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サイト上での画像の盗用・・・ 対策法は?

ネット上での画像盗用はかなり前から問題となっていました。

しかし近年でもキュレーションメディアまとめサイトなどの広がりに伴い、深刻な問題として再認識されているようです。

最近でもこんなニュースがありました。

まとめサイトの盗用、ある“浴衣画像”が「収拾つかない」事態に
(2016年12月7日 株式会社朝日新聞社「withnews」HPより)

そこで今回は、そんな”古くて新しい”画像盗用問題と(法的な)対策法について説明してみます。

 

画像の盗用は、当然に”著作権侵害”

ネット上の画像をコピーし、他のサーバーにアップロードしてサイト上で公開することは著作権侵害となります。

著作権法においては、「著作権の保護を受けるものかどうか」という議論がありますが、画像の盗用に関してはこれを考える必要ないでしょう。画像は文章などに比べ、”著作権の保護を受ける”と判断されるハードルは低いからです。

”よく似た別の画像を作っている”とか、”うちのサイトにある画像を参考にされた”とかのケースであれば話は別ですが、丸パクリや一部トリミングして使用されたなど(いわゆる「盗用」)のケースでは、ほとんどの場合で著作権侵害があるといえるでしょう。

 

画像が盗用されたときにできること

画像が盗用された、つまり著作権が侵害された場合は、加害者に対して差止(削除)請求損害賠償請求ができます。

差止(削除)請求は、その画像を掲載しているサーバの管理者に対しても行うことができます。

なお、加害者が誰か分からないときでも、発信者情報開示の制度を使うことで、加害者を特定できる場合があります。

 

著作権を持っていることの証明方法は?

差止(削除)のケースでも損害賠償のケースでも、自身が著作権を持っていることを証明しなければならないことがあります。

これについては、元データを持っていることを示すなどの必要がありますが、これでは誰の目からも”著作権を持っている”ことが明らかとはいえませんから、場合によっては無意味な争いが生じる可能性もあります。

この点をクリアするもっとも簡単な方法は、画像に「著作権表示」をして公開することです。こうすることで、”著作権を持っている”ことが明確になりますし、法律上も権利を持っていると推定されることになります(14条)。

著作権表示の方式は「作者名として通常の方法により表示」されていればよく、それ以外の制限はありません。

そのため「Photo by ●●」とか「© ●●」などといった表示で問題ありません。

 

損害賠償を効果的に行う方法は?

著作権侵害の被害者は、加害者に対して損害賠償請求ができます。

ただ、何も対策をしていなければ、賠償額は微々たるものになったり、ときには全く賠償金が取れないというケースもあります。

これを防止するための最も良い方法は、画像の使用料をサイト上に明示しておくことです。

画像販売サイトでなくとも、例えば「当サイトに掲載された画像の使用量は、一律●●円です」などと表示することは可能です。

このように表示しておくと、盗用された際の損害賠償額についてこの金額を基準とすることができます。

なお、あまりに多額の金額を表示しておくと無効となる可能性もありますので、画像販売サイトの価格なども参考にしながら、妥当と思われる金額を表示しておきましょう。

 


画像盗用の問題は極めて深刻ですが、事前に対策しておくことで、法的にかなり有利な状況を作れますし、それが強い抑止力にもなります。

ただ、実際に加害者に請求するなどの場合は法的な手続が必要な場合もありますから、盗用でお困りの際は一度専門家に相談されることをお勧めします。

 

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弁護士 渡辺泰央
弁護士 渡辺泰央
弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。