間が楽しいものになり、こどもの状況を把握しやすくなりますし、こどももスマホついて大人に相談しやすくなります。

(ただ、はじめからうまくいくことは少ないので、辛抱強く試して、自分たちに合ったスタイルを探してみてください。)

 

7.おわりに


スマホやネットの環境は変わっていくもので、こどもに対する危険もどんどん変化していきます。

周りの大人ができることは、こどもに適切な使い方を教え、また、トラブルに巻き込まれたときは助けてあげることです。

 

私たち大人も、スマホやネットの知識をときどきアップデートし、こどもをスマホトラブルから守れるようにしておきましょう。

渡辺 泰央

渡辺 泰央

上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録(第二東京弁護士会)。 ウェブサービス、スマートフォンアプリをはじめとするIT関連、デジタルコンテンツ関連案件の訴訟、紛争や意見書作成、契約書作成、著作権侵害性リサーチなどを得意とする。