発信者情報開示請求で裁判になったときの対処法を弁護士が解説
意見照会が届き、すでにプロバイダを被告とした開示請求の裁判が起こされているとき、どのように対応すればよいかについて解説しています。
発信者情報開示請求における「裁判」とは
発信者情報開示請求は、①任意請求と②裁判という2の方法があります。
このうちの②裁判とは、次のようなものです。
開示請求者が原告となり、プロバイダを被告として情報開示の訴えを提起する方法
(※裁判のイメージ)
裁判を行うと、開示すべきかどうかを裁判所が判断します。
開示すべきという判決があれば、たとえ発信者が開示に同意していなくても、プロバイダは情報を開示します。
なお、プロバイダから意見照会が届いたということは、ログ保存期間経過によって開示を免れるというパターンには該当しないと考えて良いでしょう。
ログ保存期間について気になる方は、こちらの記事もご覧ください。
「裁判」における方針は3つ
裁判に至っていたときの開示請求の対応については、大まかに以下の3つ方針が考えられます。
- 不同意(拒否)の回答をご自身で行う
- 不同意(拒否)の回答を弁護士に依頼して回答を行う
- 開示に同意し、示談交渉に入る
※ 無視するという方針も考えられますが、これは「拒否(不同意)であって理由の記載がないもの」として扱うプロバイダがほとんどです。
「裁判」の場合、方針はどう決めればよいか
① 不同意(拒否)の回答をご自身で行うケース
次の項目が当てはまる方は、①の方針をとることになるでしょう。
- 投稿内容が違法でないとする根拠や証拠がある方
- ご自身で適切な回答を行う自信がある方
- プロバイダとのやりとりを負担に感じない方
- プロバイダの代理人の活動で十分と考える方
- 弁護士に依頼する費用を負担に感じる方
- 開示が認められるまでの時間を延ばしたい方
この方針をとるにあたっては、注意点もあります。
それは、非開示を目指すためにはあくまで法的に整理された反論を行わなければならないという点です。
こちら側の言い分や証拠を雑多に出しても、裁判所はこちらの意図を十分にくみ取ってはくれません。
また、プロバイダの代理人の活動は下の記事で解説していますが、やはり限界はあります。
そのため、非開示を目指すのであれば、ご自身で回答を行うことはあまりおすすめしません。
② 不同意(拒否)の回答を弁護士に依頼して行うケース
次の項目が当てはまる方は、②の方針をとることになるでしょう。
- 投稿内容が違法でないとする根拠や証拠がある方
- ご自身で適切な回答を行う自信がない方
- プロバイダとのやりとりを負担に感じる方
- 万が一開示されたとしても相手方との交渉をはじめから代理人に依頼したい方
非開示を目指すためには、こちらの方針をおすすめします。
また、万が一開示されても、基本的に相手方とのやりとりを引き続き代理人に任せることができるため、ご自身が直接やりとりをするストレスはありません。
③ 開示に同意し、直接の示談交渉に入るケース
次の項目が当てはまる方は、③の方針をとることになるでしょう。
- 開示がほぼ確実に見込まれる方
- 開示されるかどうか不確定な状況に強いストレスを感じる方
- 紛争をできる限り早く終わらせたい方
- 示談交渉を代理人に依頼したい方
この方針をとるときに注意しなければならないことは、一度開示してしまうと後戻りはできないということです。
また、相手とのやり取りは法律に基づく交渉になるため、この方針をとることを考えている場合でも、事前に一度弁護士に相談されることをお勧めします。
開示訴訟に至っていたときの対処法は以上のとおりですが、どの対応がベストかはやはり一人ひとり結論は違ってきます。
ご自身のケースについて相談されたい方は、弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士に依頼できることや費用の目安等についてはこちらをご覧ください。
発信者情報開示請求について、発信者側の解説記事についてはこちらをご覧ください。