トレント(torrent)で逮捕される?されない? 逮捕の基準や逮捕者の事例を解説!
トレント(torrent)などのファイル共有ソフトを悪用したとして、逮捕や書類送検されたという報道を目にしたことがある方も多いと思います。
また、この記事をご覧の方は、以下に該当する方もいらっしゃると思います。
・過去にトレントを利用したことがあり逮捕の可能性があるか知りたい
・トレントの使用で開示請求を受け、逮捕されないか不安
そこでこの記事では、トレントの使用における逮捕の基準や過去の逮捕・書類送検の事例についても解説します。

トレントの使用で逮捕される基準
トレントを使用することで逮捕されることはあります。
もっとも、あらゆるトレント(torrent)の使用が逮捕されるわけではありません。逮捕は法律に定められた手続ですから、法的に逮捕の基準を満たしているかどうかで判断されます。
トレントの使用の場合、逮捕されるかどうかの基準は以下のようなものになります。
これらを順番に解説していきます。
トレントを使用して犯罪にあたる行為を行っていたか
逮捕が実施されるためには、犯罪の嫌疑があることが大前提です。
著作権侵害の罪もここでいう「犯罪」に該当します。
本来は料金を支払って楽しめるもの(市販の漫画や有料動画、AV(アダルトビデオ)など)をトレントでダウンロードしていた場合、その行為は著作権侵害の犯罪に該当し得るものですから、犯罪の嫌疑は認められる可能性は高いといえます。
なお、トレントの使用で著作権を侵害した場合、違法ダウンロードのみならず、違法アップロードの責任も負うことになります。トレントでは、ダウンロード中のユーザー(リーチャー)であっても、ダウンロード済みのデータ(ピース)をアップロードするという仕組みになっているためです。
逃亡又は証拠隠滅のおそれがあるか
逮捕は罪に対するペナルティではなく、逃亡や証拠隠滅を防ぐために行われるものです。そのため、逮捕は逃亡又は証拠隠滅のおそれのどちらかがある場合に実施されることになります。
一つの家に定住しており定職にも就いているとか、捜査に協力している場合には逮捕の可能性は低下するといえます。逆に、住まいや職を転々としている人や、捜査に非協力的な態度をとっているような場合には、逮捕の可能性は高くなるといえます。
トレント使用者が特定されているか
トレントには一定の匿名性があります。そのため、著作権侵害の行為があったとしても、トレント使用者が特定されていなければ逮捕には至りません。
しかし、トレント使用者のIPアドレスを調査することは可能ですし、そのIPアドレスを割り当てたプロバイダから情報を得ることは可能です。
そのため、警察のプロバイダに対する捜査によって犯人が特定されることがあります。
また、警察によらなくとも、著作権者がプロバイダに対して発信者情報開示請求を行うことによって犯人特定に至ることもあります。この場合、著作権者が警察に対して犯人の情報を提供をすることで、逮捕に至る可能性があります。
いずれにしても、トレントの使用者が特定されているかは、逮捕の有無に影響を与えるといえます。
告訴が受理されているかどうか
著作権侵害の罪は、原則として「親告罪」つまり告訴されていなければ起訴できない犯罪です。
告訴とは、簡単にいえば被害者が警察に対して被害の申告と犯人の処罰を求める意思表示で、告訴状を提出する方法で行われることが一般的です。
告訴状が提出され警察によって受理された場合、それは犯罪として捜査が行われることを意味します。この場合は、犯人の逮捕に至る可能性も高いといえます。
なお、(親告罪であっても)告訴は警察の捜査の条件ではありません。そのため、逮捕を免れることを第一に考えるのであれば、やはり示談するなどして告訴の可能性を排除しておくことが無難でしょう。
トレントの使用で逮捕された後に受ける処分
トレントの使用によって逮捕された場合の流れは、以下のようになります。
仮に不起訴になったとしても、最長で23日間の身柄拘束を受ける可能性があります。また、他の余罪などで再逮捕を受けることもあり、その場合は更に身柄拘束期間は延長されます。
勾留の満了日までに取り調べなどの捜査を受け、検察官が起訴するか、不起訴とするのかの決定をします。
著作権法では、以下の刑事罰が規定されています。
違法アップロード
10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれらの両方(著作権法119条1項)
違法ダウンロード
2年以下の懲役若しく200万円以下の罰金又はこれらの両方(著作権法119条3項)
仮に起訴された場合は、裁判によって刑の内容が確定します。
なお、検察官によって「略式起訴」がなされることがあります。これは、罪を認め、罰金を支払うことを認めることで、裁判を開かずに事件を終結させるものです。著作権侵害の事件については、実際にはこの略式起訴が選択されるケースが多いようです。
ただし、通常の起訴でも略式起訴でも罰金刑を受けることに変わりはありませんから、いわゆる「前科」がついてしまうことには注意が必要です。
過去の逮捕・書類送検の事例
トレントの事例
漫画ファイルの違法アップロードで送致(2019年3月)
ファイル共有ソフト「BitTorrent」を通じて、株式会社講談社が発行する『「鬼灯の冷徹」第26巻(電子版)』及び株式会社集英社が発行する『「僕のヒーローアカデミア 18巻」』を無断でアップロードしたとして、長崎県の30代男性が著作権法違反(公衆送信権侵害)の疑いで長崎地検に送致されました。
(報道記事)
「BitTorrentを通じて漫画ファイルをアップロード、男性送致」(ACCS)
アニメ動画やテレビ番組の無断配信で逮捕(2019年4月)
「BitTorrent(ビットトレント)」を使用して「ワールドトリガー」などのアニメ番組やテレビ番組を無断配信したとして、当時29歳の男が逮捕されています。この事例では、アニメのほかにもやテレビ番組など計約170作品を公開しており、被害額は約18億円に上るとされています。
(報道記事)
「人気アニメを違法公開の疑い「高画質、見て欲しかった」」(朝日新聞デジタル)
PCゲームやアニメ動画の無断配信で検挙(2021年6月)
トレント(torrent)を使用してPCゲームやアニメ動画を違法にアップロードしたとして、3名が検挙されています。トレント(torrent)においてゲームをアップロードした者の検挙は、この事例が世界初だとのことです。
(報道記事)
「世界初!『トレント』でゲームをアップロードした3名を検挙(栃木県)」(EOCS)
アニメ動画の無断配信で書類送検(2021年11月)
「BitTorrent(ビットトレント)」を使用して「ガンダム」のアニメ映画を違法アップロードしたとして、男性3名が書類送検されています。3名はそれぞれ「コロナ禍の影響で劇場に行けず見てしまった」「普段からソフトを使用していた」「コロナ禍でお金がなくなり節約のためだった」などと供述していたといいます。
(報道記事)
「ガンダム映画をネットに違法アップロード 容疑の男3人書類送検 茨城県警」(Yahoo!ニュース)
※リンク先はアーカイブページです。
Share(シェア)の事例
「Share」も「トレント(torrent)」に並ぶメジャーなファイル共有ソフトであり、多数の逮捕者が出ています。
アニメ動画の無断配信で逮捕(2013年4月)
「Share(シェア)」を使用して「アクセル・ワールド」などのアニメ動画を違法にアップロードしていた男性(当時34歳)が逮捕されています。この男性は、アニメーションや映像などの約1000ファイルをアップロードしていたとされ、容疑を認めているといいいます。
(報道記事)
「Shareでアニメファイルを違法アップロードした男性を逮捕」(マイナビニュース)
アニメ音楽の無断配信で逮捕(2016年11月)
「Share」を使って音楽ファイルなどをを違法公開したとして、当時51歳の男が逮捕されています。報道によると、約2000ファイル、3TB以上のアニメ音楽・動画などをダウンロードし、無許諾でネット上に公開していた疑いがあるとのことです。
(報道記事)
「アニメ音楽など10年にわたり「Share」で違法アップロード 埼玉県の51歳の男を逮捕」(ITmedia NEWS)
Winny(ウィニー)の事例
ファイル共有ソフトによる著作権侵害の問題が認知されるようになったきっかけが、「Winny」による違法行為です。
2003年、ゲームソフトなどのファイルを違法にアップロードしたユーザーが逮捕されました。この事件は、ファイル共有ソフトを使った違法行為に対する2例目の逮捕(1例目は下記の「WinMX」の事例)でした。
(報道記事)
「ファイル交換ソフト「Winny」で初の逮捕者,著作権侵害や帯域圧迫の歯止めになるか」(日経BP)
WinMX(ウィンエムエックス)の事例
「Winny」と並び、インターネット黎明期から多くのユーザーが利用していたのが「WinMX」とよばれるファイル共有ソフトです。
2001年、「Adobe Photo Shop」をはじめとしたアプリケーションを多数アップロードし、不特定多数のユーザーがダウンロード可能な状態にしていたことで男性2名が逮捕されました。
ファイル共有ソフトによる著作権侵害の初の逮捕者が出た事例であり、当時は大きなニュースとなりました。
(報道記事)
「「WinMX」にメス──ファイル交換ソフトで逮捕者」(ITmedia NEWS)
PerfectDark(パーフェクトダーク)
「PerfectDark」は2006年に登場したファイル共有ソフトで、後発にあたることから「Winny」や「Share」などで指摘されていた課題を改善したソフトウェアです。
名前が表す通り匿名性が担保されていることで知られていましたが、2010年には「PerfectDark」でアニメ動画を違法にアップロードした初の逮捕者が現れます。
(報道記事)
「ファイル共有ソフト「パーフェクトダーク」初摘発 アニメ公開男を逮捕」(産経ニュース)
※リンク先はアーカイブページです。
最近では、2022年に音楽ファイルを公開していた50代の男性が書類送検されています。
(報道記事)
「栃木県警がファイル共有ソフトを用いた音楽ファイルの違法アップロード者を書類送検」(JASRAC)
>>トレントに関するよくある質問についてはこちらでも解説しています。

トレント(torrent)使用で開示請求|適切な対処法や回答後の流れを専門弁護士が解説
トレント(torrent)の使用で開示請求を受け、プロバイダから発信者情報開示請求に係る意見照会書を受け取ったというご相談が増えています。
・意見照会書にどう回答したらよいか分からない
・今後の流れがどのようになるのか不安
・逮捕されるのではないか
多くの方が、このような悩み・不安を感じます。
そこで今回は、トレントを使用で開示請求を受けたときの対処法やその後の流れについて、トレントの法律問題に強い弁護士が解説します。
「意見照会書」とは何か
プロバイダからの通知書は、正式には「(発信者情報開示に係る)意見照会書」と呼ばれるものです。
これは、開示請求を受けたプロバイダが、そのインターネット回線の契約者に対して送付するものです。
内容としては、⑴開示に同意するか不同意とするか、⑵不同意とする場合はその(拒否の)理由は何かを照会する(意見を聞く)ものです。
プロバイダがこのような手続を行うことは法律上の義務となっています。
つまり、この意見照会書が届いたということは、あなたの契約者情報ついて、(権利侵害を受けたことを理由に)開示請求をしている人がいるということになります。
(意見照会書の例)
この時点で、少なくとも法律問題になっていることは確かですから、慎重に対応しなければならないことはいうまでもありません。
トレントの使用で開示請求を受けたときの対処法
意見照会書が届いたときは、まずは記載内容を確認したうえ、プロバイダへの回答の方針を決めることが必要です。
意見照会書で確認すべき事項
意見照会書の記載にはすべて目を通すことが望ましいといえますが、最低限確認すべきことは、以下の5点です。
意見照会書で確認すべき事項
- ① プロバイダ名(会社名)
- ② プロバイダとの契約名義人(本人か家族か)
- ③ 回答期限
以下、確認方法や確認すべき理由を解説します。
① プロバイダ名(会社名)
発信者情報開示請求に対してどのような対応をしているかは、プロバイダによってかなりの差があります。例えば、電話をすることである程度の相談に応じてくれるところもある一方、問い合わせ先の記載もなく現在の状況を聞くことすらできないというところもあります。
また、トレントを使用したのが同じPCであっても、その際に使用した回線によってプロバイダが異なることがあります。例えば、自宅で同じPCを使用していても、自宅の固定回線を使っていた場合とスマホのテザリングを使っていた場合では、意見照会書を送付してくるプロバイダは異なります。
そのため、意見照会書を送付してきたプロバイダ名は確認しておきましょう。
プロバイダ名は、多くのケースで以下の部分を確認することで可能です。
② プロバイダとの契約名義人
トレントの使用者(発信者)は、必ずしもプロバイダとの契約の名義人ではありません。典型例は、同居の親族がプロバイダとの契約名義人である場合です。
このような場合に、プロバイダに対して誰の名義で回答するべきかは、プロバイダによって異なります。
そのため、プロバイダとの契約名義人も必ず確認しましょう。
契約名義人は、多くのケースで以下の部分を確認することで可能です。
③ 回答期限
回答期限は必ず確認しましょう。回答期限を過ぎた場合、開示請求の手続に発信者側の意向が全く反映されないことになりかねません。
回答期限は、多くのケースで以下の部分を確認することで可能です。
プロバイダへの回答方針とその後の流れ
方針としては、次の2つに分かれます。
プロバイダへの回答方針
- 開示に同意するとの回答をする
- 開示に不同意(拒否)の回答をする
意見照会を無視する方針は?
意見照会書に対して無視すること(回答しない)はお勧めしません。無視することは、開示請求について反論がないと取り扱われる可能性がありますし、悪質として刑事処分の対象になる可能性は高くなってしまうからです。
それぞれの回答をした後の流れは、次のようになります。
パターン① 開示に同意すると回答
以上が開示に同意したときの流れです。開示に同意した場合は、基本的に示談交渉を行うことになります。

パターン② 開示に同意しないと回答(任意請求)
次に、開示に同意しない(拒否)と回答したときの流れです。このケースでは、開示請求が任意請求で行われているか、それとも裁判で行われているかで少し異なります。
パターン③ 開示に同意しないと回答(裁判)
同意・不同意はどのように決めればよいか
同意・不同意(拒否)どちらの回答が適切かは、概ね次のように考えることになります。
同意すると回答するのが適切なケース
- 開示請求が裁判で行われている
- 一刻も早くトラブルを終わらせたい
- 逮捕など刑事処分を受けるリスクを避けたい など
不同意(拒否)と回答するのが適切なケース
- 「権利侵害の明白性」が認められないことを反論できる
- IPアドレス等の取得に疑義があることを適切に反論できる など
一般的には以上のとおりですが、適切な回答はケースによって異なります。
プロバイダへの回答方法
同封された回答書で回答する
プロバイダからの意見照会書には、以下のような回答書のひな型が同封されていることが一般的です。
(回答書の例)
実際には、この回答書にプロバイダの管理番号などが記載されています。プロバイダの管理に必要ですから、必ずこの回答書を利用して回答するようにしましょう。

回答期限を守る
プロバイダへの回答には回答期限が定められています。
ほとんどのプロバイダは書類到着日から2週間と設定されていることがほとんどです。
ただ、中には書類到着日から1週間とかなり短く設定されているプロバイダ(代表的にはソニーネットワークコミュニケーションズ(ソネット)など)こともありますから、回答期限は必ず確認しましょう。
(2024年5月3日追記)
ソニーネットワークコミュニケーションズ(ソネット)の回答期限が、開示請求が裁判でなされたケースで2週間となったようです。ただし、任意請求のケースでは従来通り1週間となっているようですのでご注意ください。
なお、ほとんどのプロバイダは書類到着日からの期限として設定していますから、いつ書類が自宅に届いたかは把握しておく必要があります。
もし回答期限内に回答ができない場合は、プロバイダへその旨を連絡しましょう。プロバイダによっては回答期限を延長してもらえることもあります。
プロバイダとの契約名義人が家族・同居人の場合
プロバイダからの意見照会書は、契約名義人宛てに届くことになります。
しかし、インターネット回線は同居の家族が使用することも多く、その場合は契約名義人と実際のトレントの使用者が異なることも珍しくありません。
このようなケースがあることはプロバイダも把握しています。ただ、その場合の対応方法については、プロバイダによって指定内容が違ってきます。
基本的には、「実際のトレントの使用者から回答してほしい」との指定があることがほとんどです。この場合、意見照会書には「発信者(加入者のご家族・同居人)からの回答書」が添付されていることが一般的です。
一方、プロバイダによっては、「あくまで契約名義人から回答してほしい」との指定があることがあります。この場合は、実際のトレントの使用者の名義で回答したとしても有効な回答として取り扱われません。
そのため、トレント使用者と契約名義人が異なる場合は、プロバイダの指定を間違いなく確認しましょう。
(発信者(加入者のご家族・同居人)からの回答書の例)
>>トレントに関するよくある質問についてはこちらでも解説しています。

発信者情報開示請求の流れをインターネットに強い弁護士が解説!
みなさんも、インターネットの誹謗中傷で犯人が特定されたという話は、一度は聞いたことがあると思います。
犯人が書類送検されたとか、損害賠償が認められた、という報道を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際にインターネットを見ると、実名で誹謗中傷をしているというケースはほとんどありません。
それでも、誹謗中傷の犯人が特定され、法的措置がとられているのは、多くのケースで発信者情報開示請求という制度が利用されているからです。
そこで今回は、発信者情報開示請求とはどのような制度なのか、制度の概要と犯人特定までの簡単な流れなどを解説していきたいと思います。
発信者情報開示請求とはどのような制度か
発信者情報開示請求は、簡単にいうと、匿名でネットに情報を発信した人の(個人)情報を得るための制度です。
ただ、あらゆる情報発信について、情報開示の対象になるわけではありません。
発信者情報開示請求で情報が開示されるのは、他人の権利を侵害する情報をネット上に公開した人に限られます。
ここでいう他人の権利の典型としては、名誉権やプライバシー権、著作権などがあげられます。
例えば、「○○さんは不倫している」という投稿は、名誉毀損(名誉権侵害)やプライバシー権侵害に該当する可能性があります。
また、漫画を違法アップロードするような行為は、著作権侵害に該当します。
あくまで、法律からみて「権利侵害がある」といえることが必要ですから、例えば、単に「人を不快にさせた」とか、「他人の意見と違う意見を主張した」というだけでは情報開示の対象にはなりません。
また、ネット上に情報を「公開」したことが必要ですから、電子メールやダイレクトメッセージ(DM)を送っただけという場合も、情報開示の対象にはなりません。
迷惑なメールやDMを送りつけられるという被害は後を絶ちませんが、このようなケースでは発信者情報開示請求を利用することはできないというのが現状です。
発信者情報開示請求は「誰に対して」なされるのか
発信者情報開示請求は、コンテンツプロバイダと経由プロバイダに対して行われます。
「コンテンツプロバイダ」というのは、権利侵害の情報が掲載されたSNSや動画投稿サイトの運営会社を指します。
例えば、ツイッターであればツイッターインク、YouTubeであればグーグルエルエルシーが運営会社となります。
「経由プロバイダ」というのは、世間一般でいう、いわゆるプロバイダです。
例えば、DOCOMOやKDDI、ソフトバンクのほか、NTTコミュニケーションズ、ビッグローブなどが該当します。
このように、発信者情報開示請求はコンテンツプロバイダや経由プロバイダに対して行われるものですから、例えば権利侵害の投稿をしているアカウント宛に「あなたを訴えるので本名や住所を教えてください」とDMを送るような行為は、発信者情報開示請求ではありません。
また、発信者情報開示請求の裁判になった場合、被告になるのはこれらのコンテンツプロバイダや経由プロバイダなので、発信者に裁判所から直接開示請求の書類が届くということもありません。
(発信者に直接届く書類は「意見照会書」というものですが、これは裁判所からではなくコンテンツプロバイダや経由プロバイダから届きます。)
発信者情報開示請求で開示されるのは「どのような情報」か
発信者情報開示請求を使っても、発信者に関するあらゆる情報を開示できるわけではありません。
開示できる情報というのは、法令であらかじめ決まっています。
正確には総務省令を見ていただく必要がありますが、代表的なものは次のとおりです。
この法令に書かれていないもの、例えば職場の情報や、クレジットカードの番号、預金口座の情報などは、発信者情報開示請求で開示できる情報ではありません。
発信者情報開示請求は「誰が」できるのか
発信者情報開示請求は、基本的には、権利侵害の被害者しか行うことができないものになっています。
例えば、友達が誹謗中傷を受けているから、自分が代わりに発信者情報開示請求をしてあげる、ということはできません。
つまり、このことは、被害者自身が動かなければ犯人は特定できないということを意味します。
警察が独自に調査しないのか、と疑問に思った方もいると思います。しかし、警察がインターネットを監視して、誹謗中傷について自発的に捜査を行うということはほとんどありません。
警察もそこまでする人員はありませんし、そういうことをしてしまうと表現の自由に関する問題も出てきてしまうからです。
もちろん、殺人予告や爆破予告、児童の性犯罪に関するものついては積極的に捜査がされています。
しかし、それ以外のものについては、警察が自発的に行動することはあまりない、というのが現状です。(もちろん、被害者の被害届や告訴が受理されたときは、警察は捜査を行います。)
発信者情報開示請求の流れ
基本的に、発信者情報開示請求には二つの段階があります。
一段階目は、SNSや動画投稿サイトの管理会社のような、コンテンツプロバイダに対して開示を求める段階です。
二段階目は、DOCOMOやKDDIなどの経由プロバイダに対して開示を求める段階です。
①コンテンツプロバイダに対する開示請求

誹謗中傷の犯人を特定するためには、まず、問題となっている情報が掲載されたSNSなどに対して発信者情報開示請求を行います。
このときに求める情報は、主にIPアドレスやタイムスタンプなどです。
はじめから発信者の氏名や住所の開示を求めればいいのではないか、と思った方もいると思います。
しかし、コンテンツプロバイダは基本的にそれらの情報を保有していません。みなさんも、SNSに会員登録するとき、本名や住所を登録することはあまりないと思います。
そのため、まずはコンテンツプロバイダに対してIPアドレスなどの開示を求めることになります。
②経由プロバイダに対する開示請求

コンテンツプロバイダから開示されたIPアドレスを調べると、投稿に利用された経由プロバイダが判明します。
こうして割り出された経由プロバイダに対して、二段階目の発信者情報開示請求を行います。
経由プロバイダは、発信者の氏名や住所などの情報を保有しています。
携帯電話やインターネット回線の契約をするときには申込書に氏名や住所を書きますから、このことはイメージしやすいと思います。
経由プロバイダの持っている情報の開示の受けることで、初めて誹謗中傷の犯人が特定することが一般的です。
なお、発信者本人が開示に同意しない限り、ほとんどの経由プロバイダは個人情報を任意に開示するということはありません。したがって、発信者の氏名や住所などの情報を得るためには、基本的には裁判をする必要があります。
(裁判で、開示せよという判決が出ればさすがに経由プロバイダも情報を開示してくれます。)
この裁判は、判決がでるまで早くても4~6か月ほどかかりますから、犯人特定までには、それなりに時間がかかることは覚悟しておく必要があります。
おわりに
以上が発信者情報開示請求の概要についての説明です。
もちろん、細かい論点はたくさんありますが、大まかな流れは以上のとおりです。
もっと詳しく知りたいという方は、当サイトの別の記事もぜひ参考にしてください。
当事務所では、発信者情報開示請求に多数の実績があります。
発信者情報開示請求をお考えの方は、ぜひ一度お問い合わせください。
Googleマップの口コミを削除する方法はある?口コミ対策を解説
お店の場所を知りたい、目的地までの経路を調べたい、そんなときにGoogleマップは非常に便利なサービスです。
ビジネスを提供する側にとってもGoogleマップは便利なものですが、場所の情報と同時に表示される口コミについては頭を悩ませるタネにもなります。
・ウソの口コミによる業務妨害を受けている
・何度も同じ内容の口コミが投稿されるなどの嫌がらせを受けている
・Googleに削除申請を出しているが削除されない
・Googleの口コミ対策を誰にお願いしてよいかわからない
この記事では、Googleマップの口コミ投稿で業務妨害、嫌がらせを受けているときの対処法を網羅し、徹底的に解説しています。
Googleマップとは
Gooleマップ(Google Maps)とは、Google LLC が提供する地図サービスです。
地図上にはレストラン、店舗、企業、病院などの施設が表示されますが、その場所をクリック(タップ)することで、施設の情報を見ることもできます。
ここで見ることができる情報は、次のようなものです。
Google Map に掲載されるビジネス情報
- 会社や店舗の名称
- 住所の表示
- 営業日・営業時間
- 電話番号
- ウェブサイトのアドレス
- 口コミ など

※Googleマップでの情報の表示の例
これらの情報は、Google LLCが独自に集めたものもありますが、一般ユーザーによって投稿されたものも多く含まれています。
そのため、情報が間違っているということも珍しくありません。
(施設の管理者は、Googleマイビジネスという別のサービスを利用すれば、正しい営業日時などを登録することができます)
Googleマップの口コミ(レビュー)とは
Googleマップの口コミは、一般ユーザーが投稿するものです。
口コミを投稿する際は、文章に加えて、星の数によるレーティングも行います。文章を投稿せず、星によるレーティングだけを投稿することもできます。

口コミは、Googleアカウントを持っているユーザーであれば誰でも投稿できます。
投稿の際に実名を表示する必要はなく、Googleが口コミの内容を事前に審査するわけでもありません。
ユーザーの「生の声」が表示されるというメリットがある反面、嘘の内容や攻撃的な投稿による営業妨害、誹謗中傷、競合他社によるネガティブキャンペーンができてしまうというデメリットがあります。
この点がビジネス提供者の頭を悩ませるGoogleマップの問題点といえるでしょう。
Googleマップの口コミ対策が重要な理由
Googleの検索エンジンは日本でも圧倒的1位のシェアを持ち、そのシェア率は日本で75%を超えるといわれています(本記事執筆時点)。
第2位のYahoo!が16%程度といわれていますから、Googleのシェアが圧倒的であることがわかります。
つまり、インターネットでご自身のビジネス(レストランや病院)が検索された場合、そのほとんどがGoogle検索であり、そのとき同時にGoogleマップの口コミが表示されているといえるのです。

せっかく自分のビジネスを検索してくれたのに、悪い口コミ評価が出たために利用をためらうという事態は容易に想定できます。
特にネット集客に力を入れている事業者の方にとって、この事態は深刻です。
この意味で、Googleマップの口コミ対策はこの時代のビジネスにとって非常に重要といえるのです。
Googleマップの口コミ対策の種類
Googleマップの口コミ対策にはいくつか種類があり、大きく2つに分かれます。
「法律に基づく対策」と「法律に基づかない対策」です。
このうち、法律に基づかない対策は弁護士でない企業や業者であっても行うことができます。
一方、法律に基づく対策は、(本人以外が行う場合は)弁護士でないとできません。
まれに弁護士でない企業や業者が「Googleへの削除申請を代行する」などと広告していることがありますが、この行為は明らかな法律違反(弁護士法違反)となります。
どの対策をとればよいか
このように、Googleマップの口コミ対策にはいくつか種類がありますが、どの方法が最適なものかはケースによって違ってきます。
法律に基づく対策が必要なケース
法律に基づく対策が必要なケースは、次の場合です。
・悪い口コミをどうしても削除したい場合
・投稿者個人を特定する必要がある場合
悪い口コミをどうしても削除したい場合
ポジティブなレビュー(口コミ)の投稿を多数行えば、悪い口コミが埋もれていくことが期待できますし、星の数の平均値も上がってきます。
しかし、このような対策をしても、悪い口コミが消えるというわけではありません。
悪い口コミそのものを削除する必要がある場合は、法律に基づく対策が必要になるでしょう。

どのような場合に法律に基づく削除が認められるか、またご自身で行う場合の削除申請の手順については、こちらの記事で解説しています。
投稿者個人を特定する必要がある場合
Googleマップの口コミは基本的に匿名で行われますが、Googleは投稿者の情報について任意に開示することはありません。
そのため、投稿者個人の特定が必要な場合も、法律に基づく対策を行うことになります。

投稿者個人の特定が必要な場合は、次のようなケースが典型です。
投稿者個人の特定が必要となるケースの例
- ひとり又は少数の者が悪い口コミ投稿を繰り返していると思われるケース
- 同業他社によるネガティブキャンペーンの可能性が高いケース
- 投稿者に対して損害賠償請求や刑事告訴を希望するケース
投稿者個人を特定する方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
法律に基づかない対策で足りるケース
悪い口コミの削除にこだわらない場合や、投稿者個人の特定までは必要ない場合は、法律に基づかない対策で足りるケースがほとんどでしょう。
とはいえ、弁護士でない企業や業者への依頼はリスクもあります。
企業や業者に依頼される場合は、そのリスクを十分に認識しておく必要があります。
当事務所では、Googleマップの悪い口コミの削除・犯人個人の特定に多くの実績があります。
Googleマップの口コミ投稿で営業妨害や嫌がらせを受けている方は、ぜひ一度当事務所までご相談ください。
発信者情報開示請求に拒否をした後の流れを任意請求と裁判に分けて解説
発信者情報開示請求(意見照会書)に対して拒否の回答をした後、どのような流れになるか気になる方もいると思います。
この記事では、拒否の回答をした後の流れや疑問について解説しています。
なお、この記事で使われている「任意請求」や「裁判」というの用語の意味を知りたい方や、そもそも意見照会書とは何かを知りたい方は、次の記事をご覧ください。
任意請求の場合
開示・非開示は誰が判断するか
開示請求が任意請求で行われている場合、拒否の回答を受け取ったプロバイダは自社で開示するかどうかを判断します。
もっとも、発信者側が拒否の回答をしている場合は、プロバイダの判断で開示の決定をすることはほとんどありません。
回答書の内容(拒否したことや拒否の理由)は開示請求者側に伝わるか
回答書の内容を開示請求者側に伝えるかどうかはプロバイダによります。
とはいえ、個人的な経験としては、ほとんどのプロバイダは回答書の内容を伝えていないという印象です。
なお、プロバイダが非開示の決定をしたということは、発信者側が開示に同意しなかったことを意味します。
そのため、開示請求者側としては、非開示の通知によって、発信者が開示に同意しなかった事実を知るというのが一般的です。
開示・非開示について結果は通知されるか
開示請求者側には、プロバイダから開示・非開示の結果が通知されます。
一方、発信者側に通知するどうかはプロバイダによります。
個人的な経験からすれば、発信者側に結果を通知するプロバイダはやや少ない印象です。
非開示の決定があった後の流れ
非開示の通知を受けた開示請求者は、手続きをそこで終わらせるか、開示請求の裁判に進むかを決めます。
裁判を起こすかどうかは開示請求者次第ですので、発信者側がその決定に関与できることはありません。
開示請求者側が任意請求をすることで目的を達成したと考えた場合は、裁判を起こさないこともあります。
任意請求を行う理由については、次の記事で解説しています。
開示請求者側が裁判を起こした場合は、改めて意見照会書が送付されてくることが一般的です。
ただ、「任意請求の段階で意見照会書を行ったから裁判の段階では改めて意見照会書は送らない」という運用のプロバイダもありますので、この点はプロバイダに電話などで確認しておくことが無難でしょう。
裁判の場合
開示・非開示は誰が判断するか
裁判に至っている場合、開示が認められるかどうかは裁判所が判断します。
発信者が開示に同意していなくても、開示を認める判決が言い渡された場合は発信者の情報は開示されます。
回答書はどのように取り扱われるか
開示請求が裁判に至っている場合、プロバイダは原則としてその回答書を証拠として裁判所に提出します。(回答書に発信者側の情報(氏名など)が記載されている場合は、提出のときにマスキングしてくれることがほとんどです。)
裁判所に提出された証拠は原告にも送られますから、これによって拒否の理由や添付した証拠は開示請求者側に伝わります。
回答後は発信者にできることはあるか
発信者側の言い分に対し、さらに開示請求者側が反論することがあります。
これに対して発信者側がさらに反論する機会はないと考えていいでしょう。
反論するにはプロバイダにこちらの反論を証拠として提出してもらう必要がありますが、プロバイダにそこまでの義務はないからです(一部のプロバイダでは、再度反論する機会を与えてくれるところもあります。)
なお、裁判を傍聴したり、訴訟記録の閲覧をすることで、どのような資料が提出されているか、またどのような訴訟指揮がされているかなどを確認することはできます。
これによって裁判の経過を見ることは可能です。
訴訟記録の閲覧についてはこちらの記事で解説しています。
判決が言い渡されるまでの期間
第一審の判決が言い渡されるまでの期間は、意見照会に回答してから3~6か月程度です。
ただ、控訴されたりすれば、実際に開示されるまでの期間はさらに伸びます。
なお、後述のとおり、開示を認める判決に対してプロバイダはほとんど控訴しません。
そのため、開示されるまでの期間が長くなるのは開示を認めないという判決が出たときがほとんどということができます。
裁判の結果は通知されるか
裁判の結果について発信者に通知するかどうかはプロバイダによってまちまちです。
個人的な経験からすれば、判決の結果は発信者側に通知してくれるプロバイダの方が多い印象です。
判決が言い渡された後の流れ
開示を認める判決が言い渡された場合、プロバイダはそれに従って発信者の情報を開示します。
プロバイダが控訴することはほとんどありません。
開示されてしまった場合は開示請求者側から直接連絡があります。
連絡の方法としては、代理人弁護士から内容証明郵便が届くことが多いでしょう。(これを受け取ったときに開示されたことを知ることも珍しくありません。)
開示請求者側の通知には、損害賠償についての記載があることがほとんどで、ここから示談についての交渉が始まります。示談については次の記事で解説しています。
示談交渉が決裂してしまった場合は、損害賠償の裁判になるでしょう。この裁判についてはこちらの記事で解説しています。
当事務所では、発信者側での発信者情報開示請求対応に多数の実績があります。
発信者情報開示請求を受けたけども対応を相談されたいという場合は、ぜひ一度お問い合わせください。
弁護士に依頼できることや費用の目安等についてはこちらをご覧ください。
発信者情報開示請求について、発信者側の解説記事についてはこちらをご覧ください。
著作権侵害の開示請求 拒否する場合の「不同意の理由」書き方を解説
「侵害された権利」の欄に「著作権」と書かれた意見照会を受け取ったとき、拒否(不同意)の理由の書き方がわからないという方がいらっしゃると思います。
この記事では、著作権侵害を理由とした発信者情報開示請求を受けた場合のよくある反論とその書き方について解説しています。(すべての反論について解説しているわけではありません)
著作権侵害の成立要件
法律上、著作権侵害(民事)が成立するためには、以下の要件が必要です。
① 著作物性がある
② 開示請求者が著作権を保有している
③ 法定利用行為がある
④ 権利制限規定にあたらない
この①~④いずれかが認められない場合にはプライバシー権は成立しません。そのため、開示請求を拒否(開示に同意しないと回答)する際は、このいずれかが認められないことを拒否の理由に記載することが有効です。
もっとも、実際に不同意の理由として記載するものは、①か④がほとんどです。そのため以下では①と④について解説します。
著作物性に対する反論
著作物性とは、その表現(作品)が著作権の保護を受けることを意味します。
著作物性のないものは、転載したりしても著作権侵害にはなりません。
そのため、転載した表現に著作物性がないことは開示請求に対する反論になり得ます。
ただし、イラスト、動画、写真、音楽などはほとんど著作権の保護を受ける(著作物性がある)といえます。そのため、これらの転載のケースではこの反論は難しいでしょう。(独創性の低い、家族のスナップ写真であっても著作物性が認められた裁判例があります(東京地判平成18年12月21日・知財高判平成19年5月31日〔東京アウトサイダーズ事件〕))
一方、文章については著作権の保護を受けるものと受けないものがあり、この反論が有効となるケースがあります。特に、短い文章で、かつ独創性(オリジナリティ)が強くないものは、著作権の保護を受けないと考えられる傾向があります。
そのため、「文章」について著作権侵害を主張されている場合は、反論として著作物性がないことを主張できる可能性があります。
「○○」という表現について著作権侵害を主張されていますが、「○○」は短文であり独創性が高いともいえません。そのため、著作物性が認められないと考えます。
権利制限規定に関する反論
権利制限規定とは
著作権の保護を受ける作品であっても、利用の仕方によっては著作権者の許諾を受けずにその作品を利用することができます。つまり、ある利用方法の下では著作権は制限される場合があります。
著作権が制限される場面は法律に規定があり、以下がその一覧です。(なお、このような規定を『権利(著作権)制限規定』といいます。)
• 私的使用のための複製(著作権法第30条)
• 付随対象著作物の利用(著作権法第30条の2)
• 検討の過程における利用(著作権法第30条の3)
• 著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用(著作権法第30条の4)
• 図書館等における複製・インターネットの送信等(著作権法第31条1項)
• 国立国会図書館における蔵書等の電子化、インターネット送信等(第31条第8項)
• 引用(著作権法第32条)
• 教科用図書等への掲載(著作権法第33条)
• 教科用図書代替教材への掲載等(著作権法第33条の2)
• 教科用拡大図書等の作成のための複製等(著作権法第33条の3)
• 学校教育番組の放送等(著作権法第34条)
• 学校その他の教育機関における複製等(著作権法第35条)
• 試験問題としての複製等(著作権法第36条)
• 視覚障害者等のための複製等(著作権法第37条)
• 聴覚障害者等のための複製等(著作権法第37条の2)
• 営利を目的としない上演等(著作権法第38条)
• 時事問題に関する論説の転載等(著作権法第39条)
• 政治上の演説等の利用(著作権法第40条)
• 時事の事件の報道のための利用(著作権法第41条)
• 裁判手続等における複製(著作権法第42条の2)
• 立法又は行政の目的のための内部資料としての複製等(第42条)
• 審査等の手続における複製(第42条の2)
• 情報公開法等による開示のための利用(著作権法第42条の3)
• 公文書管理法による保存等のための利用(著作権法第42条の4)
• 国立国会図書館法によるインターネット資料及びオンライン資料の収集のための複製(著作権法第43条)
• 放送事業者等による一時的固定(著作権法第44条)
• 美術の著作物等の原作品の所有者による展示(著作権法第45条)
• 屋外設置の美術の著作物、建築の著作物の利用(著作権法第46条)
• 美術または写真の著作物等の展示に伴う解説・紹介のための利用(著作権法第47条)
• 美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等(著作権法第47条の2)
• プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等(著作権法第47条の3)
• 電子計算機における著作物の利用に付随する利用等(著作権法第47条の4)
• 電子計算機による情報処理及びその結果の提供に付随する軽微利用等(著作権法第47条の5)
• 翻訳、翻案等による利用(著作権法第47条の6)
このうち、著作権侵害の開示請求を拒否する不同意の理由として利用できるのは「引用」です。
その他の規定は、特殊なケースでない限りは主張することは難しいといえます。インターネット上での転載は、公衆送信権・送信可能化権の侵害も問題となりますから、たとえ営利目的でなくても「私的使用のための複製」で正当化することはできません。
「引用」にあたるとの主張
他人の著作物の利用でも、その利用の仕方が「引用」にあたる場合は、著作権侵害は成立しません。
どのような場合に引用にあたるかは難しい議論がありますが、反論する際には以下の①~④すべてを記載することが望ましいといえます。
① 明瞭区別性
どこからどこまでが他から引っ張ってきたものかハッキリわかるようにするということです。引用符( “” )をつけたり、枠で囲んだりすることです。
② 主従関係
自分の作った部分がメイン(主)で、転載の部分がサブ(従)の関係にあることをいいます。
③ 引用の目的上正当な範囲内
引用の必要性と、その必要性との関係で適切な範囲を転載したかということです。
④ 出所の明示
出典元を明記することです。
引用を主張する場合の記載例については、次のようになります。
今回私が行った転載は、次のとおり「引用」として許されると考えます。
本件では、転載部分は引用符で区別していますし(①明瞭区別性)、分量としても、私の創作したコンテンツが記事の大部分を占めており、転載部分はわずかです(②主従関係)。
また、転載の目的は、その表現の内容を批評する目的ですが、転載した部分はその目的のため必要な範囲内といえます(③引用の目的上正当な範囲内)。
さらに、URLを記載する形で出典元は明記しています(④出所の明示)。
著作権侵害のケースでのよくある拒否理由の書き方の説明は以上のとおりですが、もちろん具体的な記載はケースによって違いますし、実際に文章にするのが難しい場合もあると思います。
意見照会書への回答について相談されたい方は、当事務所にぜひ一度お問い合わせください。
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プライバシー権侵害の開示請求 拒否する場合の「不同意の理由」書き方を解説
「侵害された権利」の欄に「プライバシー権」と書かれた意見照会を受け取ったときの、拒否(不同意)の理由の書き方について解説しています。
名誉毀損の成立要件
法律上、プライバシー権が成立するためには、以下の要件が必要です。
① 特定性(同定可能性)がある
② プライバシー権侵害成立の三要件が認められる
③ 違法性阻却事由がない
この①~③いずれかが認められない場合にはプライバシー権侵害は成立しません。そのため、開示請求を拒否(開示に同意しないと回答)する際は、このいずれかが認められないことを拒否の理由に記載することが有効です。
特定性(同定可能性)がないこと
プライバシー権侵害が成立するためには、その投稿が「開示請求者のことを指している」といえることが必要です(このことを「特定性(ないし同定可能性)」といいます。)。
そのため、「誰のことを指しているかわからない」あるいは「他の人のことを言っているとも読める」という場合には、特定性が認められず、名誉毀損は成立しないことになります。
書き方はケースによってまちまちですが、記載例としては以下のようなものになります。
- 投稿の対象者について、何も情報(氏名、性別、所属など)が書かれておらず、誰のことを言っているか読み取れない
- 「Wさん」とイニシャルが書かれているだけで、「W」に該当する人は複数いる
- 「経理部の女」と書かれているが、経理部の女性従業員は複数いる
- 「あのデブ」とだけ書かれているが、ふくよかな方は大勢いる
ただし、特定性は前後の文脈も含めて判断されます。
そのため、単にその投稿に書かれたものが「源氏名や伏字、イニシャルだけ」という主張だけでは特定性が否定されるとは限りません。
開示請求者側も、何か根拠があって「自分のことだ」と思っているわけですから、特定性の点で反論する場合は説得的な記載が必要になります。
プライバシー権侵害の要件が認められないこと
プライバシー権侵害は、一般的には次の3つの要件すべてがそろっている場合に成立するとされています。(プライバシー権侵害の要件について難しい議論はありますが、ここでは分かりやすさを優先した説明をしています。)
- 私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのあることがらであること
- 一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合、公開を欲しないであろうと認められることがらであること
- 一般の人々に未だ知られていないことがらであること
そのため、反論としては、これらのどれかが認められないという内容になります。
- 「○○」と書かれているが、「○○」すること自体は違法・不正な行為ではないし、公開されることで羞恥心を覚える内容でもない(②)
- 「○○」というのは、自分自身で公開していた内容であって、一般の人々に未だ知られていないとはいえない(③)
違法性阻却事由がある
違法性阻却事由というものがあると、プライバシー権侵害は成立しません。
プライバシー権侵害の場合、一般的には次の内容が認められれば違法性阻却事由があると考えられています。
その事実を公表する理由が公表されない法的利益に優越する場合
これをどう判断するかですが、様々な要素を総合して判断するとされています。
これまでの判例で例示された考慮要素は、次のようなものです。
- 公開された情報の性質や内容
- 情報が伝達される範囲
- 被害者が被る具体的な被害の程度
- 被害者の社会的地位
- 公開されたときの社会的状況や、その後の変化
- 情報を公開する必要性
- 公開された媒体の性質
これらの記載例は、以下のとおりです。
- 公開された情報の内容は「○○」というものであり、性質上必ずしも秘匿性の高いものではない(①)
- 情報の伝達範囲は、この掲示板の閲覧用パスワードを知るものに限られる。一般に公開されているわけではないから、その伝達範囲は広いとはいえない(②)
- ○○氏の負う不利益は、不快感程度のものである(③)
- ○○氏は●●という公益に関わる活動をしており、その社会的影響力も大きい(④)
- ○○氏は●●という公益に関わる活動に現実に従事しており、現在もその地位にある(⑤)
- ○○氏の活動は公の評価を受るべきものであり、公開された情報はその評価のため必要な情報である(⑥)
- 公開された媒体はニュースサイトであり、ゴシップサイトのようなものではない(⑦)
もっとも、これが認められるのは犯罪報道(逮捕や起訴の報道)や、公権力を行使する公務員(知事や議員など)の問題行為の公開などのケースに限られます。
単に大衆の興味を満たすような内容では違法性は阻却されないので注意しましょう。
プライバシー権侵害のケースでの拒否理由の書き方の説明は以上のとおりですが、もちろん具体的な記載はケースによって違いますし、実際に文章にするのが難しい場合もあると思います。
意見照会書への回答について相談されたい方は、当事務所にぜひ一度お問い合わせください。
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発信者情報開示請求について、発信者側の解説記事についてはこちらをご覧ください。
名誉毀損の開示請求 拒否する場合の「不同意の理由」書き方を解説
「侵害された権利」の欄に「名誉権」(名誉毀損)と書かれた意見照会を受け取ったときの、拒否(不同意)の理由の書き方について解説しています。
名誉毀損の成立要件
法律上、名誉毀損(民事)が成立するためには、以下の要件が必要です。
① 特定性(同定可能性)がある
② 投稿によって社会的評価が低下した
③ 違法性阻却事由がない
この①~③いずれかが認められない場合には名誉毀損は成立しません。そのため、開示請求を拒否(開示に同意しないと回答)する際は、このいずれかが認められないことを拒否の理由に記載することが有効です。
特定性(同定可能性)に対する反論
名誉毀損が成立するためには、その投稿が「開示請求者のことを指している」といえることが必要です(このことを「特定性(ないし同定可能性)」といいます。)。
そのため、「誰のことを指しているかわからない」あるいは「他の人のことを言っているとも読める」という場合には、特定性が認められず、名誉毀損は成立しないことになります。
書き方はケースによってまちまちですが、記載例としては以下のようなものになります。
- 投稿の対象者について、何も情報(氏名、性別、所属など)が書かれておらず、誰のことを言っているか読み取れない
- 「Wさん」とイニシャルが書かれているだけで、「W」に該当する人は複数いる
- 「経理部の女」と書かれているが、経理部の女性従業員は複数いる
- 「あのデブ」とだけ書かれているが、ふくよかな方は大勢いる
ただし、特定性は前後の文脈も含めて判断されます。
そのため、単にその投稿に書かれたものが「源氏名や伏字、イニシャルだけ」という主張だけでは特定性が否定されるとは限りません。
開示請求者側も、何か根拠があって「自分のことだ」と思っているわけですから、特定性の点で反論する場合は説得的な記載が必要になります。
社会的評価の低下に対する反論
名誉毀損が成立するためには、その投稿によって「社会的評価の低下したこと」が必要です。(社会的評価の低下とは聞きなれない言葉だと思いますが、「世間のイメージ・印象が悪くなる」程度の意味です。)
そして、社会的評価が低下は、(ネガティブな内容の)具体的事実が指摘されたときに発生すると一般的に考えられています。つまり、具体的事実の指摘がない、単なる意見だけでは基本的に社会的評価は低下しないと考えられています。
そのため、社会的評価の低下に対する反論としては、「具体的事実の記載がない(単なる意見である)」という主張が考えられます。
- 「ワンマン社長」と書かれているが、「ワンマン」経営それ自体は悪いことではない
- 「料理がまずい」と書かれているが、単に感想を書いただけで社会的評価が低下するとまではいえない
- 「ムカつく」と書いたが、単に主観を言っただけ
また、投稿記事の記載を不自然に解釈し、具体的事実の指摘があると主張されることがあります。そのような場合は、投稿記事の記載を読んだときの「自然な解釈」を反論として説明するのが効果的です。
開示請求者は、投稿記事のうち「料理が美味しくなかった」という記載について「腐った材料を提供しているという事実の指摘である」と主張しています。しかし、そのような解釈をすることは不自然であるといえます。この記載は、料理を実際に食べた客の「美味しくなかった」という意見を述べたに過ぎないと解釈することが自然です。
違法性阻却事由がある
違法性阻却事由というものがあると、名誉毀損は成立しません。
名誉毀損の場合、次の3つの要件すべてが認められれば違法性阻却事由があると判断されます。
- 表現の内容が公共の利害に関することがらであること
- その表現がもっぱら公益を図る目的でなされたこと
- 摘示された事実が真実であるか、真実と信じたことについて相当の理由があること
このうち、発信者情報開示請求との関係で最も重要なのは③であり、③を説明することで十分なケースが多いといえます。
ただし、③を効果的に説明するためには、証拠の提出を考える必要があります。
開示請求が任意請求の場合は証拠がなくても非開示にできるかもしれませんが、裁判になっている場合は証拠の提出がなければ厳しいといえます。
また、書き方としては、単に「投稿内容は真実である」と書くだけでは弱いでしょう。5W1Hを意識し、時系列で整理すると説得的な文章となります。
さらに、報道などを根拠にしたのであれば、実際の報道内容を指摘することも必要です。
- ○○年○○月○○日○○時ころ、A部長がB係長に対し、○○株式会社の3階の会議室で「お前は能無しだ、クビにしてやる」などと怒鳴りつけていた
- ○○新聞の○○年○○月○○日付のニュース記事で、開示請求者が○○していたことが報道されている
名誉毀損のケースでの拒否理由の書き方の説明は以上のとおりですが、もちろん具体的な記載はケースによって違いますし、実際に文章にするのが難しい場合もあると思います。
意見照会書への回答について相談されたい方は、当事務所にぜひ一度お問い合わせください。
弁護士に依頼できることや費用の目安等についてはこちらをご覧ください。
発信者情報開示請求について、発信者側の解説記事についてはこちらをご覧ください。
身に覚えのない発信者情報開示請求(意見照会書)が届いたときの対処法を弁護士が解説!
意見照会書が届いたけれども、全く身に覚えがないというケースも珍しくありません。
この記事では、身に覚えのない投稿についての意見照会書が届いたときはどう考えたらよいか、またそのときの対処法について解説しています。
なお、BitTorrent(トレント)などのファイル共有ソフトの使用に関して意見照会書を受け取った方は、こちらの記事もご覧いただければと思います。
また、BitTorrent(トレント)などのファイル共有ソフトの使用に関して過去の逮捕事例はこちらで紹介しています。
「何かの間違い」の可能性は低い
投稿に身に覚えがない場合、何かの間違いだと考える人がほとんどです。
しかし、意見照会書を送る際にはプロバイダは十分確認しますから、プロバイダの手違いで送られるということは考えづらいです。
その投稿にご自身の契約している回線が使用されたと考えるべきでしょう。
「回線を使用できる人」が使用したと考える
ご自身が投稿していないとすれば、回線を使用できる人が投稿したと考えるのが妥当です。
例えば、家庭の回線であれば、同居の方かもしれませんし、Wi-Fiのパスワードを教えた友達かもしれません。
会社の回線であれば社員の方が考えられます。
なお、古いWi-Fiルーターには、アクセスするためのパスワードが設定されていないものも一部あったようです。
使用者がそのことを知らず、無断で投稿に使用されたという例もありますので、念のためお使いの機種がそのようなものでないかも確認する必要はあるでしょう。
個人情報は開示されてしまうか
残念ながら、ご自身が投稿していないことを証明しても、開示を防ぐ効果はありません。
開示の要件が認められる限り、相手に情報は開示されてしまいます。
見知らぬ人に自分の情報が伝わることに抵抗がある方がほとんどだと思いますが、法律の仕組みがそのようになっている以上、やむを得ないところです。
以上を踏まえ、身に覚えがない開示請求が届いたときの対処法について説明します。
身に覚えがない発信者情報開示請求への対処法
①まず開示請求が認められるケースかどうかを検証する
さきほど、拒否(不同意)の回答をしても開示されるという結論には変わりないと説明しましたが、あくまでこれは「開示請求の要件が揃っている」ことが前提です。
開示請求の要件が認められない(例えば、権利侵害が認められない)ケースの場合、不同意(拒否)の回答をすれば、こちらの情報は開示されません。
そのため、身に覚えのない開示請求であっても、開示請求が認められるものであるかどうかは念のため検証する必要はあるでしょう。
実際に開示が認められるかどうかはケースバイケースの判断ですが、こちらの記事では、どのような投稿が開示の対象となるのかの一般的な判断基準について解説しています。
②同意・不同意(拒否)どちらの回答をするか決定する
①で検討した結果をもとに、同意・不同意(拒否)どちらの回答をするか決定します。
開示請求が認められると判断できる場合
この場合は、開示に同意し、早めに「自分が投稿者でないこと」を説明して理解してもらうことが早期解決につながります。
とはいえ、見知らぬ人に個人情報が開示されることに抵抗がある方も少なくないと思われます。
そのような方は、とりあえず不同意(拒否)の回答を行うのもひとつの手です。
特に、今回の開示請求が任意請求である場合、プロバイダはこちらが同意の回答をしない限り個人情報を開示しません。
プロバイダが任意で開示しない場合、開示請求者はプロバイダを相手に裁判をする必要があります。
しかしこのとき、開示請求者が裁判までは行う気はないということもあります。
この場合、こちらの情報は開示請求者に伝わらずに終了しますから、このような幸運なケースを期待して不同意(回答)を行うこともあります。
なお、任意請求や裁判の区別、任意請求がなされる理由などについて詳しくは以下の記事で解説しています。
開示請求が認められない、又は微妙なケースと判断できる場合
この場合は、不同意(拒否)の回答をすることをお勧めします。
結果的に開示請求が認められなければ、こちらの個人情報が開示されることはないからです。
また、仮に見通しが外れて開示請求が認められたとしても、開示された後に「自分が投稿者でないこと」を説明すれば十分ということもあります。
③(開示された後)投稿者でないことを説明する
開示された後は、面倒でも自分が投稿者でないことを説明する必要があります。
回線契約者と投稿者が違う場合は、原則として回線契約者が責任を負うことはありません。
しかし、回線契約者は日常的にその回線を使用しているでしょうから、その投稿をしたと最初に疑われるのは回線契約者です。
そのため、行ってもいない投稿で責任を負うことを防ぐために、ご自身が投稿者でないことをしっかり説明する必要があるのです。
自分が投稿者でないことを示す事情については、例えば次のようなものが考えられます。
・被害者と面識・関わりがない
(例:被害者の知人・同僚・顧客などではない、被害者(会社)の従業員でない など)
・誹謗中傷をする動機がない
(例:被害者とトラブルになったことはない など)
・その投稿を行う可能性がない
(例:投稿内容は男性目線で書かれているが、自分は女性である など)
・他に投稿者がいる可能性がある
(例:Wi-Fiにパスワードがかかっていなかった、パスワードを見やすいところに掲示していた など)
逆に、これらの事情を全く説明できない場合、単に「身に覚えがない」と言い訳しているに過ぎないとされてしまう可能性があります。
そうなってしまうと法的責任を負うことは免れませんので、やはり自分は投稿者でないことは丁寧に説明する必要があるでしょう。
投稿者でない回線契約者が責任を負うパターンとは
回線契約者と投稿者が違うケースでも、次の場合には例外的に責任を負う可能性もあります。
- 会社の回線が使用されたケースで、投稿内容が競合他社を貶めるものであった場合
- 違法な投稿に使用されることがわかっていてあえて回線を貸したような場合
とはいえ、責任を負うのは例外的であって、「回線契約者も名義がある以上共犯だ」といった乱暴な議論で責任を負わされることはありません。
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弁護士に依頼できることや費用の目安等についてはこちらをご覧ください。
発信者情報開示請求について、発信者側の解説記事についてはこちらをご覧ください。
不正インストールを疑われたときに弁護士に依頼できる内容や費用の目安は?
ソフトウェアメーカーやBSA、ACCSなどの団体から、ソフトウェアの不正利用(不正インストール)を指摘する通知が届いたとき、弁護士に相談・依頼を検討する方も多くいらっしゃいます。
ただ、弁護士に相談・依頼することで具体的にどんなメリットがあるか、また、そもそもどんなことを依頼できるかよくわからないことも多いと思います。
この記事では、ソフトウェアの不正利用(不正インストール)を指摘する通知を受けた方が弁護士に相談・依頼できることとそのメリットについて解説しています。
この記事はこんな人におすすめ
- ソフトウェアの不正利用(インストール)があると指摘する通知が届いた方
- 弁護士への相談・依頼を検討されている方
- 弁護士への相談・依頼にどのようなメリットがあるか知りたい方
① 見通しを立てることができる
ほとんどの方にとって、不正インストールの通知が来るのは初めての経験です。そのため、今後どうなっていくのか不安になる方がほとんどだと思います。
そのような不安を解消し、良い形での紛争解決を目指すためには、現状の分析と今後の見通しを確認することが不可欠です。以下の各事項の見通しを立てることで、適切な方針を立てることができます。
不正インストールの件で検討すべき見通し
- 自社が著作権侵害の責任を負うか
- 示談金の額
- 紛争解決までの期間
- 他に波及しうるトラブルの有無 など
当事務所では、不正インストールのケースについて豊富な経験があります。これまでの経験に基づき、精度の高い見通しと適切な対応方針についてアドバイスを提供することが可能です。
法律相談料
5,500円/30分あたり(税込・初回30分は無料)
② 調査回答書の作成依頼
特にBSAやACCSからの通知では、まずこちら側がソフトウェアのインストール状況について調査し、その調査結果を報告するよう要請されるのが一般的です。
不正インストールが疑われたケースでは、初回の回答が最も重要であると言っても過言ではなく、その回答内容によっては決定的に不利になることも珍しくありません。
しかし、どのように調査したらよいか、また調査結果をどのように回答するのがよいかわからない場合も多いと思います。当事務所では、これまでの経験に基づき、不利にならない回答書を作成することが可能です。
そのため、弁護士に依頼するかどうかにかかわらず、回答をする前に一度弁護士に相談されることを強くお勧めします。
調査回答書作成費用
着手金:220,000~(税込)
成功報酬:0円
>>「BSAからの」通知書への対応方法については以下の記事で解説しています。
③ 示談交渉の代理
弁護士に依頼することで、相手方とのやりとりを任せることができます。
相手方との交渉による負担は想像以上に大きいものですが、弁護士に交渉を任せることで、時間的・精神的負担を大幅に軽減することができます。
また、示談交渉における示談金の減額交渉や分割払いの交渉は法律に基づくものであり、法律にのっとったやりとりが必要です。
弁護士に依頼することで、法律に基づく交渉ができますから、最終的な示談の内容を納得のいくものとすることが可能です。
示談交渉依頼費用
着手金:220,000~(税込)
成功報酬:220,000円~(税込)
※調査回答書の作成を含む価格です。
>>不正インストールに関する示談については以下の記事で解説しています。
④ 立入調査・証拠保全への立ち会い
不正インストールが疑われるケースでは、ソフトウェアメーカー側から立入調査の要請がなされたり、証拠保全が実施されることがあります。
これらはいずれも事業所の現地調査であり、現場で適切な対応をとる必要があります。現場に弁護士が立ち会うことで、立入調査・証拠保全へも適切な対応を行うことができます。
立入調査・証拠保全への立ち会い費用
110,000円~(税込)
お気軽にお問い合わせください
四谷コモンズ法律事務所では、相談に来られた方にとって最良と考えるアドバイスをご提案いたします。
弁護士がご依頼いただく必要がないと考えるときは、ご相談のみ終了することも多くあります。無理に依頼を勧めたりすることはいたしません。
現在の状況を整理するだけで、ご不安が解消することもあります。
ご心配事やご相談したいことがある場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
当事務所では、不正インストールの通知が来たケースの対応に豊富な実績があります。
ご心配事やご相談したいことがある場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。