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トレント(torrent)使用で開示請求|適切な対処法や回答後の流れを専門弁護士が解説

BitTorrentの開示請求を受けたときの対処法

トレント(torrentの使用で開示請求を受け、プロバイダから発信者情報開示請求に係る意見照会書を受け取ったというご相談が増えています。

・意見照会書にどう回答したらよいか分からない
・今後の流れがどのようになるのか不安
・逮捕されるのではないか

多くの方が、このような悩み・不安を感じます。

そこで今回は、トレントを使用で開示請求を受けたときの対処法やその後の流れについて、トレントの法律問題に強い弁護士が解説します。

トレントの使用で開示請求を受けた方へ
当事務所では、非開示に向けた弁護活動も積極的に行っています。
他事務所で示談を勧められたけれども非開示の可能性を探りたいという方もぜひ一度当事務所までご相談下さい。

 

 

 

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「意見照会書」とは何か

プロバイダからの通知書は、正式には「(発信者情報開示に係る)意見照会書」と呼ばれるものです。

これは、開示請求を受けたプロバイダが、そのインターネット回線の契約者に対して送付するものです。

内容としては、⑴開示に同意するか不同意とするか⑵不同意とする場合はその(拒否の)理由は何かを照会する(意見を聞く)ものです。

プロバイダがこのような手続を行うことは法律上の義務となっています。

参考条文
(プロバイダ責任制限法第6条1項)
開示関係役務提供者は、前条第一項又は第二項の規定による開示の請求を受けたときは、当該開示の請求に係る侵害情報の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、当該開示の請求に応じるかどうかについて当該発信者の意見(当該開示の請求に応じるべきでない旨の意見である場合には、その理由を含む。)を聴かなければならない。

 

つまり、この意見照会書が届いたということは、あなたの契約者情報ついて、(権利侵害を受けたことを理由に)開示請求をしている人がいるということになります。

(意見照会書の例)

もっとも、これはあくまで権利侵害の主張があったために送付されるものですから、この段階ではまだ権利侵害が法律上認定されたわけではありません。当然、開示されることが確定したわけでもありません。

とはいえ、法律問題になっていることは確かですから、慎重に対応しなければならないことはいうまでもありません。

 

トレントの使用で開示請求を受けたときの対処法

意見照会書が届いたときは、まずは記載内容を確認したうえ、プロバイダへの回答の方針を決めることが必要です。

意見照会書で確認すべき事項

意見照会書の記載にはすべて目を通すことが望ましいといえますが、最低限確認すべきことは、以下の5点です。

①プロバイダ名(会社名)
②プロバイダとの契約名義人(本人か家族か)
③回答期限
④開示請求の手続の種類(任意請求か裁判か)
⑤ダウンロードしたとされる作品名

以下、確認方法や確認すべき理由を解説します。

①プロバイダ名(会社名)

発信者情報開示請求に対してどのような対応をしているかは、プロバイダによってかなりの差があります。例えば、電話をすることである程度の相談に応じてくれるところもある一方、問い合わせ先の記載もなく現在の状況を聞くことすらできないというところもあります。

また、トレントを使用したのが同じPCであっても、その際に使用した回線によってプロバイダが異なることがあります。例えば、自宅で同じPCを使用していても、自宅の固定回線を使っていた場合とスマホのテザリングを使っていた場合では、意見照会書を送付してくるプロバイダは異なります。

そのため、意見照会書を送付してきたプロバイダ名は確認しておきましょう。

プロバイダ名は、多くのケースで以下の部分を確認することで可能です。

 

②プロバイダとの契約名義人

トレントの使用者(発信者)は、必ずしもプロバイダとの契約の名義人ではありません。典型例は、同居の親族がプロバイダとの契約名義人である場合です。

このような場合に、プロバイダに対して誰の名義で回答するべきかは、プロバイダによって異なります。

そのため、プロバイダとの契約名義人も必ず確認しましょう。

契約名義人は、多くのケースで以下の部分を確認することで可能です。

 

③回答期限

回答期限は必ず確認しましょう。回答期限を過ぎた場合、開示請求の手続に発信者側の意向が全く反映されないことになりかねません。

回答期限は、多くのケースで以下の部分を確認することで可能です。

 

④開示請求の手続の種類(任意請求か裁判か)

開示請求が任意請求の方法で行われているのか、それとも裁判で行われているのかは今後の手続の流れにとってかなり重要です。

この区別の方法ですが、多くの場合で「発信者情報開示請求に係る意見照会書」というタイトルのすぐ下の文章から把握することができます。

 

【裁判の場合の記載例】

 

一方、任意請求の場合は裁判のような記載はありません。

【任意請求の場合の記載例】

 

もっとも、プロバイダによっては、裁判になっていることを明記しないところもありますから、不安な方は念のため直接プロバイダに問い合わせることが確実といえます。

 

⑤ダウンロードしたとされる作品名

仮にトレントを使用していたとしても、ダウンロードに全く心当たりのない場合は、開示請求者側の調査の正確性に疑義が生じてくることがあります。

そのため、ダウンロードしたとされる作品名も必ず確認しましょう。

作品名は、意見照会書に添付された発信者情報開示請求書に記載があることがほとんどです。

 

プロバイダへの回答方針とその後の流れ

方針としては、次の2つに分かれます。

  1. 開示に同意するとの回答をする
  2. 開示に不同意(拒否)の回答をする

 

MEMO

意見照会書に対して無視すること(回答しない)はお勧めしません。無視することは、開示請求について反論がないと取り扱われる可能性がありますし、悪質として刑事処分の対象になる可能性は高くなってしまうからです。

 

それぞれの回答をした後の流れは、次のようになります。

パターン① 開示に同意すると回答

以上が開示に同意したときの流れです。開示に同意した場合は、基本的に示談交渉を行うことになります。

 

次に、開示に同意しない(拒否)と回答したときの流れです。このケースでは、開示請求が任意請求で行われているか、それとも裁判で行われているかで少し異なります。

パターン② 開示に同意しないと回答(任意請求)

 

パターン③ 開示に同意しないと回答(裁判)

 

同意・不同意はどのように決めればよいか

同意・不同意(拒否)どちらの回答が適切かは、概ね次のように考えることになります。

①同意すると回答するのが適切なケース
  • 開示請求が裁判で行われている
  • 一刻も早くトラブルを終わらせたい
  • 逮捕など刑事処分を受けるリスクを避けたい など

 

②不同意(拒否)と回答するのが適切なケース
  • 自分の個人情報が相手に伝わるのをできる限り避けたい
  • トレントの使用に身に覚えがない
  • ダウンロードしたと指摘されているファイルに心当たりがない
  • ダウンロードに違法性がないと認識している など

 

一般的には以上のとおりですが、適切な回答はケースによって異なってきますし、プロバイダへの回答は後から撤回ができませんので、可能な限り弁護士に相談して決めることをお勧めします。

 

 

プロバイダへの回答方法

同封された回答書で回答する

プロバイダからの意見照会書には、以下のような回答書のひな型が同封されていることが一般的です。

(回答書の例)

実際には、この回答書にプロバイダの管理番号などが記載されています。プロバイダの管理に必要ですから、必ずこの回答書を利用して回答するようにしましょう。

トレント(torrent)の発信者情報開示請求は拒否できる?不同意の理由について解説

 

回答期限を守る

プロバイダへの回答には回答期限が定められています。

ほとんどのプロバイダは書類到着日から2週間と設定されていることがほとんどです。
ただ、中には書類到着日から1週間とかなり短く設定されているプロバイダ(代表的にはソニーネットワークコミュニケーションズ(ソネット)など)こともありますから、回答期限は必ず確認しましょう。

(2024年5月3日追記)
ソニーネットワークコミュニケーションズ(ソネット)の回答期限が、開示請求が裁判でなされたケースで2週間となったようです。ただし、任意請求のケースでは従来通り1週間となっているようですのでご注意ください。

なお、ほとんどのプロバイダは書類到着日からの期限として設定していますから、いつ書類が自宅に届いたかは把握しておく必要があります。

もし回答期限内に回答ができない場合は、プロバイダへその旨を連絡しましょう。プロバイダによっては回答期限を延長してもらえることもあります。

 

プロバイダとの契約名義人が家族・同居人の場合

プロバイダからの意見照会書は、契約名義人宛てに届くことになります。

しかし、インターネット回線は同居の家族が使用することも多く、その場合は契約名義人と実際のトレントの使用者が異なることも珍しくありません。

このようなケースがあることはプロバイダも把握しています。ただ、その場合の対応方法については、プロバイダによって指定内容が違ってきます。

基本的には、「実際のトレントの使用者から回答してほしい」との指定があることがほとんどです。この場合、意見照会書には「発信者(加入者のご家族・同居人)からの回答書」が添付されていることが一般的です。

一方、プロバイダによっては、「あくまで契約名義人から回答してほしい」との指定があることがあります。この場合は、実際のトレントの使用者の名義で回答したとしても有効な回答として取り扱われません。そのため、このようなケースでは必ず契約名義人の名義で回答する必要があります。

(発信者(加入者のご家族・同居人)からの回答書の例)

 

弁護士への依頼も検討すべき

プロバイダからの意見照会が来た時点で、弁護士に依頼されることも検討すべきと考えております。

弁護士への依頼によって、以下のメリットがあります。

  • 適切な方針を選択できる
  • (不同意の場合)不同意の理由の文章作成を依頼できる
  • 示談交渉を任せることができる
  • 家族や職場に知られずに対応することができる
  • 逮捕などのリスクを軽減することができる

トレント(torrent)で開示請求を受けたときに弁護士に相談するメリット

トレントに関する弁護士相談や対応の流れ

  1. まずは電話やウェブサイト、LINE等から法律相談の申し込みをしていただきます。
  2. その後、電話もしくは面談・ウェブ会議にて当事務所の弁護士が相談内容についてヒアリング等をさせていただき、事件の見通しやお見積りを法律相談の際に説明します。
    こちらから契約を強引に勧めることは一切なく、当日に契約する必要はございませんので、ご安心ください。
  3. 相談を受けてから実際に依頼することとなった場合には、相談者と弁護士との間に委任契約書を締結した後、着手金のお支払いをしていただきます。
  4. その後、当法律事務所の弁護士が回答期限までにプロパイダに対して回答書を送付します。非開示の場合は解決、個人情報が開示された場合は開示請求者との示談交渉を行い、示談によって解決へと導きます。

時間はどれくらいかかるの?

スケジュール感に関しては、非開示の場合は1~2週間、個人情報が開示された場合は示談交渉が1~2か月ほどかかりますので、ご理解ください。

また、勝訴率について規定によりお伝えすることができかねますので、ご了承ください。

 

これまでの実績と弁護士費用は?

当法律事務所では、WEBに関する知識のある弁護士が対応し、これまでに100件以上の実績がございます。

ファイル共有ソフトの使用に関する意見照会書を受領した方について、当事務所では次のような費用で対応を承っております。

●セカンドオピニオンの相談は可能?

もちろん可能です。

  • 質問に対して詳しく答えてくれなかった
  • 「すぐに開示に同意して示談金を支払うべき」と言われたが、方針についてもう少し検討したい
  • 非開示の可能性を探りたい

といった方のご相談も多数お受けしております。他事務所にない方針をご提案できる場合がございますので、まずは一度ご相談ください。

 

●相談の費用や相談までの日数は?

法律相談は初回30分に限り、無料です。

電話であれば、最短当日での対応も可能ですので、お気軽にご連絡ください。

 

 

>>トレントに関するよくある質問についてはこちらでも解説しています。

トレント(torrent)の発信者情報開示請求 よくある質問について専門弁護士が解説

 

ABOUT US

弁護士 渡辺泰央
弁護士 渡辺泰央
弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。