レビューサイトの運営と法的責任

商品サービスの”レビュー”を内容とするサイトが人気を集めています。

レビューの対象は食べ物家電などが中心ですが、コンビニで買えるものから高額商品に至るまで様々なものが取り扱われており、また、レビューを投稿する人”も、素人、アマチュアからその分野のプロフェッショナルまでいるようです。

レビューの形式も様々で、レビューの文章や画像をサイト上に掲載するほか、最近では、動画として撮影してYouTubeなどにアップロードされるものも増えています。

そこで今回は、レビューを投稿したり、レビューサイトを運営する際に気を付けるべき法律について紹介します。

 

嘘を書くことは名誉毀損(信用毀損)になる危険がある


レビューは販売者の広告とは違い、実際に買ったり使用したりした人の生の感想が聞けるという点で、人気を集めているものです。

素直な感想である以上、良くない部分、デメリットなどのネガティブな感想などが入り込んできます。

そのようなネガティブな評価を掲載すること自体は、違法なことではありません。

ただ、嘘を書くことはいけません。

例えば、使用したこともないのに、「使用して3日で壊れてしまった」とか「肌がボロボロになってしまった」などと書くことは、名誉毀損信用毀損)になることがあります。

サイトのコンテンツ量を増やしたいなどとして、実際と違う内容を書いてしまうと違法となってしまうことがあるのです。

他の人のレビューを参考に、あたかもそれを自分の体験のように書くことも「嘘を書いている」と評価される場合もありますので、真実でない内容を書くことには気を付けましょう。

 

営利目的を前面に押し出すことにも注意


レビューをネットに掲載する目的は人それぞれですが、最も多いのは広告収入だと思われます。

レビューサイトでは、レビューの対象となった商品の広告リンクをページ上に掲載する形が典型でしょう。

しかし、そのような「営利目的」を前面に押し出すことには注意しましょう。

ネガティブな内容のレビューが法的に許される理由のひとつに、”「公益目的」が認められるため”という点があります。

公益目的」とは、”社会全体の利益”程度の意味で、レビューにも、「公益目的」が認められることがあります。

しかし、広告収入しか考えていないような表現のレビューを投稿してしまうと、それは完全な「営利目的」であって、”「公益目的」はない”と判断される可能性があるのです。

そのため、例えば広告リンクのクリックを目指すあまり、広告の商品を持ち上げ他社製品を不当に貶めるようなレビューを投稿してしまうと、やはり名誉毀損と判断されることがあります。

 

ステマの問題点


インターネット上では、いわゆる「ステマステルスマーケティング)」が少なくないといわれています。

サイト広告によって得られる収入は商品ごとに違いますから、レビューサイト運営者としては、より収入の高い広告をクリックしてもらえるよう工夫したレビューを投稿することもあるでしょう。

そして、レビューサイトによる「ステマ」を直接禁止するような法律はありません。

一般的な広告規制を定めた景表法(不当景品類及び不当表示防止法)が規制しているのは「自己の供給する」商品又はサービスに関する表示だからです。

レビューサイト「自己の供給する」商品又はサービスに関する表示ではありませんから、景表法の規制が及ばないのです。

 

しかし、商品を良く見せる分にはどのような表現でも許されるかというと、そうではありません。

広告を信頼して取引を行った者に損害が出たとき、その広告の記載と損害との間に因果関係があると認められれば、広告を作成した者にも責任が認められることになります。

実際、過去の事例でも、広告媒体そのものに法的な責任があり得ることを認めた判例もあります。

ポジティブな評価だからいい”とか”ステマは違法ではない”などという説明もときどき見られますが、内容によっては法的なリスクもありますので、注意しましょう。

 

削除請求に強いレビューを


インターネット上のレビューは、その商品やサービスを提供している事業者にとっては重大な関心事になることもありますから、ネガティブな内容のレビューに対しては削除請求が多いというのも事実です。

しかし、ネガティブなレビューすべてが違法になるわけではありません。

また、ネガティブな情報も集めたいためにレビューサイトを見る人も多くいるわけですから、全部の削除請求に応じていては、魅力的なコンテンツはなくなってしまいます。

 

レビューの適法違法に影響するポイントを押さえ、幅広い内容のレビューを掲載することが、レビューサイトの成功につながるでしょう。

 

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渡辺 泰央

渡辺 泰央

上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録(第二東京弁護士会)。 ウェブサービス、スマートフォンアプリをはじめとするIT関連、デジタルコンテンツ関連案件の訴訟、紛争や意見書作成、契約書作成、著作権侵害性リサーチなどを得意とする。