【Twitter】「本当に犯人特定できる?」「どういうツイートが開示対象?」Twitter上の誹謗中傷問題について、11の疑問をまとめて解消!

Twitterをはじめ、SNSでの誹謗中傷問題が注目されてきています。

誹謗中傷問題については、法的な開示請求で犯人を特定する動きも多く見られるようになりました。
しかし、それについての情報が氾濫しているのも事実であり、中には過度に人を不安にさせるものや、不正確な情報も少なくありません。

そこで今回は、Twitterの誹謗中傷案件の情報を整理し、みなさんが疑問に思われるところをご説明したいと思います。

 

疑問① Twitterの投稿で情報開示(犯人特定)ができることは本当?


Twitterの投稿で情報開示(犯人特定)ができることはあります。

ただ、後ほど説明しますが、ネガティブな内容の投稿がすべて開示の対象となるわけではありません。

 

疑問② どういうツイートが開示対象なの?


嘘の事実を投稿して人をおとしめるようなもの(名誉毀損)や、人が普通は知られたくないような事実を公開するようなもの(プライバシー侵害)が、開示対象となる典型的なパターンです。

 

疑問③ ツイートされた内容が本当のことなら開示対象にならない?


名誉毀損のケースとプライバシー侵害のケースを分けて考える必要があります。

 

名誉毀損のケースでは、ツイートされた内容が本当のことなら開示対象にならないと主張することができます。
ただ、いくら本当のこととはいえ、いやがらせ目的などでの投稿は開示対象になることがあります。

また、法律の世界では、「本当のこと」というのは、「(証拠上)本当のこと」という意味です。
そのため、いくら「本当のこと」といっても、証拠がなければそれは「本当のこと」とは扱われませんし、逆に証拠がそろっていればいくら嘘と思っていても「本当のこと」と扱われることがあります。

 

一方、プライバシー侵害のケースでは、ツイートされた内容が本当のことであったとしても開示対象となります。
また、逆に、本当のことでなくとも、本当っぽいことであればプライバシー侵害として開示対象になることもあります。

 

疑問④ 意見を言っただけのツイートは開示対象になる?


基本的に、批判的な意見を言っただけでは開示対象にはなりません。
批判的なものであっても、意見を言うことは表現の自由の範囲内だからです。

 

ただ、嘘の事実を前提にした意見は開示の対象になることがあります。
例えば、そもそも不倫なんてしていないのに、「不倫をするなんて最低だ」と言うような場合です。

 

また、意見だとしても、あまりに攻撃的なもの、口汚いものなどは、表現の自由の範囲外として、開示の対象になることがあります。

 

疑問⑤ 「自分は本当のことだと思っていたんです」という言い訳は通用しますか?


法律上は、本当のことだと信じたことについて「相当の理由」があれば、許される場合があるとされています。

 

しかし、これで許されるケースはあまりないと考えた方が無難です。
これまでの裁判例からすれば、かなり信用できる根拠をもって「本当のこと」だと信じた場合でなければ、許されていないからです。

例えば、「ネットで他の人もみんな言っていた」とか、「自分は他の人の投稿をコピペしただけ」という言い訳は通用しないと考えて差し支えないでしょう。

 

疑問⑥ 法律があるのにTwitterで誹謗中傷があふれているのはなぜ?


この要因はいろいろなものが考えられますが、個人的には以下の3点が大きいと考えています。

 

1.基本的に被害者本人がアクションを起こさないと警察も裁判所も動かない
2.犯人特定には裁判の手続きが必要で、この裁判に対応できる弁護士が多くない
3.Twitter社から開示されるIPアドレス等の情報が、日本の法律が想定しているものではなく、このことが原因で開示ができないことがある

 

3.については専門的な内容となるのでここでは触れません。

 

疑問⑦ ツイートした人が、開示請求がなされているとわかるのはいつ?


プロバイダに対して開示請求がなされ、そのプロバイダが発信者に意見照会を行ったときです。

Twitter社が開示請求を受けた時点では、Twitter社は該当のユーザーに意見照会を行わない運用のようです(この記事執筆時点)。
そのため、ツイートした人が意見照会を受けたときは、すでにTwitter社はIPアドレス等を開示した後と考えてよいでしょう。

 

疑問⑧ Twitter社は、お願いすれば簡単にIPアドレス等を開示してくれる?


基本的にTwitter社が任意でIPアドレス等を開示することは考えられません。

そのため、Twitter社がIPアドレス等を開示したということは、日本の裁判所で仮処分命令が出されたと考えるのが適切です。

 

疑問⑨ Twitter社に対して開示の仮処分命令が出たということは、プロバイダも絶対に開示することになるの?


仮処分命令が出たということは、裁判所が対象のツイートについて「開示が相当である」と一応判断したということになります。

 

ただ、このことを踏まえても、開示請求を受けたプロバイダが契約者の氏名や住所を任意に開示する可能性は(発信者が意見照会において開示に同意しない限り)ほとんどありません。
そのため、開示請求者としては、プロバイダに対してさらに氏名・住所の開示を求めて裁判を行うことが一般的です。

 

そして、この裁判を担当する裁判官は、仮処分命令を出した裁判官とは違います。
また、仮処分のときとは異なり、プロバイダは意見照会を行います。
発信者が、この意見照会への回答として、開示が相当でないとの反論を行うことがあり、これは基本的に裁判の証拠となります。

 

つまり、プロバイダへの開示裁判がなされた場面と、Twitter社への仮処分命令が出された場面では、状況が異なるのです。

そのため、同じツイートについて裁判するといっても、結論が変わることは十分考えらるのです。

 

また、Twitter社から開示されたIPアドレス等の情報では、プロバイダ側で技術的に発信者が特定できないという事態も起こります。

 

以上のことからすれば、「Twitter社に対して開示の仮処分が出された」ということと、「プロバイダが絶対に開示することになる」というのは完全なイコールではありません。

 

疑問⑩ 誹謗中傷のツイートをした人は、逮捕されたりする?


最近、ネットの誹謗中傷問題が注目されるようになり、警察等も以前よりはネットの問題について動いてくれることも増えたようです。

しかし、それでも、誹謗中傷で情報開示された人が全員逮捕されたりするわけではありません。
個人的な印象ですが、やはり逮捕されないケースの方が多いと思われます。

 

犯人特定に至っても、発信者側が示談交渉をするなどの対応をしていれば、基本的には民事の問題と判断され、逮捕などには至らないケースが多いのだと思います。

 

もっとも、このことは軽微な名誉毀損や業務妨害についていえることです。
犯罪予告や、違法薬物のやりとり、児童ポルノのアップロードなどについては、厳しい取り締まりの対象となっています。

 

疑問⑪ 犯人特定後の損害賠償請求はどのようなもの?


削除・開示にかかった弁護士費用と、精神的苦痛に対する慰謝料が主に考えられます。

 

弁護士費用は、各法律事務所の料金体系が異なるもので、一律いくらという基準はありません。
相場としては、20万円から100万円程度でしょうか。

また、慰謝料額については、ツイートの内容によって違ってきますが、こちらも相場としては10万円から100万円の範囲におさまることがほとんどです。

これらの合計額が、最終的に支払われる損害賠償となることが多いでしょう。

 

この他、例えば「料理の味がまずかった」という投稿がなされたケースで、これによって売上が減少したとして売上減少額を請求するようなパターンや、「ブラック企業だ」と投稿されたケースで、人材採用が思うようにいかなくなり人材採用費用が余分にかかったとして、その追加の人材採用費用を請求するようなパターンもあります。
しかし、これらはいずれも裁判では認められづらい傾向にあります。

 

やはり基本は弁護士費用と慰謝料が主なものと考えられます。

 

まとめ


Twitterの誹謗中傷問題で、法律実務の実際のところは、以上説明したとおりです。

ただ、もちろんケースによって結論は変わってきますので、実際の案件で弁護士が対応する場合には、上記を踏まえつつも適切な方針を検討することになります。(このあたりが各弁護士の腕の見せ所といったところでしょうか。)

「自分のケースではどうなんだろう?」といった具体的な相談については、やはり一度弁護士に相談されることをお勧めします。

 


弁護士への法律相談(初回30分無料)はこちらから。

渡辺 泰央

渡辺 泰央

上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録(第二東京弁護士会)。 ウェブサービス、スマートフォンアプリをはじめとするIT関連、デジタルコンテンツ関連案件の訴訟、紛争や意見書作成、契約書作成、著作権侵害性リサーチなどを得意とする。