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トレントなどの違法ダウンロードで逮捕されるケース|個人で楽しむのは大丈夫?

違法ダウンロードで逮捕されるケースは?個人で楽しむのは大丈夫?

音楽や映画、漫画など、あらゆるコンテンツがインターネットで配信されており、自宅にいながら楽しむことができます。しかし、同時に著作権侵害にあたる違法コンテンツも増えており、逮捕される事例も相次いでいます。

インターネット上からのダウンロード行為で逮捕されるのはどのようなケースなのかについて解説します。

この記事はこんな方におすすめ
  • 違法ダウンロードで逮捕される条件を知りたい方
  • 違法ダウンロードをした可能性があり逮捕されるか不安な方

 

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違法ダウンロードとは

違法ダウンロードとは、違法にアップロードされたデータと知りながらそれをダウンロードする行為を指します。

従来、このようなダウンロードも私的使用目的の複製(ダウンロード)であれば違法ではないというルールになっていました。

しかし、2010年、私的使用目的であっても(一部)違法となるとの法律改正がなされました。

その後、2012年からは違法ダウンロードも罰則の対象となるとの法律改正がなされ、2020年にはその範囲が拡大されました。現在では、動画、音楽、画像などコンテンツの形式を問わず、違法ダウンロードは刑事罰の対象になる可能性があります。

「違法ダウンロードであっても私的使用目的だから問題ない」という言い訳は現在では通用しないので注意しましょう。

違法ダウンロードが刑事罰の対象となるケース

違法ダウンロードが罰則の対象になるかどうかは、ダウンロードしたコンテンツの種類によって異なります。以下では、コンテンツごとに違法ダウンロードが罰則の対象とる条件について解説します。

動画・音楽・ゲームの場合

違法ダウンロードの対象が動画や音楽の場合は、刑事罰の対象となる条件は次のとおりです。

  1. 有料のコンテンツであること
  2. 違法にアップロードされたものであることを知っていたこと

これらを順番に解説していきます。

 

① 有料のコンテンツであること

違法ダウンロードが罰則の対象となる条件として、ダウンロードの対象が有料コンテンツであることが必要です。販売されていないものや無料コンテンツについては、たとえそれが違法にアップロードされたものだとしても、それらをダウンロードする行為は刑事罰の対象にはなりません。

有料コンテンツに該当するものとしては、店舗やデジタルコンテンツマーケットで販売されているものとお考え下さい。

有料コンテンツに該当するものの例(動画・音楽)
  • 音楽CDの形で販売されている音楽
  • DVD、Blu-ray等の形で販売されているTV番組、アニメ、AV(アダルトビデオ)
  • デジタルコンテンツマーケットで販売されている動画や音楽 など

 

有料コンテンツに該当しないものの例(音楽・動画)
  • 個人が撮影し、SNS上にアップロードした動画
  • YouTubeにアップロードされた個人製作の音楽で、販売されていないもの など

 

 

② 違法にアップロードされたものであることを知っていたこと

違法ダウンロードが罰則の対象となる条件として、コンテンツが違法にアップロードされたものであることを知っていることも必要です。

例えば、個人撮影の動画が公開されたSNS上に「私が撮影した作品です」などの文言が掲載されていた場合は、仮にそれが嘘であっても、違法アップロードと知っていたとは判断されづらいでしょう。

一方、海賊版サイトやファイル共有ソフトで著名な映画や楽曲、ゲームなどが無料でダウンロードできる場合は、違法なコンテンツであると認識することが普通です。こういったケースでは、違法アップロードの認識が認められる可能性が高いといえます。

 

マンガ、イラスト、ソフトウェア等の場合

動画・音楽・ゲーム以外のコンテンツ(マンガ、イラスト、ソフトウェアなど)の場合、違法ダウンロードが刑事罰の対象となる条件としては、上記の①、②に加えて、以下の条件も必要になります。

  1. 継続的に又は反復して行っていたこと
  2. 刑事罰化の例外に該当しないこと

これらも順番に解説していきます。

 

③ 継続的に又は反復して行っていたこと

マンガ、イラスト、ソフトウェア等の場合、一度きりの違法ダウンロードでは罰則の対象にはなりません。

では何回ダウンロードすれば「継続的に又は反復して」といえるかについては、明確な決まりはありません。ただ、短期間のうちに2回以上行っているような場合は、これが認められる可能性はあるでしょう。

 

④ 刑事罰化の例外に該当しないこと

マンガ、イラスト、ソフトウェア等の場合は、上記①~③を満たしていたとしても、例外的に刑事罰の対象にならないことがあります。

その例外事項は、次の3点で、これらのいずれかに該当する場合は刑事罰の対象にはなりません。

 

⑴ ダウンロードの対象が二次的著作物であること

(例)二次創作やパロディイラストのダウンロード

⑵ 違法ダウンロードが軽微なものであること

(例)コミックマンガの1コマのみのダウンロード、オリジナルと比べて解像度の著しく低いもののダウンロード

⑶ ダウンロードによって著作権者の利益を不当に害しないこと

 

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違法ダウンロードで逮捕される条件

以上が、違法ダウンロードが刑事罰の対象となる条件ですが、条件を満たす全てのダウンロードが逮捕の対象となるわけではありません。

逮捕の条件は、犯罪の嫌疑があることを前提に、さらに次の点が必要になります。

  • 逃亡又は証拠隠滅の恐れがあること
  • 行為者が特定されていること
  • 告訴が受理されていること

これらについても解説していきます。

逃亡又は証拠隠滅のおそれがあること

そもそも逮捕は、逃亡や証拠隠滅を防ぐために行われるものです。

そのため、逮捕は「逃亡のおそれ」又は「証拠隠滅のおそれ」のどちらかがある場合に限り認められるものです。

 

行為者が特定されていること

刑事罰の対象となる違法ダウンロードがあったとしても、行為者が特定されていなければ逮捕は実施されません。

そして、違法ダウンロードする際には個人情報を記載する必要がなく、一定の匿名性があることは事実です。

しかし、インターネットを利用する際にはIPアドレス(いわばインターネット上の住所)が割り振られており、当然、違法ダウンロードを行う際もIPアドレスが付されています。犯罪行為がある場合、警察や著作権者がそのIPアドレスを割り当てたプロバイダに対して発信者(契約者)に関する情報の開示を求めることで、個人が特定されることがあります。

特に、トレント(torrent)などのファイル共有ソフトを利用した違法ダウンロードは個人特定のケースが多いといえます。

>>トレント(torrent)使用者の個人特定の仕組みなどに関してはこちらで解説しています。

トレント(torrent)の使用は特定される?トレントの特定の仕組みについて解説

 

告訴が受理されていること

著作権侵害の罪は、原則として「親告罪」です。

親告罪とは、告訴されていなければ起訴できない犯罪であり、違法ダウンロードもこの親告罪に該当します。

警察も起訴の可能性がない事件の捜査に着手することはありません。そのため、(厳密には告訴の受理は逮捕の条件ではありませんが)告訴がなければ逮捕などの可能性は低いといえます。

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まとめ

著作権法という法律があることは知っているものの、その詳しい内容までは把握できていない方が大半であり、自覚がないまま著作権侵害を犯している可能性もあります。

特に違法ダウンロードは「誰でもやっていることだから」、「バレないだろう」といった安易な考えで手を染めてしまうことも少なくありません。

しかし、これらは大きな間違いであり、悪質性が認められると特定され法的な責任を課されることもあります。

違法ダウンロードに関する正しい知識を身につけ、特にファイル共有ソフトを利用する場合にはダウンロードするデータについても細心の注意を払うことが重要です。

 

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>>トレントに関するよくある質問についてはこちらでも解説しています。

トレント(torrent)の発信者情報開示請求 よくある質問について専門弁護士が解説

 

ABOUT US

弁護士 渡辺泰央
弁護士 渡辺泰央
弁護士。上智大学法学部国際関係法学科、東北大学法科大学院卒業。2010年司法試験合格。2012年弁護士登録。第二東京弁護士会所属(登録番号:45757)。 インターネットの誹謗中傷・著作権関連事件の実績多数。トレントなどのファイル共有ソフトの利用やソフトウェアの不正インストールに関するケースも数多く手掛ける。