ファイル共有ソフトを利用し、アニメや映画、ゲーム、アダルトビデオなどのコンテンツを無断でアップロード・ダウンロードすることは著作権侵害に問われる可能性があります。このような問題は2000年代初頭から注目されるようになりました。
トレント(torrent)などのファイル共有ソフトを悪用したとして、逮捕や書類送検されたという報道を目にしたことがある方も多いと思います。
そこでこの記事では、トレント(torrent)の使用で逮捕はされるのか、逮捕の基準や過去の逮捕や書類送検の事例についても解説します。
トレント(torrent)の使用について開示請求を受け、プロバイダから意見照会書を受け取ったという方が増えています。
当事務所では、示談交渉だけでなく、「非開示」に向けた弁護活動も行っております。
開示請求を受けている方は、ぜひ一度トレント(torrent)案件を多数行っている当弁護士事務所までご相談ください。
>>トレント(torrent)の違法性や使用者の個人特定の仕組みなどに関してはこちらで解説しています。
トレント(torrent)の使用が罪に問われるケース

トレント(torrent)の使用が罪に問われるケースは、著作権で保護されているコンテンツを違法に(著作権者に無断で)やり取りした場合が該当します。
著作権で保護されているコンテンツは、アニメや映画、音楽、テレビ番組、AV(アダルトビデオ)などがあげられます。
簡単にいえば、本来は料金を支払って楽しめるものを、トレント(torrent)を使用して無料で楽しむ行為が、犯罪として罪に問われる可能性があるということになります。。
トレント(torrent)使用における逮捕の基準
著作権侵害の行為があったとしても、必ず逮捕されるとは限りません。
逮捕の基準は、以下のようなものです。
犯人が特定されているかどうか
犯罪行為が行われていても、犯人が特定されていなければ逮捕を行うことができません。
トレント(torrent)には一定の匿名性がありますが、IPアドレス等からプロバイダの契約者を割り出すことで特定することは可能です。
そのため、警察の捜査によって犯人が特定されることがあります。
また、警察によらなくとも、著作権者が発信者情報開示請求という法的手続をとることにより犯人特定に至ることもあります。この場合、著作権者が警察に対して被害の申告と犯人の情報を提供をすることで、逮捕に至る可能性があります。
告訴が受理されているかどうか
著作権侵害の罪は、原則として「親告罪」つまり告訴されていなければ起訴できない犯罪です。
告訴とは、簡単にいえば被害者が警察に対して被害の申告と犯人の処罰を求める意思表示で、告訴状を提出する方法で行われることが一般的です。
告訴がなければ逮捕などの可能性は低いものの、一方で告訴状が提出され、それが警察によって受理された場合、それは犯罪として捜査が行われることを意味しますので、犯人の逮捕に至る可能性も高いといえます。
(なお、2018年から著作権侵害の罪は一部「非親告罪化」されましたが、一般的なトレント(torrent)案件に関しては影響は小さいといえます。)
逃亡や証拠隠滅の可能性があるかどうか
逮捕それ自体は、罪を犯した者に対する罰ではありません。
逮捕の目的は、犯人が逃亡したり、犯罪の証拠隠滅を防止するために行われるものです。
そのため、一つの家に定住しており定職にも就いているとか、捜査に協力している場合には逮捕の可能性は低下するといえます。
逆に、住まいや職を転々としている人や、捜査に非協力的な態度をとっているような場合には、逮捕の可能性は高くなるといえます。
torrent(トレント)の逮捕者にはどんな処分が下されるのか?

トレント(torrent)の使用によって逮捕された場合は、最長で23日間の身柄拘束がされます。
その満了日までに取り調べなどの捜査を受け、検察官が起訴するか、不起訴とするのかの決定をします。
著作権法では、違法アップロードによる著作権侵害に対しては「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれらの両方」、違法ダウンロードによる著作権侵害に対しては「2年以下の懲役若しく200万円以下の罰金又はこれらの両方」が刑事罰として課されると規定されています。
仮に起訴された場合は、裁判によって刑の内容が確定します。
なお、検察官によって「略式起訴」がなされることがあります。これは、罪を認め、罰金を支払うことを認めることで、裁判を開かずに事件を終結させるものです。著作権侵害の事件については、実際にはこの略式起訴が選択されるケースが多いようです。
ただし、通常の起訴でも略式起訴でも罰金刑を受けることに変わりはありませんから、いわゆる「前科」がついてしまうことには注意が必要です。
過去の逮捕・書類送検の事例
トレント(torrent)の事例
アニメ動画やテレビ番組の無断配信で逮捕
2019年、「BitTorrent(ビットトレント)」を使用して「ワールドトリガー」などのアニメ番組やテレビ番組を無断配信したとして、当時29歳の男が逮捕されています。この事例では、アニメのほかにもやテレビ番組など計約170作品を公開しており、被害額は約18億円に上るとされています。
PCゲームやアニメ動画の無断配信で検挙
2021年、トレント(torrent)を使用してPCゲームやアニメ動画を違法にアップロードしたとして、3名が検挙されています。トレント(torrent)においてゲームをアップロードした者の検挙は、この事例が世界初だとのことです。
アニメ動画の無断配信で書類送検
2021年、「BitTorrent(ビットトレント)」を使用して「ガンダム」のアニメ映画を違法アップロードしたとして、男性3名が書類送検されています。3名はそれぞれ「コロナ禍の影響で劇場に行けず見てしまった」「普段からソフトを使用していた」「コロナ禍でお金がなくなり節約のためだった」などと供述していたといいます。

Share(シェア)の事例
「Share」も「トレント(torrent)」に並ぶメジャーなファイル共有ソフトであり、多数の逮捕者が出ています。
アニメ動画の無断配信で逮捕
2013年、「Share(シェア)」を使用して「アクセル・ワールド」などのアニメ動画を違法にアップロードしていた男性(当時34歳)が逮捕されています。この男性は、アニメーションや映像などの約1000ファイルをアップロードしていたとされ、容疑を認めているといいいます。
アニメ音楽の無断配信で逮捕
2016年、「Share」を使って音楽ファイルなどをを違法公開したとして、当時51歳の男が逮捕されています。報道によると、約2000ファイル、3TB以上のアニメ音楽・動画などをダウンロードし、無許諾でネット上に公開していた疑いがあるとのことです。
Winny(ウィニー)の事例
ファイル共有ソフトによる著作権侵害の問題が認知されるようになったきっかけが、「Winny」による違法行為です。
2003年、ゲームソフトなどのファイルを違法にアップロードしたユーザーが逮捕されました。この事件は、ファイル共有ソフトを使った違法行為に対する2例目の逮捕(1例目は下記の「WinMX」の事例)でした。
WinMX(ウィンエムエックス)の事例
「Winny」と並び、インターネット黎明期から多くのユーザーが利用していたのが「WinMX」とよばれるファイル共有ソフトです。
2001年、「Adobe Photo Shop」をはじめとしたアプリケーションを多数アップロードし、不特定多数のユーザーがダウンロード可能な状態にしていたことで男性2名が逮捕されました。
ファイル共有ソフトによる著作権侵害の初の逮捕者が出た事例であり、当時は大きなニュースとなりました。
PerfectDark(パーフェクトダーク)
「PerfectDark」は2006年に登場したファイル共有ソフトで、後発にあたることから「Winny」や「Share」などで指摘されていた課題を改善したソフトウェアです。
名前が表す通り匿名性が担保されていることで知られていましたが、2010年には「PerfectDark」でアニメ動画を違法にアップロードした初の逮捕者が現れます。その後、2018年にも漫画作品のデータを違法にアップロードしたユーザーが逮捕されています。
最近では、2022年に音楽ファイルを公開していた50代の男性が逮捕されています。

なぜtorrenr(トレント)で捕まらない・バレないと思う人たちがいるのか

これまで多数の逮捕者が出ているにもかかわらず、なぜいまだにtorrent(トレント)以を含めたファイル共有ソフトを使った違法行為がなくならないのでしょうか。その背景には、「自分は捕まらない」、「バレないだろう」といった考えをもつ人が一定数存在することが挙げられます。
ファイル共有ソフトは一見すると誰がアップロード・ダウンロードしているのかが分からず、匿名性が担保されているように見えます。そのため、安易に「バレないだろう」といった考えをもち、違法行為に手を染めてしまうことが考えられます。
また、ファイル共有ソフトはいまだに一定数のユーザーがいるため、「自分は捕まらない」といった考えをもつようになるケースも少なくありません。
>>トレント(torrent)の使用で開示請求を受けたときの対処法についてはこちらの記事で解説しています。
トレント(torrent)に関する弁護士相談や対応の流れ
- まずは電話やウェブサイト、LINE等から法律相談の申し込みをしていただきます。
- その後、電話もしくは面談・ウェブ会議にて当事務所の弁護士が相談内容についてヒアリング等をさせていただき、事件の見通しやお見積りを法律相談の際に説明します。
こちらから契約を強引に勧めることは一切なく、当日に契約する必要はございませんので、ご安心ください。 - 相談を受けてから実際に依頼することとなった場合には、相談者と弁護士との間に委任契約書を締結した後、着手金のお支払いをしていただきます。
- その後、当法律事務所の弁護士が回答期限までにプロパイダに対して回答書を送付します。非開示の場合は解決、個人情報が開示された場合は開示請求者との示談交渉を行い、示談によって解決へと導きます。
●時間はどれくらいかかるの?
スケジュール感に関しては、非開示の場合は1~2週間、個人情報が開示された場合は示談交渉が1~2か月ほどかかりますので、ご理解ください。
また、勝訴率について規定によりお伝えすることができかねますので、ご了承ください。
●これまでの実績と弁護士費用は?
当法律事務所では、WEBに関する知識のある弁護士が対応し、これまでに100件以上の実績がございます。
ファイル共有ソフトの使用に関する意見照会書を受領した方について、当事務所では次のような費用で対応を承っております。
法律相談料 | 5,500円/30分あたり(税込・初回30分は無料) |
着手金 | 成功報酬 | |
意見照会に対する回答の 作成及び代理 |
165,000円~(税込) | 0円 |
示談交渉 | 165,000円~(税込) ただし、「意見照会に対する回答の作成及び代理」をご依頼いただいている方は0円 |
110,000円(税込) ただし、減額が成功した場合のみ |
●セカンドオピニオンの相談は可能?
もちろん可能です。
- 質問に対して詳しく答えてくれなかった
- 「すぐに開示に同意して示談金を支払うべき」と言われたが、方針についてもう少し検討したい
- 非開示の可能性を探りたい
といった方のご相談も多数お受けしております。他事務所にない方針をご提案できる場合がございますので、まずは一度ご相談ください。
●相談の費用や相談までの日数は?
法律相談は初回30分に限り、無料です。
電話であれば、最短当日での対応も可能ですので、お気軽にご連絡ください。