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何が行われる?不正インストールが疑われたときの証拠保全や立入調査【弁護士解説】

ソフトウェアの不正利用(不正インストール)の事案では、事業所への任意の立入調査や証拠保全が実施されることがあります。

いずれも事業所への立入調査ですが、実際はどのようなことが行われているか気になる方も多いと思います。

そこでこの記事では、ソフトウェアの不正利用(不正インストール)の事案における任意の立入調査や証拠保全について解説します。

この記事はこんな人におすすめ

  • ソフトウェアの不正利用(インストール)があると指摘する通知が届いた方
  • 任意の立入調査の要請を受けている方
  • ソフトウェアの不正利用が疑われたときの任意の立入調査や証拠保全について知りたい方

>>「ソフトウェアメーカーからの」通知書への対応方法については以下の記事で解説しています。

>>「BSAからの」通知書への対応方法については以下の記事で解説しています。

任意の立入調査とは

任意の立入調査は、事業者の同意に基づいて行われる事業所への立入調査です。

ソフトウェアの利用規約に、メーカーの立入調査の権利を規定したものはありますが、それでも強制的に事業所に押し入りPCを検査・押収するような権限はありません。そのため、あくまで調査の対象となる事業者の同意が必要になります。

任意調査の要請に応じる場合は、事前にソフトウェアメーカー側と日程調整をします。また、事業に影響が出ないよう、土日や祝日に実施されることもあります。

立入調査を実施するのはあくまでメーカーの社員や代理人弁護士であって、裁判所がこれに介入することはありません。

証拠保全とは

証拠保全は、裁判所が認める立入調査です。

証拠保全が認められるためにはメーカー側が裁判所に申立を行い、事業所内での不正利用の疑いがあることを証拠によって認めてもらう必要があります。

立入調査を拒むことによる罰則などはありませんが、合理的な理由による拒否でない限りその後の裁判で不利に働く可能性が十分にあります。

証拠保全が実施される場合は、実施の1~2時間前に裁判所の担当者から連絡があります。この間に対応を検討することは非常に難しいものがありますから、証拠保全を受ける可能性がある場合には、すぐに相談できる弁護士を事前に探しておくことが重要です。

なお、立入調査の場合、メーカー側の代理人弁護士のほか、裁判官も現場に来ることが一般的です。

調査の方法はどういうものか

任意調査も証拠保全も、基本は写真撮影です。

ソフトウェアのインストール状況やMACアドレス等をモニター画面上に表示し、それを写真に収める形です。

調査は基本的に事業所内にあるすべてのPCが対象になります。

ソフトウェアにもよりますが、写真撮影はPC1台につき10分~30分程度かかりますから、調査対象のPCの台数が多い場合、調査終了までかなりの時間がかかります。

調査後の流れ

調査の結果、不正インストールの形跡が見当たらなければ、基本的にはそれ以上の追及はありません。

まれに不正インストールの形跡が見つからなかったにもかかわらず、請求を続けるメーカーもあります。しかし、証拠が見つからなかったという事実は疑われた側にとっては有利に働きます。その意味で、立入調査を受け入れることは、疑われた側にとってもメリットがある場合があります。

一方、不正インストールの形跡が見つかった場合は、それに基づいた示談交渉がなされます。この場合、不正インストールの証拠が見つかったわけですから、示談交渉を突っぱねると裁判などの法的手続に移行する可能性が高いでしょう。


当事務所では、不正インストールの通知が来たケースの対応に豊富な実績があります。

ご心配事やご相談したいことがある場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

>>弁護士に相談・依頼することのメリットや料金についてはこちらの記事で解説しています。

AUTHORこの記事を書いた人

弁護士 渡辺泰央

弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。

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