ネットで悪口を書いても消せば大丈夫?|10代向けネット法律相談
今回の質問
私の書きこみについて、誰が書いたのか調査されていると、携帯の会社から手紙(意見照会書)が来ました。
でも、私は書きこみを消していますし、十分反省もしています。
携帯の会社に、書きこみを消したことと、反省していることを伝えたら大丈夫ですか?
回答
書きこみを消しても、そのことだけで大丈夫ということにはなりません。
書きこみは消えても、書きこみをした事実は消えないからです。
また、携帯の会社に反省していることを伝えても、調査には影響しません。
あなたが書きこんだことが相手に伝えられるかどうかは、あくまで、書きこまれた内容から判断されるからです。
書きこみを消すことや、反省することは、今回の問題を解決するためには必要なことです。
しかし、調査の結果(あなたの名前や住んでいる場所が相手に伝えられるかどうか)には、影響はありません。
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インターネットで本当のことを書くのはダメ?|10代向けネット法律相談
今回の質問
私はネットに「●●ちゃんがテストでカンニングしてた」と書きこみました。本当のことなんです。
そうしたら、書きこまれた人が、誰が書いたのかを調べているようです。
私は本当のことを書いただけですが、それでもダメなのでしょうか?
回答
「本当のことを書いた」という言い分が認められることはあります。
ただ、認められるケースはまれです。
「本当のことを書いた」という言い分が通るのは、書かれた内容が「社会みんなの関心ごと」でなければいけません。
友達の悪口や、プライベートな事は「社会みんなの関心ごと」ではありません。
また、仮に「社会みんなの関心ごと」であったとしても、そのことが本当であることはあなたが証明しなければいけません。
そのことを証明できるものを、あなたは持っていますか?
「ネットでウワサになっているから」とか「みんなそう言っているから」というくらいでは十分とはいえません。
このように、「本当のことを書いた」という言い分を通すのはかなり大変です。覚えておきましょう。
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イニシャルで人の悪口をネットに書いても大丈夫?|10代向けネット法律相談
今回の質問
人の悪口をネットに書きこんでしまいました。
そうしたら、悪口の相手が、書きこんだ人がだれなのか調べているようです。
確かに悪口は書いたけど、私の書きこみを読んでも誰のことを言っているのかわからないと思います。
そういうときでも、私が書きこんだことはバレてしまうのでしょうか?
回答
今回のような質問は、よく聞かれます。特に、次のようなパターンが多いです。
・名前のイニシャルしか書いていない(例えば、「Yくんはバカだ」)
・名前の一部をふせて書いた(例えば、「わた●べくんはキモい」)
・その人のことは少ししか書いていない(例えば、「3年A組のデブ」)
など
まず、あなたの書きこみを読んだとき、誰のことを言っているのか「誰も」わからなければセーフです。(でも悪口を書き込むことはダメですよ!)
しかし、「その人のことを知っている人が読めば、誰のことかわかる」ときにはアウトです。
法律の考え方がそうなっているためです。
ですから、上であげた例でも、アウトの可能性はあるのです。
名前をふせて書いたとしても、例えば「麦わら海賊団の●フィ」と書かれていれば、だれのことを言っているとわかりますよね。
このことを分かったうえで、今回のあなたの書きこみを見なおしてみてください。
あなたの書きこみを読んだとき、誰のことなのかを「誰もわからない」のか、「知っている人が読めばわかる」のかがポイントになります。
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携帯の会社からきた意見照会書ってなに?|10代向けネット法律相談
今回の質問
私の書きこみについて、携帯の会社から手紙(「意見照会書」といいます)が届きました。
その手紙をみると、誰かが、私の書きこみについて、「開示請求」をしている(つまり、書きこんだ人の名前や住んでいるところを教えろと言っている)ようです。
私の名前や住んでいるところは必ず知らされてしまうのでしょうか?
回答
「意見照会書」を受け取った人は、誰でもびっくりするものです。
まず大事なことは、あせらないことです。
書きこんだ人のことを誰かが知りたがっているからといって、必ずしもあなたの名前や住んでいるところが知らされるわけではありません。
ただし、「開示請求」する人の立場に立って考えると、この「開示請求」を行うことは簡単ではありません。
「開示請求」は、弁護士に相談して、お金を払って行うことが普通だからです。
つまり、「開示請求」をしている人はかなり本気で怒っていることは間違いありません。
「開示請求」は、法律の問題です。
あなた一人で解決できるものではありません。
そのため、まずは信頼できる大人に相談しましょう。
また、法律問題ですから、相談した大人の人と、一度弁護士に相談することをおすすめします。
意見照会書にどう返事をするかによって、その後の流れが大きく変わってくるためです。
弁護士に相談することで、どのように返事をすべきか、また、今後どうなっていくかなどを確認できます。
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誹謗中傷とプライバシー権侵害って?|10代向けネット法律相談
今回の質問
ネットに人の悪口を書いてしまいました。
でも、書きこんだ人の個人情報が開示されること(名前や住んでいる場所がバレること)があると聞いて不安になり、いまさらになって後悔しています。
どういう内容の書きこみだと開示されてしまうのでしょうか?
回答
開示される書きこみの内容はいろいろありますが、よくあるものは次の二つです。
・誹謗中傷
・プライバシー侵害
「誹謗中傷」とは、悪口のことです。
「バカ」とか「キモイ」くらいの内容でも、被害者の訴えによって開示される可能性は十分あります。
「プライバシー侵害」とは、例えば、人の名前、住んでいる場所、電話番号、通っている学校、顔写真などを勝手にのせるような場合です。
インターネット上ではこのような書きこみがめずらしくありません。しかし、だからといって許されることではありません。
むしろ、そのような書きこみはすべて開示される可能性がある、ということは覚えておきましょう。
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匿名で他人の悪口を書いたら訴えられる?|10代向けネット法律相談
今回の質問
ネットの掲示板に友達の悪口を書いたら、その人が私の書きこみを見つけたようです。
しかも、「書きこんだ人を訴える!」と言っています。でも、匿名(自分の名前を明かさないこと)で書いているから大丈夫ですよね?
回答
匿名の書きこみでも、訴えられる(裁判を起こされること)ことがあります。
日本には、書きこみをした人を調べるための法律があります。
この法律によって、人の権利を傷つける書きこみした人は、(被害者の訴えにより)その個人情報が開示される(名前や住んでいるところ伝えられること)ことがあるのです。
あなたの書きこみについても、人の権利を傷つけたと判断されれば、あなたが書いたということが相手に伝わる可能性があります。
自分の名前を明かしていないから大丈夫だろうと思って、気軽に悪口を書くことはやめましょう。
今回のケースでは、相手は「訴える!」と言っているようです。これが本気だとすると、法律の問題になる可能性は高いといえます。
法律の問題は、あなた一人で解決できるものではありません。
一人で抱えこまず、まずは信頼できる大人に相談しましょう。
また、本当に相手が訴えるとすれば、あなたの家に携帯の会社から手紙(「意見照会書」というもの)が届くことなります。
もしこれが届いたときは、下の記事を見てみてください。
【参考記事】
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Googleマップで匿名の口コミ投稿者(犯人)を特定する方法
Googleマップの口コミは、Googleアカウントを保有しているユーザーであれば誰でも投稿できるものです。
ユーザーの「生の声」が閲覧できるというメリットがある反面、ビジネスオーナーにとっては以下のデメリットを感じている方も多くいらっしゃいます。
・事実無根の内容が投稿される
・削除申請で口コミが削除されても、同じ口コミの投稿が繰り返される
・競合他社による口コミが強く疑われる
このような悪質な口コミに対しては、投稿者特定(犯人特定)が強力な手段となります。投稿者特定に至れば、本人に対して削除を要請したり損害賠償請求といった法的手段を講じる道が開けます。
そこでこの記事では、Googleマップの口コミ投稿者個人を特定する方法について解説したいと思います。
口コミ投稿者を特定する方法
口コミの投稿者を特定するには、Google社に対して(投稿に使用された)アカウントに関する情報の開示を求めることになります。
ただし、プライバシー権や個人情報保護の観点から、Google社に情報開示を単にお願いするだけでは情報は開示されません。
情報が開示されるのは、裁判所の判断がある場合にほぼ限られます。
そのため、投稿者特定を目指す場合は、開示請求の裁判手続を実施する必要があります。
投稿者を特定するための開示請求の種類は、大きく分けて次の2種類があります。
投稿者特定のための裁判手続
① 発信者情報開示請求(日本法)
② ディスカバリー制度(米国法)
以下、それぞれについて解説します。
① 発信者情報開示請求
Google社は米国企業ですが、日本法に基づく「発信者情報開示請求」の手続でも投稿者特定を目指すことができます。

発信者情報開示請求による投稿者特定までの流れ
開示請求の裁判の申立がなされると、Google社から反論がなされることが一般的です。その後裁判の期日が開かれ、必要であれば更にこちらが反論を行う、という形で裁判所での審理が進みます。
開示請求の要件を満たしていると裁判所が判断する場合、Google社に対して開示を命じる決定が発令されます。これに基づき、Google社はログイン時IPアドレス等の情報を開示します。
IPアドレスだけでは投稿者特定には至りません。投稿者を特定するためには、そのIPアドレスを割り当てた経由プロバイダに対して更に開示請求(契約者の氏名・住所等)を行うことが一般的です。
この開示請求も裁判(通常訴訟)で行われることがほとんどです。
開示請求の要件を満たしていると裁判所が判断すれば、経由プロバイダに対して開示を認める判決が言い渡されます。
これに基づく情報開示を受けることで、投稿者特定に至ることが一般的です。
発信者情報開示請求を選択するメリット・デメリット
発信者情報開示請求を利用する場合、日本での裁判となるため費用はある程度抑えることができます。
一方、日本の裁判所は特にGoogleマップの口コミについて権利侵害を認めるハードルが非常に高くなっている印象です。(強い表現の口コミであっても、「単なる利用者の意見だ」という理由で権利侵害を認めないというパターンが多いように思われます。)
Google社側もかなり強く反論してきますので、裁判所における審理はハードなものとなることが多い印象です。
そのため、発信者情報開示請求は口コミの内容が嘘の事実であることがわかる確実な資料がある場合に選択すべき手段ということがいえます。
② ディスカバリー制度
ディスカバリー制度の概要
米国にはディスカバリー(Discovery)という制度があります。

これは、相手方や第三者の支配下にある文書や証人等について開示を求めることができる証拠収集の手段です。
ディスカバリーの根拠条⽂は、合衆国連邦法典第28編の§1782(a)にあり、日本の裁判⼿続の当事者や提訴予定者は、このディスカバリーを利⽤し、⽶国にある証拠を収集することができるとされています。
ディスカバリーによるによる投稿者特定までの流れ
まず日本の弁護士が、口コミの違法性を説明する文書を日本語で作成します。
作成した書面は米国の裁判所に提出することになりますので、文書を英語に翻訳することが必要です。
日本で作成・翻訳した書面を米国弁護士に送り、現地でのディスカバリー申立を依頼します。
米国裁判所が申立内容を審理し、申立を認める場合は「Subpoena(サピーナ)」が発行されます。
「Subpoena(サピーナ)」がGoogle社に送付されると、同社から情報が開示されることが一般的です。
ディスカバリーを利用するメリット・デメリット
ディスカバリーのメリットは、日本の裁判手続によるよりもGoogle社から開示される情報が豊富という点です。ディスカバリー制度を利用した場合、メールアドレスや各種IPアドレスのほか、電話番号やクレジットカードの名義まで開示されることがあります。
(日本の裁判手続では、クレジットカードの名義までは開示されません。)
開示される情報の範囲はケースによって異なりますが、内容によっては投稿者個人の特定はほぼ成功するというケースも多くあります。
また、開示が認められるハードルが日本の裁判所よりも低い場合が多いことも、ディスカバリー制度の大きなメリットということができます。
もっとも、米国裁判所への申立てが必要ですから、文書の翻訳や米国弁護士の協力が不可欠です。この点で、費用がやや高額になるという点はデメリットということができるでしょう。
まとめ
Googleマップの口コミの(レビュー)で誹謗中傷・営業妨害を受けた方にとって、投稿者個人の特定は抜本的な解決につながる強力な手段ということができます。
当事務所では、これまで日本の裁判手続や米国のディスカバリー制度を利用することで、口コミ投稿者個人の特定に成功した実績が多数ございます。
Googleマップのクチコミ(レビュー)で被害を受けている方は、ぜひ一度に相談してみて下さい。
Googleマップのクチコミ対策について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

セミナー開催:広報活動に役立つ法律知識
四谷コモンズ法律事務所 代表弁護士の渡辺が「広報活用に役立つ法律知識 - インターネットトラブル・炎上に関して、どのように予防・対応すべきか -」と題したセミナーを実施します。詳細は以下をご覧ください。
広報活用に役立つ法律知識
– インターネットトラブル・炎上に関して、どのように予防・対応すべきか –
企業のホームページ、SNS利用なども一般化する中、ネット上のトラブル発生件数も大幅に増加してきており、どの企業でであっても常に「炎上」のような問題は発生する可能性があります。このような問題に対する対応を誤ってしまうと、企業活動に深刻なダメージを与えかねないレピュテーション(風評)リスクに悩まされるような事態にまで発展しかねません。そこで、「炎上」のようなネットトラブルはどのようにして発生するのか。そのメカニズムを解説した上で、どのような予防や対応を行うべきかについて、法律の観点から解説いたします。特に今回のセミナーでは弁護士としての実践的かつ戦略的なアドバイスなども内容に盛り込んでお話します。
[badge value=”開催概要”]
日時:2018年3月27日(火)13:30-17:00
会場:企業研究会セミナールーム(麹町)
講師:四谷コモンズ法律事務所 代表弁護士 渡辺泰央
[badge value=”プログラム”]
1.なぜ広報活動に法律の知識が必要か
(1)インターネット上の広報活動のリスク
(2)ネット上のトラブル ~広報担当者が向き合う「炎上」とは~
(3)「炎上」発生のメカニズムと法律
(4)これまでの炎上事例と最近の傾向
2.広報活動に役立つ法律知識
(1)肖像権
(2)プライバシー権、個人情報
(3)著作権
(4)名誉毀損・侮辱
(5)労働関係法
(6)その他
3.ネット上のトラブル~炎上~ を予防するには
(1)組織的な対応が重要
(2)社員教育の必要性
(3)チェックシートの作成・見直し
(4)社内規定の整備
(5)取引先との契約関係にも注意
4.ネット上の初期トラブル~ぼや~ が起こったときの心構え/収束の仕方
(1)むやみな対応はしない まず確認すべきこと
(2)ネット上の初期トラブル~ぼや~ が起こったときの三原則
(3)検討すべき対応方針
(4)ネット上のトラブル~炎上~ によって権利侵害を受けたときは
その他詳細・お申込はこちらをご覧ください(一般社団法人 企業研究会様のWEBサイトに遷移します)
訴訟記録の閲覧とは?閲覧申請の方法や閲覧する際の注意点を解説
発信者情報開示請求の意見照会を受けた際、開示の拒否をするためには(開示が認められるべきとする)相手方の主張に反論する必要があります。
しかし、反論をするためには、まずは相手の主張を正確に把握しなければなりません。
この記事では相手の主張を知るために使える訴訟記録の閲覧について解説しています。
プロバイダからの書類だけでは十分とはいえない
多くの場合、意見照会書には開示請求者の主張がある程度記載されています。
しかし、これを確認しただけでは十分とはいえません。
実は、意見照会書に開示請求者の主張がすべて書かれていることは稀なのです。
意見照会書の中に、開示請求訴訟の訴状や証拠のコピーが同封されていることもあります。
しかし、このような場合でも、マスキングされた部分があったり、証拠がすべてそろっているわけではありません。
各プロバイダも個人情報保護や企業秘密への配慮から、どの範囲で発信者側に情報を提供するか、という点は苦慮していると推察されます。
しかし、有効な反論をするためには相手の主張や提出された証拠を把握することが不可欠です。
プロバイダからの情報が十分でない以上、発信者の側で情報を収集する活動が必要となります。
民事裁判の記録は原則閲覧可能
開示訴訟が提起されているケースで、相手の主張や提出されている証拠を把握する最も有効な手段は「訴訟記録の閲覧」でしょう。
民事事件の記録は、閲覧制限などがない限り誰でも閲覧ができます。
閲覧できる記録は、当事者が提出した書面(訴状など)や証拠です。
裁判官はこれらに基づいて開示されるべきかどうかを判断しますから、主張や証拠の弱い部分を指摘することができれば、拒否の理由はより有効なものとなるでしょう。
閲覧申請の方法
閲覧申請の方法は、申請用紙に当事者名や事件番号を記載し、150円の収入印紙を貼って裁判所に提出するだけです。
ただ、申請する先はその事件を担当している裁判所でなければいけません。
例えば、東京地方裁判所で行われている事件の記録を大阪地方裁判所で閲覧することできませんので、注意しましょう。
訴訟記録を閲覧する際の注意点
民事訴訟記録は申請すれば原則として閲覧できるものですが、気をつけておかなければいけないこともあります。
(1) コピーはできない(すべきでない)
訴訟記録の”閲覧”は基本的に誰でもできますが、コピーできる者は限られています。
記録閲覧室にはコピー機が置かれていますが、これは事件の当事者又は利害関係人でない限り使用することはできません。
確かに、発信者は利害関係人には該当します。
しかし、コピーするためには、自分が利害関係があることを裁判所に対して(証拠を用いて)「疎明」しなければなりません。
その「疎明」に使われた資料もまた誰でも閲覧できる「訴訟記録」となります。
そうすると、万が一裁判所の記録を開示請求者が閲覧したりすると、判決を待たずして発信者が誰かを知ることになります。
開示拒否の活動によって、かえって発信者が知れてしまうようでは本末転倒です。
そのため、訴訟記録は「閲覧」のみとし、閲覧の目的も「研究」や「調査」などと記載しておくことが無難でしょう。
(2) いつでも閲覧できるわけではない
先ほど触れたとおり、訴訟記録に対して「閲覧制限」がかけられているような事件については、閲覧することはできません。
また、裁判所でその記録を使用中の場合は、やはり閲覧することはできません。
裁判所が記録を使用するときは、裁判期日当日のほか、期日の前後数日が多い印象です。
(3) 要点が分かりづらい事件も
裁判は専門的な手続きですから、その記録もやや特殊なものといえます。
複雑な事件となると、紛争の要点がどこにあるのか、また、どのような主張や証拠が強いとか弱いといった部分が見えづらいケースも多くあります。
そのため、記録閲覧を行う際は、プロバイダからの書面などをしっかり検討し、どの部分を重点的に閲覧するかという方針を明確にしてから臨みましょう。
記録閲覧の重要性
以上のとおり、開示拒否の理由を検討する際、訴訟記録閲覧は極めて有効なものですが、注意点などもあります。
当事務所では、記録閲覧の代行のほか、記録閲覧前のご相談も承っております。
悩まれる前に、ぜひ一度ご相談ください。
弁護士に依頼できることや費用の目安等についてはこちらをご覧ください。
発信者情報開示請求について、発信者側の解説記事についてはこちらをご覧ください。
リーチサイトの違法性|違法ダウンロードの刑事罰化の規定とは?
リーチサイト「はるか夢の址」が強制捜査の対象になったとの報道がありました。
この事件の分析と、その影響について考えてみたいと思います。
立件が難しい「リーチサイト」
「リーチサイト」とは違法ダウンロードが可能な他のサイトにリンクを張り、利用者を誘導するものです。
リーチサイト自体はコンテンツのデータをアップロードしているものではなく、単にリンクを張っているだけです。リンクを張る行為それ自体は著作権侵害とは考えられていないため、正面から著作権侵害を問うことは難しい状況でした。
立件の可能性があるとすれば、著作権侵害の「幇助」でしょう。
犯罪を実行した人でなくとも、犯罪を「助長した」といえれば、幇助犯として刑罰の対象になります。例えば、ファイル共有ソフト「Winny」の開発者が逮捕・起訴された事件も、著作権侵害の「幇助」が問われたものでした。
しかし、「Winny」の開発者が助長したとされたのはコンテンツのアップロード(公衆送信)です。
一方、リーチサイトは、すでにアップロードされたものにリンクを張るものですから、当該アップロードを助長したということはやや難しそうです。つまり、「Winny」事件の理屈がそのまま当てはまるとはいえないのです。
違法ダウンロード刑事罰化の規定が適用されるか
「リーチサイト」が助長するのは、利用者の違法ダウンロードです。とすれば、違法ダウンロードの幇助として立件される可能性は充分ありそうです。
違法ダウンロードが刑事罰化されてしばらく経ちますが、あまり活用されておらず意味があるのかという指摘はしばしばありました。
そのような規定が、リーチサイトの取り締まりのために活用されれば、規定が活きてくるといえるでしょう。
もっとも、今回捜査の対象になったリーチサイトが誘導していたのは、主に漫画の海賊版サイトのようです。
漫画には違法ダウンロード刑事罰化の規定が適用されないので、違法ダウンロードの幇助の法律構成は使えないところです。報道でも、「違法コピーの掲載に関与」したこと(つまりアップロードの助長)が、強制捜査の理由とされています。
インターネットユーザーへの影響は?
今回の事件で、一般のインターネットユーザーへの影響も多少あると思います。
違法ダウンロードが認定されるための要件のひとつに、ダウンロードするものが違法アップロードであることを「知って」したということがあります。今回の報道などでリーチサイトの存在が世間に知れ渡れば、リーチサイト経由のダウンロードに関しては「知って」ダウンロードしたことが認められやすくなるでしょう。
また、リーチサイトから押収されたアクセスログの解析により、違法ダウンロードを行なったユーザーの特定ができる可能性もあります。
インターネットは気軽に情報を取得できるツールですが、気軽な行為であっても法律違反の行為には責任が問われます。リーチサイトの利用もそれなりのリスクのある行為ですから、疑わしいサイトには近づかないことを強くお勧めします。
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