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サイトをパクられたときの対処法⑤:匿名の犯人の特定方法とは?

損害賠償の額も決めました。後は手紙を送るだけです。

・・けど、相手の住所ってどうやって調べるんですか?

相手の住所、知らないんですか。

はい。ホームページには載ってませんねー。そういえば名前も知らないや。会社なんですかね、ここ。個人かも知れないし。

それはちょっと大変ですよ。

インターネットって匿名性があるので。

そういうときってどうすればいいんですか?

誰かに聞けないですか?

プロバイダは情報を持っていますけど、基本的に教えてくれません。

少しややこしい手続になるんですが、結論からいうと、仮処分裁判をしなければいけません。

裁判ですか?

はい。損害賠償をする前に、犯人を特定するための裁判をしなければなりません。

特定するために裁判?

誰を訴えるんですか?

プロバイダです。
さっき言ったとおり、情報を持っているのはプロバイダですが、普通は教えてくれません。
なので、それを教えてもらうために裁判をするんですよ。

じゃあ特定のための裁判と、著作権違反の裁判と、2回やらなきゃいけないってことですか?

そうなります。

あと、やるなら早くやらないと。

なんでそんなに急ぐんですか?

実は、プロバイダの側で情報の保存期間っていうのがあって、それを過ぎると犯人が特定できなくなることがあります。

ホントに? それは困ります・・。

でも、特定のための裁判もお金かかるんですよね。

特定のための費用の一部は犯人に対して請求できます。

弁護士費用認められることもありますから。

そうなんですか?

それならちょっと気楽に考えられそう。

やられっぱなしも癪ですからね。

保存期間の問題もあるので、少しでも気になるようであれば早めにアクションを起こした方がいいですよ。

【解説】

(1) 匿名をどう乗り越える?

インターネットの特徴の一つに、「匿名性」があります。

そのため、他人の権利を侵害するような表現(著作権侵害誹謗中傷など)があっても、これを行った者が誰か分からないという事態も少なくありません。

インターネット上の表現に関する情報は、ログという形でプロバイダに残ります。

このログをたどれば、最終的に表現をした者に行きつきます。
しかし、プライバシー等の問題があるため、普通プロバイダはその情報を教えてくれません。

そのため、匿名でなされた投稿の犯人を特定するためには、ほとんどの場合プロバイダに対して裁判を行わなければいけません。

これが出来てはじめて、犯人に損害賠償請求等ができることになります。

 

(2) 保存期間には注意

犯人を特定するためには、IPアドレスからプロバイダを割り出し、そのプロバイダに対して裁判を行うことになります。
しかし、IPアドレス通常は開示されませんので、情報を得るためには裁判所の力を借りることになります。

これは仮処分で達成できることがほとんどです。

もっとも、ログの情報はプロバイダが永久に保存している訳ではありません。
早いところでは3か月程度で消滅してしまうことがあり、これを過ぎると犯人が特定できないことがあります。
そのため、権利主張を行うのであれば早めに決断することが必要です。
(なお、この他にも技術的な問題で犯人特定まで至らないことがあります。)

 

(3) 調査費用を犯人に請求することもできる

なお、犯人特定のためにかかった費用は、犯人に対する損害賠償として認められることがあります。

全ての事例で全額認められるものではありませんが、かなりの部分認められることもありますので、この意味で、犯人特定のアクションを起こす際のハードルは低くなっているといえるでしょう。

 

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AUTHORこの記事を書いた人

弁護士 渡辺泰央

弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。

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