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発信者情報開示請求の流れをインターネットに強い弁護士が解説!

みなさんも、インターネットの誹謗中傷で犯人が特定されたという話は、一度は聞いたことがあると思います。

犯人が書類送検されたとか、損害賠償が認められた、という報道を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

しかし、実際にインターネットを見ると、実名で誹謗中傷をしているというケースはほとんどありません。

それでも、誹謗中傷の犯人が特定され、法的措置がとられているのは、多くのケースで発信者情報開示請求という制度が利用されているからです。

そこで今回は、発信者情報開示請求とはどのような制度なのか、制度の概要と犯人特定までの簡単な流れなどを解説していきたいと思います。

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発信者情報開示請求とはどのような制度か

発信者情報開示請求は、簡単にいうと、匿名でネットに情報を発信した人の(個人)情報を得るための制度です。

ネットに情報を発信した人の例

  • SNSにつぶやきや写真を投稿した人
  • 電子掲示板に書き込みをした人
  • 動画投稿サイトに動画を投稿した人
  • ファイル共有ソフトにデータをアップロードした人  など

ただ、あらゆる情報発信について、情報開示の対象になるわけではありません。

発信者情報開示請求で情報が開示されるのは、他人の権利を侵害する情報をネット上に公開した人に限られます。

ここでいう他人の権利の典型としては、名誉権プライバシー権著作権などがあげられます。

例えば、「○○さんは不倫している」という投稿は、名誉毀損(名誉権侵害)やプライバシー権侵害に該当する可能性があります。

また、漫画を違法アップロードするような行為は、著作権侵害に該当します。

あくまで、法律からみて「権利侵害がある」といえることが必要ですから、例えば、単に「人を不快にさせた」とか、「他人の意見と違う意見を主張した」というだけでは情報開示の対象にはなりません。

また、ネット上に情報を「公開」したことが必要ですから、電子メールやダイレクトメッセージ(DM)を送っただけという場合も、情報開示の対象にはなりません。

迷惑なメールやDMを送りつけられるという被害は後を絶ちませんが、このようなケースでは発信者情報開示請求を利用することはできないというのが現状です。

発信者情報開示請求は「誰に対して」なされるのか

発信者情報開示請求は、コンテンツプロバイダ経由プロバイダに対して行われます。

コンテンツプロバイダ」というのは、権利侵害の情報が掲載されたSNS動画投稿サイト運営会社を指します。

例えば、ツイッターであればツイッターインク、YouTubeであればグーグルエルエルシーが運営会社となります。

経由プロバイダ」というのは、世間一般でいう、いわゆるプロバイダです。

例えば、DOCOMOやKDDI、ソフトバンクのほか、NTTコミュニケーションズ、ビッグローブなどが該当します。

このように、発信者情報開示請求はコンテンツプロバイダや経由プロバイダに対して行われるものですから、例えば権利侵害の投稿をしているアカウント宛に「あなたを訴えるので本名や住所を教えてください」とDMを送るような行為は、発信者情報開示請求ではありません。

また、発信者情報開示請求の裁判になった場合、被告になるのはこれらのコンテンツプロバイダや経由プロバイダなので、発信者に裁判所から直接開示請求の書類が届くということもありません。

(発信者に直接届く書類は「意見照会書」というものですが、これは裁判所からではなくコンテンツプロバイダや経由プロバイダから届きます。)

発信者情報開示請求で開示されるのは「どのような情報」か

発信者情報開示請求を使っても、発信者に関するあらゆる情報を開示できるわけではありません。

開示できる情報というのは、法令であらかじめ決まっています。

正確には総務省令を見ていただく必要がありますが、代表的なものは次のとおりです。

開示できる発信者情報の例

  • 氏名(名称)
  • 住所
  • 電話番号
  • メールアドレス
  • IPアドレス
  • タイムスタンプ など

この法令に書かれていないもの、例えば職場の情報や、クレジットカードの番号、預金口座の情報などは、発信者情報開示請求で開示できる情報ではありません。

発信者情報開示請求は「誰が」できるのか

発信者情報開示請求は、基本的には、権利侵害の被害者しか行うことができないものになっています。

例えば、友達が誹謗中傷を受けているから、自分が代わりに発信者情報開示請求をしてあげる、ということはできません。

つまり、このことは、被害者自身が動かなければ犯人は特定できないということを意味します。

警察が独自に調査しないのか、と疑問に思った方もいると思います。しかし、警察がインターネットを監視して、誹謗中傷について自発的に捜査を行うということはほとんどありません。

警察もそこまでする人員はありませんし、そういうことをしてしまうと表現の自由に関する問題も出てきてしまうからです。

もちろん、殺人予告や爆破予告、児童の性犯罪に関するものついては積極的に捜査がされています。

しかし、それ以外のものについては、警察が自発的に行動することはあまりない、というのが現状です。(もちろん、被害者の被害届や告訴が受理されたときは、警察は捜査を行います。)

発信者情報開示請求の流れ

基本的に、発信者情報開示請求には二つの段階があります。

一段階目は、SNSや動画投稿サイトの管理会社のような、コンテンツプロバイダに対して開示を求める段階です。

二段階目は、DOCOMOやKDDIなどの経由プロバイダに対して開示を求める段階です。

①コンテンツプロバイダに対する開示請求

誹謗中傷の犯人を特定するためには、まず、問題となっている情報が掲載されたSNSなどに対して発信者情報開示請求を行います。

このときに求める情報は、主にIPアドレスタイムスタンプなどです。

はじめから発信者の氏名や住所の開示を求めればいいのではないか、と思った方もいると思います。

しかし、コンテンツプロバイダは基本的にそれらの情報を保有していません。みなさんも、SNSに会員登録するとき、本名や住所を登録することはあまりないと思います。

そのため、まずはコンテンツプロバイダに対してIPアドレスなどの開示を求めることになります。

②経由プロバイダに対する開示請求

コンテンツプロバイダから開示されたIPアドレスを調べると、投稿に利用された経由プロバイダが判明します。

こうして割り出された経由プロバイダに対して、二段階目の発信者情報開示請求を行います。

経由プロバイダは、発信者の氏名住所などの情報を保有しています。

携帯電話やインターネット回線の契約をするときには申込書に氏名や住所を書きますから、このことはイメージしやすいと思います。

経由プロバイダの持っている情報の開示の受けることで、初めて誹謗中傷の犯人が特定することが一般的です。

なお、発信者本人が開示に同意しない限り、ほとんどの経由プロバイダは個人情報を任意に開示するということはありません。したがって、発信者の氏名や住所などの情報を得るためには、基本的には裁判をする必要があります。

(裁判で、開示せよという判決が出ればさすがに経由プロバイダも情報を開示してくれます。)

この裁判は、判決がでるまで早くても4~6か月ほどかかりますから、犯人特定までには、それなりに時間がかかることは覚悟しておく必要があります。

おわりに

以上が発信者情報開示請求の概要についての説明です。

もちろん、細かい論点はたくさんありますが、大まかな流れは以上のとおりです。

もっと詳しく知りたいという方は、当サイトの別の記事もぜひ参考にしてください。


当事務所では、発信者情報開示請求に多数の実績があります。

発信者情報開示請求をお考えの方は、ぜひ一度お問い合わせください。

AUTHORこの記事を書いた人

弁護士 渡辺泰央

弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。

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