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トレント(torrent)での開示請求がきたときの示談金の相場は?示談の流れについても解説

トレント(torrent)の使用について開示請求を受けたときは、相手方と示談するという選択肢が検討されます。

・示談金の相場を把握しておきたい
・どのような流れで示談が成立するのか気になる
・示談の際はどのような合意がされるか知りたい

示談を検討する際は、これらの点を知っておく必要があります。

そこで記事では、トレントの使用で示談が必要になった場合の示談の流れや示談金の相場等について解説します。

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トレントの使用による示談までの流れ

トレントの使用から示談の流れとしては、ほとんどの場合次のようなステップとなります。

①意見照会書の受領

プロバイダから「発信者情報開示に係る意見照会書」が、契約者の住所宛てに届きます。

②プロバイダから開示請求者に対する情報の開示

意見照会に対して開示に「同意する」との回答をすると、プロバイダはそのまま開示請求者側に情報を開示します。

一方、「同意しない」との回答を行う場合は、裁判所による開示を認める判断を経て、開示がなされることが一般的です。

③開示請求者から示談に関する文書が届く

プロバイダが情報を開示すると、開示請求者から契約者に対しては示談に関する文書が送付されることが一般的です。

④示談交渉

開示請求者側の提示する条件について調整する場合は、示談交渉を行うことになります。

⑤示談書(和解契約書)の締結

示談の条件について折り合いがつけば、当事者双方が示談書に署名押印を行うことになります。その後、示談金の支払いを行うことで、案件は終了ということになります。

これらについて順番に解説していきます。

①意見照会書の受領

著作権者がプロバイダに対して発信者情報開示請求を行うと、プロバイダは発信者(契約者)に対して意見照会書を送付します。

ほとんどの場合、意見照会書は自宅に郵送されます。

トレントの使用者は、この意見照会書を受領することで初めて自身に対して開示請求が行われていることを知ります。

(意見照会書の例)

②プロバイダによる情報の開示

プロバイダからの意見照会書に対して開示に同意すると回答する場合、プロバイダはすぐに著作権者側に情報を開示します。

開示に同意すると回答しなくとも、例えば裁判所が開示を認める決定をした場合、プロバイダはその決定に従って開示することになります。

示談交渉を行うケースでは、著作権者はこのいずれかによってトレント使用者を特定していることが一般的です。

(開示文書の例)

③著作権者側の示談交渉に関する通知書

プロバイダからトレント(torrent)の使用者に関する情報を得た著作権者は、示談に関する通知書を送付することが一般的です。

この示談に関する通知書には、概ね以下の内容が記載されています。

示談に関する通知書に記載されている内容

  • 著作権侵害の通信が確認されたこと
  • 著作権の侵害を受けた作品名
  • 発信者情報開示請求を行った結果、使用者に関する情報が得られたこと
  • 示談金の提示額

④示談の条件に関する交渉

この通知書に対して回答し、その後もやり取りを重ねながら示談の条件について交渉することになります。

交渉の対象となる項目の例としては、下記があげられます。

トレントの示談で交渉の対象となる主な項目

  • 示談の金額
  • 個別の示談とするか、包括示談とするか(※包括示談については後述)
  • 示談金の支払時期・方法(一括・分割)
  • 著作権侵害について告訴を行わないこと
  • 第三者への口外禁止条項の有無
  • 今後トレントを使用して著作権侵害をしないことの誓約
  • 誓約を破った際の違約金の定め

最初に条件を提示するのは著作権者側です。ここで提示された条件を受け入れると示談締結に向けた手続に進みます。

示談交渉を行う場合は、早ければ1週間程度、長引くと1~2か月程度かかることがあり、それ以上の時間を必要とするケースもあります。示談交渉が決裂した場合は、損害賠償請求の訴訟に発展する可能性があります。

③示談書(和解契約書)の締結

示談の条件について両者で合意ができたら、その内容が記載された示談書(和解契約書)に署名押印することになります。

実際に示談書(和解契約書)の文書を作成するのは、著作権者側である場合がほとんどです。

示談書(和解契約書)は原本に署名押印することになるため、郵送でのやりとりとなることが一般的です。

このやりとりが終わり、定められた示談金を支払ったときに事件が終了したということになります。

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トレント(torrent)の使用で開示請求されたときの示談金の相場

著作権者側から提示される示談金の相場は、1作品あたり30万円~70万円程度となっています。

「包括示談」の場合、提示される示談金の相場は1メーカーあたり70~80万円程度です。

包括示談とは

著作権者によっては「包括示談」のオプションも提示されることがあります。

包括示談とは

相手方の作品を他にもトレントでダウンロードしていた(又はその疑いがある)場合に、相手方の作品すべてについて示談で解決するという内容の合意

包括示談の相場は高価ですが、同じメーカーによる別件の開示請求によって新たに違法なダウンロードが発覚した場合であっても、包括示談の効力が及ぶことで追加の示談金の支払いは免れることができるというメリットがあります。

一方、包括示談の効果はあくまでその契約の相手にしか生じないので、他社から開示請求を受けた場合、その効力を主張することはできません。

過去の裁判例で示された損害額の算定方法

参考までに、過去の裁判例によれば、以下のような算定方法で損害額が計算された例があります。

過去の裁判例で採用された損害額の算定方法

トレントの使用期間中における対象ファイルのダウンロードの増加件数 × 作品1つあたりの利益額

(実際にはもう少し複雑な算定方法が採用されていますが、基本的な考え方はこのようなものです。詳細を確認されたい方は、以下の裁判例を参照ください。)

裁判例:東京地判令和3年8月27日(裁判所HP)

裁判例:知財高判令和4年4月20日(裁判所HP) ※↑の控訴審判決です

なお、自身がシーダーであったか、リーチャーに過ぎないのかは損害額の算定に影響を与えませんでした。これは、トレントの使用が「共同不法行為」に該当すると判断されたためです。したがって、「自分はリーチャーにすぎなかった」というのは、損害額を小さくする有効な反論にはならないようです。

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示談をきっかけに開示請求が連続してしまうことはあるか

一度示談をすると「示談金を支払う者」と認定され、連続して開示請求を受けるのではないか、と不安に思われる方も多くいらっしゃいます。

これはおそらく、示談金を支払ったという事実が(同業者間で)拡散されたりするのではないか、という懸念があるためだと考えられます。

しかし、プロバイダ責任制限法7条には以下のとおり定められています。

参考条文

(プロバイダ責任制限法7条)
(略)発信者情報の開示を受けた者は、当該発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者情報に係る発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない。

示談金を支払ったという事実を(同業者間で)拡散するという行為は、この規定に反するものであり、許される行為ではありません。

また、開示請求側が把握している(トレントの調査によって得られた)IPアドレスは、基本的に動的なもの(同じIPアドレスであっても時間により割り当てられた契約者が変動する)です。開示請求者側はプロバイダから契約者情報の開示を受けるまでは誰にIPアドレスが割り当てられているか分からないため、特定の契約者を狙って開示請求を行うということは困難です。

そのため、示談したことをきっかけに連続して開示請求を受けるというのは考え難いところです。

示談交渉で不利にならないようにするには

示談交渉のやり方によっては、極めて不利な条件での署名をすることになったり、かえってトラブルが悪化することも考えられます。

そのため、示談交渉を失敗しないためには、プロバイダからの意見照会が届いてすぐに適切な対応をとらなければいけません。

四谷コモンズ弁護士事務所ではこれまで多数のトレント(torrent)案件を対応しております。

プロバイダからの意見照会を受け取った際は、ぜひ一度当事務所までへご相談ください。

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torrent(トレント)に関する相談や対応の流れについて

●相談や対応の流れ

STEP
お問い合わせ

まずは電話やウェブサイト、LINE等から法律相談の申し込みをしていただきます。

STEP
ご相談内容のヒアリング

電話もしくは面談・ウェブ会議にて当事務所の弁護士が相談内容についてヒアリング等をさせていただき、事件の見通しやお見積りを法律相談の際に説明します。
こちらから契約を強引に勧めることは一切なく、当日に契約する必要はございませんので、ご安心ください。

STEP
委任契約の締結

相談を受けてから実際に依頼することとなった場合には、相談者と弁護士との間に委任契約書を締結した後、着手金のお支払いをしていただきます。

STEP
弁護士による法的対応

当法律事務所の弁護士が回答期限までにプロパイダに対して回答書を送付します。非開示の場合は解決、個人情報が開示された場合は開示請求者との示談交渉を行い、示談によって解決へと導きます。

弁護士費用

ファイル共有ソフトの使用に関する意見照会書を受領した方について、当事務所では次のような費用で対応を承っております。

●よくあるご質問

時間はどれくらいかかるの?

非開示を目指す場合と、示談を行う場合で異なります。

非開示を目指す場合は、回答書の提出までに1週間程度かかります。プロバイダ側が開示・非開示の決定をするまで更に1週間程度かかることが一般的です。
開示・非開示いずれの決定をしたか発信者側に連絡してくれるプロバイダもありますが、このような連絡がないプロバイダの方が多い印象です。

示談を行う場合は、相手方の提示する条件を受け入れれば最短で1週間程度で示談が成立します。一方、減額交渉などを行うケースでは、2か月以上かかることもあります。

四谷コモンズ法律事務所のこれまでの実績は?

トレントに関する案件は、100件以上の取り扱いがございます。非開示となったケース、短期間で示談が成立したケースもございます。

セカンドオピニオンの相談は可能ですか?

もちろん可能です。

  • 質問に対して詳しく答えてくれなかった
  • 今後複数の開示請求を受ける可能性についても相談したい

といった方のご相談も多数お受けしております。他事務所にない方針をご提案できる場合がございますので、まずは一度ご相談ください。

相談の費用や相談までの日数は?

法律相談は初回30分に限り、無料です。

電話相談であれば、最短当日での対応も可能ですので、お気軽にご連絡ください。

>>トレントに関するよくある質問についてはこちらでも解説しています。

AUTHORこの記事を書いた人

弁護士 渡辺泰央

弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。

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